2022 AUTOBACS SUPER GT Round2 FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE
富士スピードウェイ 4.563km×100Laps=456.3km(最大延長時間到達のため62周で終了)
GT500 class winner:ARTA NSX-GT 野尻 智紀/福住 仁嶺
(Honda NSX-GT/ARTA)
GT300 class winner:TANAX GAINER GT-R 富田 竜一郎/大草 りき/塩津 佑介
(NISSAN GT-RNISMO GT3/GAINER)
オートバックス SUPER GT 第2戦、お馴染み5月の大型連休に開催される富士です。今年はレース距離が450km・ピッタリ100周で、2回の給油作業が義務付けられます。ドライバー交代の回数は義務付けがなく、通常の『レース距離の2/3を超えて走ってはならない』という規則だけなので、連続で同じドライバーが乗るような戦略は可能です。
タイヤの交換義務はこのレースに設けられていないため、GT300はこのあたりを組み合わせて変則的な戦略を採る可能性が考えられます。給油のみ+継続ドライバーならピット作業時間は純粋に給油のみで済んでかなりの短縮。燃費の良い車両だと序盤にとにかくピットに入って給油をちょびっとだけやって、義務だけ先に消化する実質1ストップを狙う賭けもあります。また、第3ドライバーの登録が可能なのでGT300では数チームが登録しています。
GT300クラスでは今回のレースからMax Racingが復帰、そしてゴタゴタがあったTeam LeMansはドライバーが片山 義章、ロベルト メルヒ ムンタン、川端 伸太朗の3人体制。『メルヒ』は父親の苗字、『ムンタン』は母親の苗字で、スペインだとこうした表記が多いみたいですね。また、埼玉トヨペットGreen Braveは残念ながら吉田 広樹が新型コロナウイルス検査で陽性判定を受けて欠場、菅波 冬悟が代役で出場します。
予選、GT300クラスではSUBARU BRZ R&D SPORT(9kg)が2戦連続のPP獲得、山内 英輝が異様に速いタイムを記録して開幕から2戦連続となりました。2位からTANAX GAINER GT-R(15kg)、K-tunes RC F GT3、BUSOU raffinee GT-Rとダンロップ装着車が独占。5位にLEON PYRAMID AMG(33kg)を挟んで、6位にGAINER TANAX GT-R(3kg)とまたダンロップです。開幕戦の勝者・リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(60kg)はギリギリQ1を突破して14位。
一方、GT500クラスはWedsSport ADVAN GR Supra・阪口 晴南がPP。Q1の国本 雄資のタイムを0.6秒も上回りました。2位にリアライズコーポレーション ADVAN Zでこちらはヨコハマが1列目を独占。3位にミシュランのCRAFTSPORTS MOTUL Z(12kg)が続きました。この3台はいずれもQ1のタイムをQ2が上回りました。
4位以下にブリヂストンの装着車両、KeePer TOM'S GR Supra、ARTA NSX-GT(2kg)、ZENT CERUMO GR Supra(16kg)と続いて行きますが、ブリヂストン勢は全てQ1のタイムを下回っており、日が陰って路面温度が下がったことでタイヤの作動温度領域を外れたと感じさせられます。
Q2の開催時刻は16時ごろですが、このタイヤでスタートすることになる決勝は14:30開始なので、そうであればおそらく想定内、レースが始まったらたぶんこの結果はアテにならないだろうなと思いました。
そして決勝、気温20℃、路面温度33℃。猛烈に暑いというわけではないですが予選よりは高い状態。GT500のスタートではお目覚めの悪いらしいヨコハマ2台に対して3位のCRAFTSPORTS・千代 勝正がまずターン1で外から仕掛けて1台かわし、さらにWedsSports・阪口を狙いますが仕留めきれません。
詰まったところにKeePer・サッシャ フェネストラズと、8位スタートだったau TOM'S GR Supra・坪井 翔が続けて襲い掛かり、2周目の段階でトムスが1位、2位を確保。フェネストラズ、坪井、千代の順となりました。やっぱり予選結果はアテにならずw
一方GT300は2位のTANAX・富田 竜一郎が1周目にBRZ・山内をかわしトップへ。ただGT500ほどの極端な変動はなく比較的落ち着いていました。BRZとすると混戦になって抜かれまくって埋まるのが最悪なので、とりあえず2位なら2位で綺麗にレースが流れて後ろの人が離れてくれる方がありがたい展開です。
7周目あたりからGT500が1回目のGT300との遭遇でフェネストラズと坪井は接近戦、1秒ほど後ろで千代が様子を見ています。その3秒ほど後方ではSTANLEY NSX-GT(30kg)山本 尚貴とARTA・福住 仁嶺がNSX同士で接近戦。NSXはピットを終えると急に前に気がちなので、そこそこの範囲内にいる車は覚えておかないといけない、というのは近年のGTの鉄則になりつつあります。
GT300の方は数台がさっさとピットに入る変則作戦で、グッドスマイル初音ミクAMG(12kg)・片岡 龍也がこの戦略では先頭、埼玉トヨペットGB GR Supra GT・菅波 冬悟が真後ろにいます。昨年よりも吸気リストリクターが絞られたGRスープラではAMGに直線で全く後ろにつけないので、たぶんペースでは速いんですが抜くことができません。こうなったら相手がミスるまでとりあえずスリップで燃料を稼ぐしかない!
