F1 第7戦 モナコ

FORMULA 1 GRAND PRIX DE MONACO 2022
Circuit de Monaco 3.337km×78Laps=260.286km
(追加フォーメーション周回により77周に減算、最大延長時間に到達したため64周で終了)
winner:Sergio Perez(Oracle Red Bull Racing/Red Bull RB18-RBPT)

 F1はちょっと久々の2週連続開催、第7戦はモナコ。例年木曜日に練習走行を行って金曜日はお休み、という特殊な日程が伝統でしたが、今年は移動やら滞在費削減やらの理由で通常のレースと同様に金曜日スタートに。正直私はフリー走行見て無いので何の影響もありませんw

 予選、昨年はシャルル ルクレールがQ3の1回目のアタックで暫定1位となった状態で2回目のアタック中にクラッシュ。赤旗になって誰もタイムを更新できずポール ポジションが確定。しかしこの時の損傷をチームが適切に把握・修復しきれなかったために決勝前のレコノサンス周回で車が壊れてスタートすらできなかった、というレース内容よりも記憶に残る出来事がありました。

 そして今年のQ3、またもルクレールが1回目のアタックで暫定1位。誰も更新でき無さそうなタイムを、2回目のアタックでさらにルクレールが更新する速さを見せていましたが、それを追いかける映像の隅っこでスピンする1台の車^^;
 セルヒオ ペレスがターン8でクラッシュし、回避できなかったカルロス サインツも軽く接触しつつスピンして道を完全に塞いでしまいました。やっぱり今年も赤旗で決着してルクレールが今年は無傷でのPP獲得。2位からサインツ、ペレス、マックス フェルスタッペン、ランド ノリス、ジョージ ラッセル。左の後部をけっこうぶつけたペレスでしたが幸いギアボックス交換は行わずに済みました。
まあまあ壊れたペレス車

 そして決勝、この日は日本では暑くてSUPER GTは一時的に気温が35℃にまで達しましたが、モナコは気温こそ22℃あるもののスタート10分ほど前に急に大雨。フォーメーション周回の開始は予定より遅れ、いざ出陣してみたら雨が酷すぎて2周でピットへ帰ってきました。ゲリラ豪雨だ^^;
 

 結局当初予定から考えて65分遅れで赤旗が解除されてSC先導でスタート。最初にフォーメーション周回を2周していたので、周回数は1周減らされて77周です。SC先導走行なのにいきなりヘアピンでニコラス ラティフィー、ランス ストロールが壁に当たっていました。路面状況は最悪。

 3周目にSC退出でリスタート、ルクレールはおそるおそる1分41秒ぐらいのペースから入ります。このペースのまま走り続けたとしたら2時間で収まりませんね。後方のチームではインターミディエイトに交換する賭けをしている人も出ますが、めっちゃ危なそうです。
 上位勢は徐々にタイムを切り上げて行って9周目にはルクレールが1分36秒台へ。後方ではピエール ガスリーが一応インターミディエイトでそれなりのタイムを出しているので単純なタイムだけで言えばウエットと均衡し始めていますが、リスクを考えると同等のタイムならまだ急いで交換する必要性は無さそうです。交換するとその後ウエット組に詰まりますしね。

 14周目、ウエットの後方勢をかき分けながら走るガスリーが、前に誰もいないタイミングでファステストを記録。すると15周目にルイス ハミルトンがウエットからインターミディエイトへ乗り換えました。リアが滑ると言っていたのでどのみちウエットではもう我慢できなくなった様子。
 タイムを1分32秒台まで切り上げて来た上位勢では3位のペレスが16周目にインターミディエイトへ交換。2つ順位を失って5位でコースへ戻りますが、翌周にノリスも入ったので失った順位は実質フェルスタッペンに対する1つだけでした。そしてとうとうコース上には陽がさして来ました。さあ、タイヤ選択のお時間だ。
 18周目を終えるとルクレールとフェルスタッペンが同時にピットへ。理想はウエットから直接スリックに繋げたいんですが、まだ危ないと見てインターミディエイトへ。この間、ペレスはインターミディエイトへ乗り換えていきなりペースが5秒以上速くなっておりアンダーカットに成功。ピット前にはルクレールの8秒も後方だったのにたった2周で大逆転。そしてルクレールは周回遅れのアレクサンダー アルボンに引っかかるという不運にも見舞われました。
 
 唯一まだウエットで引っ張るサインツは21周目を終えてピットへ。もうペレスは2秒後方で、なおかつ前方にスリックへ交換したラティフィーがいて前を抑えられていました。このピットで直接ハードへ繋いでピット回数を減らし、ライバルの機先を制する考えです。すると、サインツに続いてなんと3位のルクレールも同時にピットへ。そして流れるルクレールへの無線。