菅波は一度最終コーナーの出口でスピン寸前になってしまうミスをしてしまい、そこからまた追いかけ直していきましたが最終的には片岡をかわして前に出ます。というか片岡もたぶんこれ以上粘るのはタイヤも燃料もしんどかったんだと思う^^;
なお、J SPORTSの放送では『AMGのリストリクターが拡大された』と何度か話題に出ていました。たしかに、AMG GT3の吸気リストリクター径は開幕戦の34.5mm×2から36mm×2に拡大されているんですが、これは従来と同じで、単に低速用BoPと高速用BoPの違いから来ています。
ただし、付記されたラムダ値の下限が昨年より0.02引き下げられているので、燃料をエンジンで燃焼させる際により濃くして燃焼させることができるため、そのぶんは昨年より高出力化することが可能と思われます。でもそもそもなぜBoP表でAMGにだけラムダの下限が付記されているのか、理由が分かりません、ご存知の方がいたら教えてくださいw
昨年と比べると他車で性能が引き下げ方向となった車両もいるので、相対的には昨年よりも速くなっているとは思いますが、『去年富士で遅かったから今年はリストリクターが大きくなって速い』というのは正確な表現ではないと思います。
一方普通に走っているGT300上位勢で最初にヘタリ始めたのはK-tunes・高木 真一で、15周目あたりからBUSOU GT-R・柳田 真孝、LEON AMG・蒲生 尚弥と続けて抜かれていきます。同じダンロップでもGT-Rで使用しているタイヤとは方向性が異なるのか、このチームはショートで速くてロングで苦戦する傾向が強く出がちですね^^;
GT500では18周目に最終コーナーを大回りしたフェネストラズの内側に坪井が入り込んで初めての争いとなりますが、さすがに坪井もチームメイト相手なのでラインをきっちり残して立ち上がり、ここはフェネストラズが外回りで防御。坪井の方が明らかに余裕があるように見えるので、変に争ってペースを落とすよりも燃料を抑えている感じです。
で、ここでまだJスポにちょっとツッコミ。途中、最高速表示でフェネストラズが297km/h、坪井が291km/hであったことから「KeePerの方が6km/hも最高速が速いので伸びている」的な話がありましたが、本当に実力で6km/hも差があったらついていけません。実際は坪井が少し手前でリフトしているか軽くブレーキを踏んでいる可能性が高いです。
富士の最高速計測地点は本当に直線の終わりにあるため、隊列後方の車が前に合わせてアクセルを戻したりすると、その既に減速を開始した時の数字が計測されることはよくあります。実際その10周後にはフェネストラズの方がGT300を抜かずに早めに減速したので279km/h、坪井は距離を詰めるために全力だったと思われ298km/hも出ています。ウエットだと減速開始地点が計測地点より手前になるのでこの数字が全然意味を成さなくなったりしますね。
話を戻しましょう。24周目、フェネストラズが落ちてきたことを感じたか坪井は再度攻勢をかけるとダンロップコーナーで内側に飛び込んでその先のターン13で1位を奪い取りました。確かにフェネストラズの方がちょっとリアのグリップが落ちているように見えます。無駄な争いをしないで燃料消費を抑制し、相手が落ちて来たと見たら一発で抜く、理想的な走りです。
26周目を終えるとGT500ではSTANLEY NSXとカルソニック IMPUL Z(8kg)がピットへ。チーム国光は前後に誰もいなくても斜めにピットに入線するいわゆる『ダイブ』が通常営業だそうです。そつなく作業して山本から牧野 任祐へ。カルソニックはベルトラン バゲットから平峰 一貴へ。auも28周目に入って坪井からジュリアーノ アレジへ交替しました。
ところでGT500の戦略ですが、近年は『もし他がピットに入っていて自分だけ入っていない状況でSCが出たら大損するから』ということでできるだけ早く入るのが定着しています。しかしこのレースに関しては話はそう簡単ではありません。
まず第1に、富士はピットのロスがとても長いためGT500だと概ね作業時間が35秒程度でも1位から3秒あたりの範囲内にいない限りピットを出たら周回遅れになってしまいます。『ピットに入った後にSCが出て得をする』という状況になるには、リード ラップであることが条件です。
仮に周回遅れの状態でSCが出ても相手のピット サイクルでリードラップに戻り、なおかつロスが大きいのでそれなりの位置にはなれるんですが、得をするようなことにはなりません。『先に入って得』になれるのは、よほど後方に離れてしまった車だけだと考えられます。つまり、自分の真後ろで争っていた相手がピットに向かわない限り、SC警戒という点で言えば慌ててピットに入る必要性は高くありません。
そして、今回は必ず2度の給油が必要になりますが、概ねGT500車両の航続距離は最大40周程度です。1回目を早く入ると燃料はまだ使い切っていないので給油時間も必然的に短くなりますが、2回目は限りなく『空っぽ→満タン』にするしかなくなり、給油時間はかなり長くなります。基本的にレース中に給油すべき総燃料量はいつどうピットに入っても同じなので、それを2回でどう割り振るかの違いになります。
1回目を早く終えた人には2回目の給油が長い、なおかつ次のピットの時期は戦略の幅が狭い、という枷があります。そして警戒しないといけないのが、2回目のピットまでにSCが出て一旦隊列が凝縮されると、2回目のピットで給油時間が長いという制約は不利に働きます。
つまり、このレースではあまりに先に動くとSCに対してはむしろリスクが増える可能性があります。先に動く理由は、あくまで1回目のピットを終えてできるだけコース上で順位を上げておきたい、他の車に前を抑えられたくない、というトラック ポジション重視の観点と考えるのが妥当です。
レースに戻りましょう、GT300の1位・TANAXが入ったのは29周目、GT500のちょうど33周目なので1/3でのほぼ均等割りで、このあたりで標準的な作戦を採用したチームが多くピットに入ってきました。4輪を交換してドライバーも大草 りきに交代したTANAXに対し、既に5周目にピットに入っていたGBスープラと初音ミクがここで先行、ひとまずは実質1位、2位となります。
GT500の本格的なピット サイクルは34周目あたりからで、この周にCRAFTSPORTSが千代から高星 明誠へ。暫定1位のKeePerは35周目にフェネストラズから宮田 莉朋へと交代します。宮田はピット後に高星に迫られましたがなんとか防御。実質2位を守りました。
GT300の34周目、PACIFIC hololive NAC Ferrari(24kg)・ケイ コッツォリーノとARTA NSX GT3・木村 偉織が接触。2台とも車を傷めてピットへ向かいました。コッツォリーノが100Rを勢いよく出てヘアピンで内側に入りましたが、木村が見切りを誤ったか切り込んで接触した形。木村にはドライブスルーのペナルティーという判定になりました(リタイアで執行できず40秒タイム加算に転換されたがどのみち規定周回数不足で意味無し)
GT500の43周目、100Rの出口でアールキューズ AMG GT3・和田 久が大クラッシュ。この直後、GT500でまだ唯一1回目のピットを終えていなかったDENSO KOBELCO SARD GR Supra(6kg)・中山 雄一がピットへ入ります。運営側はとにかく事故現場を全車が安全に通過するためかまずFCYを宣告したため、これが大きな追い風となって関口雄飛へと交代したDENSOは3位でコースに戻りました。予選ではQ1で他の車に引っかかって14位、ピットサイクル前には1位からは30秒ほど離れていた車でした。
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| FCYで各車が減速するまでは生きた心地しなかったのでは・・・ |
アールキューズは去年のオートポリスでも全損事故に見舞われて今年はアルナージュからAMGを譲ってもらったわけですが、下手したらこの車も全損で再起ができないのではないかとちょっと心配です。このFCYではGT300のリアライズGT-R・藤波 清斗が前の車に追突しそうになって急ハンドルを切りスピン。さらに、フェラーリのコッツォリーノがSC中にタイヤをバーストさせて破片を撒きながら直線を通過、なんか急にレースが荒れました^^;
SC時点の順位を整理すると、GT500はau・アレジ、KeePer・宮田、DENSO・関口、CRAFTSPORTS・高星、ARTA・野尻、STANLEY・牧野。アレジは先ほど書いた理由からこのSCはかなり不利な方に働きます。逆にピットに入りたてのDENSOは超元気。
GT300は上位3台がまだピットに入っていない車で、実質的な1位は見た目上4位のGBスープラ・菅波、以下TANAX・大草、BUSOU・井出 有治、BRZ・井口 卓人の順。放送席では既に2回入った数台が有利ではないかと話題になっていますが、15位のBanboo Airways ランボルギーニ GT3以降はこのSCで周回遅れになっており、2回目を終えた2台はこちらの周回遅れ組。むしろ不利です。