「ステイアウト、ステイアウト!」

 ルクレールは既にピットへ向かっておりもう手遅れでした。ルクレールはサインツの作業が終わるまで少し待つ羽目になり、無駄な時間を過ごしてしまいます。チーム側の想像以上にルクレールが追いついてしまい、本来は2台続けてできると思ったタイヤ交換が渋滞した、という感じでしょうか。レッド ブルに戦略で揺さぶられて混乱気味です。

 フェラーリが取っ散らかる中、レッドブルは翌周にペレスとフェルスタッペンが同時にピットへ。こちらはちゃんと2台同時に無駄なく作業して2台ともハードへ交換し、ペレスはサインツを、フェルスタッペンはルクレールをそれぞれオーバーカットに成功します。元々タイヤに熱が入りにくくてオーバーカットが効くこのコース、濡れた路面にハードという組み合わせではなおさらでした。ルクレールは急いで入らない方が良かったですね。
 これで順位はペレス、サインツ、フェルスタッペン、ルクレールとなりました。サインツはタイヤに熱が入らないうちにペレスを仕留めようとしましたが、ストレートで濡れた路面を踏んでズラスリップ。危うく事故りかけてペレスには逃げられます。危なくまたやらかすところでした。

 上位で目まぐるしく展開が動く中27周目、ミック シューマッハーがターン15でクラッシュ。ターン14を出たところで本人曰く10cmラインを外れて滑ってしまいました。後ろから壁に当たったら車が2つに割れてしまい、見た目は非常に怖い事故に見えましたが幸いミックは無事でした。もちろんSC導入。なんかマーシャルさんが千切れた後部側をリアカーを引くみたいに手で引いて撤去してる^^;

 バリアの壊れ方のわりにはSC走行が続きますが、結局30周目に赤旗掲示、20分ほど中断されました。リスタートは現地時間17時15分ということでいくぶん暗くなってきており、最大延長時間が18時なのであと45分。残りは47周。この段階で時間制レース確定です。
 リスタート時のタイヤはペレスとフェルスタッペンが新品のミディアム、サインツとルクレールはさっきまで使っていたハードを継続。5位のラッセルは新品ミディアムです。

 33周目にSC退出でリスタート、まだまだ路面状況は完璧ではなく、リスタートで変な駆け引きをする必要は無いので、ペレスは普通に走ってリスタート。ミラボーでうっかりタイヤをロックさせますがとりあえずリードを維持します。

 ペレスとサインツは1秒前後の差で神経戦を展開、フェルスタッペンとルクレールはそれぞれ1.5秒ほど前と開いた状態で走っていて、どうせ抜けないので今は様子見で待機という感じに見えます。そして残り31分となったところでようやくDRS解禁となりました。あっても抜けないけどw
 5位ラッセル、6位ノリスまではそれなりのペースで走っていますが、7位のフェルナンド アロンソが上位より3秒以上遅いペースで走行。ハミルトンがこれを抜けずに詰まり、それにしても遅すぎるので7位から18位まで全部隊列が詰まるような状態になっています。レース後の本人のコメントからするとタイヤを壊さないように慎重に走っていたようです。

 残り20分、上位4台はタイヤの状況を気にしてお互いに2秒ほどの差で走っていましたがサインツがシケインでミスったせいもあってペレスは3.5秒のリード。そしてアロンソはマネージメントのお時間が終了したらしく、ペースを上げたのでさっきまでの渋滞が急に解消されました。
 これで少しペレスは安心かと思われましたが、このあたりから前輪のグレイニングがはっきりと見えてペースが上がりません。グレイニング耐性が強いハードを履いたサインツ、これを待っていたとばかりに距離を詰め、フェルスタッペン、ルクレールも間合いを詰めて争いは新たな局面へ。残り10分で全員1秒差以内になりました。

 ペレスはかなり苦しそうで内側を警戒したライン取りになり、そうするとますますペースが悪くなるわけですが、周回遅れとの遭遇がちょうどストレート上であまり邪魔にならなかったことも幸いし、サインツに隙を衝かれる危ない場面は訪れませんでした。
 最後まで集中力を保ってこの長いレースを走り切ったぺレス、今季&モナコ初優勝を手にしました。2位からサインツ、フェルスタッペン、ルクレール、ラッセル、ノリス、アロンソ、ハミルトンでした。先週のNASCARオールスター戦の記事で首跡さんが「モナコでのぺレスの勝利」を期待されていましたがその通りになりましたね。書くとハゲの呪いをかけてしまう私と違って予知能力があるようです。