すると、リードラップ車両14台と失うものが少ないので実質トップの埼玉トヨペットGBはSC中にピットへ。SC中の給油は義務回数には数えられない規定ですが、どのみちもうすぐピットに入るのでそこでは四輪交換と燃料の注ぎ足しだけにして、実質のピット作業時間を数十秒削る考えです。
この後49周を終えるとガードレール修復が必要なため赤旗に。GTではピットではなくストレート上に車を置いて待機しますが、関口は車の破損状況を見るためにカナードあたりを手で触ってます。これ規定違反では・・・
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| あ・・・ |
25分ほどの赤旗から3周のSC先導走行を経て53周目にリスタート、3位の関口が早速2位の宮田を狙っていきますが宮田は内側をブロック。ところがちょっと宮田が突っ込みすぎたためにターン1に入ったアレジに右からビンタを浴びせてしまいました。アレジも警戒して内側を開けてたんですが、トムスまさかの同士討ちで関口は勝手に1位へ。コース外へ行ったアレジは5位、宮田も3位に後退してしまい、高星もこれまた何もしてないけど2位です。
GT300ではリスタート後にまだピットに入っていなかった車がピットへ、翌周にGBスープラが改めて義務のための3回目のピットに入りました。これで、今コース上で上位にいる人が2回目のピットを終えた時にどの位置関係になるかで概ね状況が見えてきますが、おそらくはぶっちぎりになっているはずです。
GT500、待っている間に路面温度が下がって来た関係か、2位の高星は明らかに関口よりもペースが速く57周目から攻勢を強めます。58周目の最終コーナーを宮田も含めた3台で接近して立ち上がり、関口はスリップを使われることを嫌ってかコース右側へ。ここでどう見てもピットに入るつもりのGT300車両のスリップをギリギリまで使っているので、見ていて「危ないな」と思ったんですが、その僅か5秒後、それよりも遥かに危ないことが起こりました。
ストレートのちょうどグランドスタンド前あたり、Arnage MC86が駆動系の故障でたまたま右側を低速走行。1位の関口は6車身ほどの距離まで近づいたところでサッと左に避けたものの、高星は急に前の車がラインを変えたら低速車両が目前に出て来たので急ブレーキ&急ハンドル。制御を失って左側にスピンしてガードレールに衝突しました。
GT500はかなり多くの車が接近していたのでさらなる多重事故になってもおかしくありませんでしたが、破片で損傷した車があるなどしたものの幸いにして後続車両がまともに絡むことはありませんでした。破片が一部観客席にも飛散しけが人がいないか心配ですが、最も心配だった高星は自力で車から出て救急車で搬送されました。その後の精密検査でも無事が報告されています。
映像を見返すと、高星はちょうどスリップを出てそろそろ並べに行きたいタイミングで左に関口が動いたので、おそらく条件反射だと思いますがその瞬間だけ一瞬右にステアリングを切っているように見えます。右に切ったぶんだけ余計に急な左への操舵で一気にグリップを失ったし、回避するラインそのものも窮屈でした。かといって切らなければ間に合ったかというと厳しそうではありましたが。
レースは即座に赤旗、またもやガードレールが壊れて修復が必要となりますが、既に時刻は16時40分。レースの最大延長時間は18時20分とされており、再開がかなり厳しくなりました。
それでもなんとか再開へ向けて作業が行われ、およそ1時間30分の中断を経て、壊れたガードレール部分はタイヤバリアで応急対応して残り10分でSC先導走行へ。しかしここで悲しいお知らせ。DENSOはやっぱり関口が赤旗中に車に触ったため、そして2位のKeePerは宮田がアレジと接触して押し出したため、それぞれドライブスルーのペナルティー。
そしてレースはそのままSC走行のまま規定時間を超えて62周で終了となり、GT500は上位2台がいずれも40秒加算となったので、3位にいたARTA NSX-GTが事実上1周もリードすることなく優勝となりました。(記録上はピットサイクルの途中の36周目に記録されていると思われる)
普段の1.5倍の450㎞レースだったはずが、結果的に普段の300kmレースの周回数・66周にも届きませんでした。予定された距離の75%を走っていないため、規定により獲得ポイントは通常の半分となります。
関口が赤旗中にカナードを触ったことに関しては、彼に対して監督の脇坂 寿一から「車の状態を外から確認しておきなさいよ」と言ったら見るだけじゃなくて触ってしまった、とのことで、寿一監督も
「雄飛だったらその対処をしてちゃんと乗ってくれると思ったので『自分の目で確認して』と言ったけど、『触ったらダメ』とは言ってなかった。だから僕の責任です。起こる可能性のあるミスをフォローするのが僕の役割なので、あれはもう、僕の責任です」
とコメント。たぶん本音では「触ったらあかんことぐらい常識やろ」と思っているんじゃないかと思いますが、その後の出来事もありましたし、現場組織のトップとして起こった問題の責任は自分だと示すのが寿一監督流の組織管理なんだろうなと思いました。
ストレート上のクラッシュで破片が命中し、もしリスタートされていたら走行は無理だった、というau TOM'S GR Supraが2位、カルソニック IMPUL Zが3位。結果としてはまた表彰台に3車種全部揃っています。ポールシッターのWedsSportは6位でした。
GT300は結果的には標準的な戦略がこの展開に最も適していたと考えられ、TANAX GAINER GT-Rが優勝。BUSOU Raffinee GT-R、SUBARU BRZ R&D SPORT、GAINER TANAX GT-R、Weibo Primez ランボルギーニ GT3、K-tunes RC Fのトップ6でした。GT-Rがトップ4に3台&ダンロップがトップ5に5台( ゚Д゚)埼玉トヨペットGBは展開が全く味方しない不運な終わり方で9位でした。
で、やはり今回は最後の事故が最も大きな出来事だったと思います。何か1つだけに責任があるという1ビット解釈では何の解決にもならないですが、何かしら再発を防ぐ手立てがないか考えるためにも、抜かれる側、抜く側、運営側の3点から状況を考えてみたいと思います。
まず低速走行していたMC86、事故の前の周にシフトが入りにくい症状が出たものの、すぐ収まったので様子見状態で走っていたら、あの周の最終コーナーを立ち上がってから悪化した、とドライバーの末廣 武士。しかし完全にダメになった段階で既にピット入り口の白線を通過していたので入ることができず、右端を走行していたとオートスポーツwebの取材に説明しました。ここで疑問に思われるのは「もっと早くピットの決断ができなかったのか?」「白線を跨いででも入ればよかったのではないか?」といった点だと思います。
私見ですが、前者に関しては、シフト系の問題は86MCの持病みたいなところがあり、なんか騙し騙し走れる、みたいなこともあるので、決断しにくかったとは思います。そしてドライバーの末廣は第3ドライバーとして登録されてこのレースで初めてSUPER GTを走ったので、どうしても無線でチームの指示を仰ぎながらしか動きにくかったと思います。あるとすれば粘ろうとしたチーム側が「あわよくば」と思って粘った点でしょうか。
後者に関しても、これまたデビュー戦の新人には判断しにくく、無線で状況を追いかけるので手一杯なチームも「白線跨いでいいよ入って!」とはなかなか言えないでしょう。そもそも白線を跨ぐというのは危険な動きになりますし、この時数秒後方にはピットに入るapr GR SPORT PRIUS GTがいました。
末廣が白線を跨いだ世界線があったとしたらその世界線では事故は起きていないでしょうが、プリウスはピット入り口で『急に白線を跨いで入ってきたやつ』に邪魔された可能性があります。その世界線では末廣は危険なドライバーだと思われたかもしれません。「自分が入らずに右端をスロー走行したら大事故が起きた」と言っても、事故が起きていない世界線の人は鼻で笑ったかもしれません。白線を跨ぐにしても後方確認をじゅうぶんにしないといけないわけで、言うほど簡単ではなかったと思います。
ただ、本人の認識では白線ギリギリを走っていたみたいですが、実際の映像では右側のまだタイヤ2本分ぐらい余っていて、実際にはさらにそこからピット ウォールまでに車1台分ぐらいの白線外の空間もあるので、位置としてはもっと右に寄れたのでは?というのは感じます。完全に壁まで行ったらサインボードとぶつかるのかもしれませんが、ベターではあったけどベストではなかったかもしれません。