 後ろにいる来賓には絶対シャンパンかけないでね、とか控室でめっちゃ打ち合わせさせられてましたが、ちょっと危なかった気がするシャンパン ファイトでした。
 フェラーリはタイヤ交換の流れで完全にレッドブルに翻弄されましたね。ペレスがピットに入った段階というのはガスリーのタイムから見ても既にインターミディエイトが速いことは分かっていましたが、問題は交換した1周目から速く走れるかでした。交換直後にすぐペースが上がらないのならオーバーカットされて逆に抜かれるので、その判断をどこでするのかが大事でした。おそらくハミルトンが交換直後から既に速かったのが重要な参考資料だったんだろうと思います。
 一方で、残った3人にはウエットから直接スリックへ繋ぐことも頭にありましたので、ペレスが交換してすぐ速いのか、今のまま留まったら何周で追いついてきそうか、スリックはいつから履けるのか、といったことを同時に考える必要がありました。しかしあまりにペレスが速いのでフェラーリはとりあえず2周後にルクレールを動かしてしまい、結果的には中途半端なタイミングになってしまいました。1周早ければペレスの前に戻れたかもしれません。
 
 そして、その混乱を引きずるように2回目のピットでも混乱。サインツは仮にもう1周引っ張ったところでペレスに追いつかれ、オーバーカット狙いでペレスの蓋をしても、レッドブルは2台を使って揺さぶってくるので、どのみち1位を維持するのは簡単ではなく、あのタイミングでのピットは正解だったと思います。
 問題はルクレールも呼んでしまったことで、こっちはインターミディエイトでペースは速かったんですから、少なくともレッドブルの1台をオーバーカットできるように、タイヤが潰れるか相手が入るまでは居座って飛ばしておく方が明らかに得策でした。チーム側もルクレールのピット戦略については誤りを認めるしかありませんでした。
 フェルスタッペンについては、父親のヨス フェルスタッペンが「選手権トップのマックスを勝たせる戦略をレッドブルが採らなかった」とえらく不機嫌だったみたいですが、コース上で前にいたのはペレスですし、先週の貸し借りもありましたからねえ^^;
 そんなペレス、このレース後にチームとの2024年までの契約延長を発表。レッドブルは契約があっても急に切ったりするので数字は数字でしかない、というのはありますが、チームへの貢献が評価された形です。ガスリーは"昇格"の道筋が当面無くなりましたので、動向が注目されそうです。

 モナコは雨が降ると大変だなあと改めて思いましたが、追い抜きこそ無かったものの4台で常に接近して、何かあれば大きく動くぞ、という緊張感があったので退屈しないレースでした。まあ、SUPER GTの記事で書いた通り私はこの日出掛けていたので、赤旗の待ち時間に録画したGTを見ていて、一切待たされることが無かった、というのも非常に大きかったですw

 次戦は1週の休みを挟んでアゼルバイジャン、そしてカナダへと続く2週連続開催。ちょっと移動距離遠くないですか・・・^^;

コメント

ウルミコス さんの投稿…
1時にマックデリバリーで倍ビッグマックとポテトを注文してヤケ食いしそうになりました(っ ◠‿:;...,
とはいえフェラーリが勝手に散っただけで、レッドブルはお見事でした。
ペレスとメキシコの民はウハウハの週末でしたね(っ ◠‿◠ c)

今年のタイトル争いがChampionship4となる未来を楽しみにしております。
Cherry さんのコメント…
上層部含めなんかいけ好かない人が多めのレッドブルにいる、唯一好きなおじ様の優勝はとテオ嬉しいですwトップがマックスだったらレッドブルにエンジンブローが起きる呪いをかけるのですが...
そして我が推しランドの相方が早期離脱の噂が流れてますが、仮に一昔前のようにシーズン中の解雇とかになったら代わりは誰になるんでしょ...レンタルピアストリが個人的には面白そうと思ってますw
SCfromLA さんの投稿…
>ウルミコスさん

 先週のネタを拾ってるw この4人でCnampionship 4をやってくれたらチームメイトでも情け容赦ない争いと暴言の応酬になってさぞかしリバティーメディア好みの展開になるでしょうね、FIAから怒られそうですが(っ ◠‿◠ c)
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 レッドブル上層部の方々てちょっと冷徹な雰囲気があって怖そうに見えるんですよね^^;
ドライバーはどうなんでしょうかねえ、ダニエルが車と合って無い上に、ノリス寄りの車を使っている限りそれは根本的に解消しないので、彼にとっても今の場所が幸せではないとは思うんですけど・・・