運営側からすると、86に対しては白旗が掲示されていたようです。白旗は『前方に低速走行車両がいるから注意せよ』という意味です。ただ、17番ポストではなんとか振れたものの、車が進んだ先のコントロール ライン上のポストにはうまく繋がらずここだけになっていた可能性がありそうです。
普段白旗なんて注意して見ないので、元々そういうものでなかなかいきなり目の前に来た低速車両に即応は難しいのか、本来ならきちんと次のポストにでも迅速に振られていて当たり前なのか、そのあたりは私には判断できないんですが、そもそもあまり視認性が良いとは言えない白旗で、しかも17番ポストは左側、上位勢は右端を走っていましたし、次のポストまで完璧に使用されていたとして、有効に機能したのかも微妙です。
それと、ガードレールの修理をタイヤで塞いでなんとかして再開したことについても、安全性を考えると危険だからおかしいという考え方もあるかと思います。リスタートさせる気がそもそも無くてSC下で終わるつもりだったので最低限の形式さえ整えば、というところだったかと思いますが、それはそれで「だったらそのまま赤旗で終了させておけばよかったのでは」と言われそうです。
仮に赤旗で終了した場合、規則で赤旗の1周前の順位が最終結果。DENSOはこの赤旗巻き戻しよりも前に発生した事案でペナルティーを受けることになるので40秒加算となりますから、優勝はクラッシュしてドライバーが搬送されたCRAFTSPORTS Zだったということになります。
完全な貰い事故ではありますが、大破した車が規定で優勝という状況をどう考えるか、という話なので、とりあえずレースを一度前に進めるかどうかは完全に運営側のポリシーだろうと思います。
例えば、2位の車が1コーナー手前で抜いて1位になりました、抜かれた側が意地を張って1コーナーのブレーキで無茶をしたら前方のGT300にミサイルして大事故になって赤旗になりました。もし赤旗で終了したら、このミサイルで他のドライバーを殺しかけた人が優勝です、こんな状況だったらどう思うでしょうか?
感情論で言えば、前者は『これでリタイアってかわいそうだし、優勝は相手のペナルティーのせいで自業自得なんだから良いのでは』、後者は『事故の当事者が優勝とかふざけるな、SCで2周でも走れ』となるのではないかと思います。
見る側は色々思って当たり前ですが、運営がこういう考え方でレースを進めて良いのか、とそういうことだと思います。個人的にはいずれのケースも打ち切ってしまえ派ですが、お金を払って遊びに行った方はそう簡単に打ち切りなんてしてほしくないでしょうし、ポンと結論が出せる話では意外となさそうです。運営する側としたら、レースを進める手立てがあれば少しでも進めて、今ある順位をできるだけ正式結果に反映させたい、というところではないかと推察します。
そして関口の動きです。最終的な事故の要因は関口が低速車両を急に避けて高星の回避が間に合わなかったから、ということになります。まず、関口が故意に後続車両に減速、ないしは接触を強いるためにやったんだ、と頑なに主張する人がいらっしゃるようですが、さすがに考えすぎですし、考えるのは良いですが根拠もなく故意に事故を起こした呼ばわりするのは度が過ぎていると思います。
個人的に、この動きになる前段階として、関口がピットに入るプリウスの背後についたことがどちらかというと鍵で、今後に向けて考えるべき点ではないかと思いました。先に書いた通り、私は映像で見ていて「危ない」と思いました。結果事故が起きたからそう書いているのではなく、あの後何もなくても書くつもりでした。
ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、2018年の第5戦富士でも似たようなことがありました。ピットに入るために右へ行ったロニー クインタレッリに対して、関口は後ろについていき、そしてブレーキを踏んだクインタレッリに追突しそうになりました。
当時の状況についてテレビ東京のSUPER GT+の公式サイトに放送内容の文字起こしがありますが(番組が放送終了したのによく残してくれていますねw)、関口はクインタレッリがピットに入るとは思っていなかったというものの、ちょっと楽観的に考えすぎているように当時も思いました。
※2022/5/30 追記
本日リンク先を開いたところ、SUPER GT+のページごと無くなっていました。終了した番組なので消した、というのは当たり前なんですが、まさか結構な人が同じことを考えて異様にアクセス数増えた・・・?
えーっと、当時私もブログでこの件については批判的に書いたはずなんですが、あ、あったぞ。
(クインタレッリは)タイヤが落ちてきています、というかタイムが2秒近く落ちるとなるとこれはもう『崖』に近いです。
抜かれかけた31周終わり、逃げるようにピットへ。ここで、背後にいたauの関口が、ピットに入る雰囲気の車相手にスリップに入った挙句、車体を右寄りにしていて追突寸前に。当たらなかったから良いですが、「いやあ元気があっていいですね」で済む問題ではありません。常識的な頭で考えて、最悪でも(相手がピットに入る可能性を考えて回避が可能な)左に車がいるべきで、これはチームと運営がちゃんと注意すべきです。
・・・めっちゃキツイ言い方してますね^^; 私の口の悪さはさておき、関口はプリウスのスリップを使い、ピットに入るこれを軽く左に避けました。軽くと言ってもタイヤ1本ぶんぐらい左に動いただけで、そのほぼ直線上に86がいました。
白旗の話に戻ると、関口はひょっとしたら白旗の対象がこのプリウスだと思ったかもしれませんし、86を視認する4秒ほど前まではプリウスで前方視界が無かったので、86は物理的に見えていなかったかもしれません。もう1台GT300がいるなー、スリップ入ろ、っと思ったら遅いぞあぶねえ!ぐらいの感じだったのではないかと思います。故障車のスリップを貰いにいったのではなく、進行方向の直線上にいた車が故障車だった、という流れかなと映像を見る限りは思います。
ただ、そもそもそうなったこととピットに入る車を追いかけたことは無関係とはいえないと思います。気になるのは、私が4年前書き殴った『ピットに入る車のスリップを使うために真後ろにつく』という動きについて、運営やドライバーがどう思っていたのか、という点です。
もし、既に危ないという認識があったり、運営から注意喚起されていたり、ブリーフィングで話し合われていたのであれば、それでもこの動きをしたドライバーにはそれなりの非があると言わざるを得ないと思います。
他方で、全くそういう認識は持っていない、いなかった、というのであれば、それはSUPER GT全体として少しドライバー任せにしすぎていて、危険性のある物事に対してのアンテナの立て方が少し甘いのではないかと思います。
重大な事故というのはたいてい1つだけの要素ではなく、複数の要素が偶然一度に発生した結果発生するとも言われます。俗に『パーフェクト ストーム』と呼ばれる状況です。今回の場合も複数の要素が重なった結果こうなったと思うので、どれか1つだけを『主犯』にして攻撃したり、逆に『一切非は無いから批判するやつがおかしい』というのは、生産的ではないですし議論としてもあまり良いものではないと思います。
パーフェクトストームに繋がる因子というのは多ければ多いほどそれらが重なる確率=重大事故発生の可能性は上がるわけで、少しでも減らせるような取り組みはできるものから実行した方が良いと思います。
今回の件で言えば
1 故障車両と白線
2 フラッグ運用
3 ピットイン車両のスリップストリーム
の3点が何か策を考えて行く課題かなと思います。1に関しては、故障があったら白線を無視してでも入る判断をどうすべきか、もし入れなかったなら、ストレートで白線を超えた右側、ピットウォールギリギリのどこまでを退避に使うべきか、といったあたりを参加者で合意形成して共有するだけでもかなり危険度は違ってくると思います。
2は今回の運営としての検証作業に尽きますが、SUPER GTはかなり狭いコースでかなりの速度の車両による2クラス混走なので、たとえばGT独自の旗であったり、周知方法であったり、そういうものも考えても良いのではないかと感じます。
そして3つ目ですが、個人的には富士の場合に直線の右端にピットの導入路があることがこうした課題を生んでいるので、独自規則として『特段の事情がある場合を除き、ピット入り口の白線より右を走行した車が白線を跨いでコースへ戻ってはいけない』という趣旨の決まりを作っても良いような気がします。
現状だと入り口の白線の開始地点がかなり広くとってあるために、最初はコースのそれなりの幅が該当してしまってコースが狭いかもしれないので、GT独自の基準線を別途設けるとかサーキット側との擦り合わせが必要だとは思いますが、今のままでは別の事故がいずれ起きても不思議では無いので、どのみち手を付けた方が良い課題だと思います。
それぞれにおいて少しずつでもリスクを減らすための方策が取られれば事故が起きる頻度は大きく低下するはずなので、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、またその過程もできるだけ開かれた形で、見ている側の人にも伝わるような方法を探っていただきたいと思います。
例えば、できていなかった部分を認めるのは嫌だな、とか、ピットの話に手を付けたら関口が悪いと運営が名指ししているみたいだからそういう話はしたくないな、とか、後ろ向きに見えていないところで話を進めようとするのは、組織運営としてあまり良いものではないと個人的には思います。
特に何も変えない、問題は無かったとしても、「こういう課題が挙げられてこういう検証をしましたが、こういう議論の結果問題無いと考えました」と対外的にきちんと説明するのがすごく大事だと思います。
今回の件に関し、TGR TEAM SARDは『SUPER GT第2戦「FUJI GT 450km RACE」における事故に関しまして』という声明を監督とチーム代表の名義で出しました。かなり異例だと思います。関口に対する批判が非常に多いことから対応に迫られたのかな、と思います。
組織の規模が全然違いますが、NASCARならこの手の重大事案が起きた場合、数日内には必ず組織のトップ、内容によって担当者は異なりますが、関係する人が会見なり声明なりを出して、客観的事象や現時点までの調査状況、検討すべき課題や今後の対応などについて説明をしています。
GTアソシエイションとしてどう考えているのか分かりませんが、次戦のレースに際した定例会見ではなく、この件単独で何かしらの動きは見せた方が良いのではないかと思います。
レースの中身よりその後の話の方がはるかに長くなりましたが、最後までお付き合いいただいた方々、ありがとうございました。次戦は鈴鹿での300kmレースです。









コメント
現地で見てました。ダンロップに居たので2つのアクシデントは直接は見てません。
500のドライバーは心配の声多数ですが、300のドライバーは?という声が少なかったなぁと感じました。
ヘリで運ばれてたのにも関わらずです。注目度の違いと言えばそれまでですが。。
後日、メンテナンスガレージが一緒だからと言って2つの事故に絡んでしまった。。。
というようなタイトルの記事を見た時はショックでした。
ラスト10分で再開のアナウンスはえーーーという声が現地では聞こえてきました。
ペナルティを消化させたい、順位整理したいと色々あるかと思います。
ですが、私は最後までレース再開を信じて待ってくれたファンにありがとうの気持ちを伝えるために
パレードとはいえ走行することを決断したと思ってます。
事実、ライトパッシングや手を振ってくれたりと感動モノでした。
隊列整理もあるGTが10分でグリーンフラッグが不可能なのは火を見るより明らかです。
色んな思いがあるだろうけど、死人が出なかったのは神様からの贈り物として未来へ向けて歩んで頂きたいモノです。
ぶつけて押し出したからペナルティ←分からない
もう完璧に他所には行けない体になりました(^。^)
そういえば現地観戦でしたね。おそらくですが、和田選手の場合、良くも悪くもドアがすっ飛んで姿が丸見えになっていて、映像でも無事そうであることが分かっていたのにたいし、高星選手は一切映像が出ないでずっと固定カメラの画像、車を降りたのにその様子のリプレイすら出さなかった、というのはけっこう大きいと思います。
本当に重大な死傷者が出なかったのは幸運でしたが、次に同じことが起きて全員無事な保証は無いので、次につなげてほしいなと思います。
匿名の方が多いですね!()NASCARはよくも悪くも善悪を全部ドライバーに委ねて、それで一応レースとして完結しているので(違反じゃないからぶつけても問題無い、と毎回必ずぶつけて勝つようなことは起きていない)、意識の違いでしょうかね。ぶつけた時だけ日本では取り上げられるので、見てない人にぶつけ合いだと誤解されるのがファンとしては残念なところなんですけど。まあいずれにしても某9番の人はそういうことしないと思いますけどね~