F1 第6戦 スペイン

FORMULA 1 PIRELLI GRAN PREMIO DE ESPAÑA 2022
Circuit de Barcelona-Catalunya 4.675km×66Laps=308.424km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull RB18-RBPT)

 F1の第6戦はスペイン、開幕から集めて来たデータを参考にして作り込んだアップデート部品を拠点に近いヨーロッパの最初のレースで注ぎ込むのがF1の恒例行事で、ここからまたシーズンのバージョン1.1みたいな戦いになっていきます。アストン マーティンはレッド ブルに似た外観になってきたみたいですが、私はあんまり車体形状には疎いのでよく分かっておりません^^;

 予選ではそのアストンマーティンが新しい装いのせいか苦労する一方で、アップデートしてないハースは2台ともQ3に進出。ハースの代表・ギュンター シュタイナーはこれを皮肉っていたとかw
 ポール ポジションの争いはQ3の1回目で1位だったマックス フェルスタッペンが2回目のアタックでDRSが開かない不具合が発生しアタックを断念。一方、シャルル ルクレールは1回目のアタックのターン14・シケインの入り口で滑って単独スピンする致命的ミスを犯したものの、2回目のアタックでなんとフェルスタッペンのタイムを塗り替える完璧なお仕事。
 前戦マイアミでもフェルスタッペンは2回目のアタックのセクター1でミスってアタックをやめたらルクレールがポールを奪っており、2戦続けて最大の見どころがちょっと拍子抜けする終わり方になってしまいました。


 それでもフェルスタッペンは1回目のタイムが非常に速かったので2位は守ることができ、ルクレール、フェルスタッペン、カルロス サインツ、ジョージ ラッセル、セルヒオ ペレス、ルイス ハミルトンのトップ6。バルテリ ボッタス、今日も7位で速さを見せます。メルセデスはアップデートでいくらか車を改善して来たようですね。

 週末のお客さんは27万8000人の大観衆、決勝は気温36度、路面温度49℃とへばりそうな暑さです(-_-;) ハミルトンだけがミディアム、他はみんなソフトでスタート。サインツのスタートが悪すぎて後ろが詰まりますが、ターン1までにラッセルとペレスがサインツをかわしました。ターン1でペレスとラッセルが軽く接触しましたがどうやら大きな問題にはなっていない様子。
 サインツはなんとかハミルトンに抜かれることは阻止、逆にハミルトンにはターン4で外からケビン マグヌッセンが襲い掛かりましたが接触してしまいました。マグヌッセンはスナーバックス入店、ハミルトンはタイヤを傷めてピットへ。今日は暑いからアイスコーヒーが良いですね。


 ハミルトンはターンを内回りした上にタイヤがミディアムなのでややタイトになって外側へ少し車が流れ、マグヌッセンは斜め後ろの位置から大外刈りしようとして、ハミルトンにアクセルを踏ませないように絞り込もうとやや内側に切り込みすぎたように見えます。コース幅がもっと狭くてハミルトンがラインすら残していなかったのなら微妙なところですが、道幅はまだある中で曲がりにくい相手に近寄ってしまった感は否めないので、この件は審議不要となりました。
 緊急ピットで先頭から1分近く離れてしまったハミルトン、ちょっと気持ちも落ち込み気味で
 
ハミルトン「もし俺がそっちの立場やったらエンジンを守るわ。すまん。」
ピーター ボニントン「ルイス、まだこっちとしてはポイント獲れると思てんねん。ええとこ8位かな。」

 基本的に抜けないコースなのでレースは落ち着きましたが、落ち着きのない人が7周目に現れました。サインツがターン4のブレーキングでいきなりリアがすっぽ抜けて単独スピンしスナーバックス入店、一気に11位へ後退してしまいます。そういえば、スターバックスで夏場にだけ登場するバレンシアシロップをアイスコーヒーに入れるのは個人的におススメですよ。
 強風の影響があるようですが、ちょっとサインツの状況がボッタスみたいになってきた気もします。そのボッタスはこれで5位浮上、なんかアルファロメオに移籍したベテランってみんな生き生きしている気がw


 すると9周目、バレンシアシロップに誘われたか、なんとフェルスタッペンも同じ場所でルースになってスナーバックス入店。ルクレールと2秒差だったフェルスタッペンですがこれでペレスの真後ろの4位へ下がってしまいました。ラッセルは勝手に2位に浮上しましたが、ルクレールから既に9秒離れているのでかなりルクレールは楽になりました。そういえば、スタバの店内でコーヒーを飲むなら、マグカップでドリップコーヒー+ホイップクリームもなかなかおススメです。


 ラッセルはペレスを鬼ブロック、フェルスタッペンとすると前で争っているので自分はどうしようも無い状態ですが、11周目にペレスに譲ってもらってとりあえず3位に。5位のボッタスはラッセルと同等か遅いペースなので、ラッセルの立場とするととりあえず目の前の争いに全力を出しても、それによって誰かに追いつかれて結果的に自分が損をする、という感じではなく抑え込みに全力です。

 このあたりから既に中団はピット サイクルに入っていて、13周目にラッセルとフェルスタッペンが同時にピットへ。同時では何も起きないので順位はそのまま。そして困ったことに、どうもフェルスタッペンのDRSはまたもやちゃんと機能していないようで、せっかく1秒以内に入っても動かなかったり、一瞬開いて閉じたり、時にはちゃんと使えたり。ラッセルはラッセルでクリーン エアーを得ているにもかかわらず車を冷やすよう警告が出ているそうで、お互いに問題を抱えています。

 争いから解放されたペレスは17周まで引っ張ってピットへ。ペースは1分29秒台まで落ちていました。ラッセルは28秒0ぐらいで走っていますが、なんと古いタイヤでまだ走っているルクレールも同じく28秒0で走っていて、速い上にタイヤまで長持ちして誰も手を出しようがありません。サインツの方は早めのピットで順位を上げて現在7位を走行中。少しでも母国のファンに良いところを見せないと。

 フェルスタッペンはちゃんとDRSが使えていたら抜けそうなのに、良い感じの間合いの時に開かなくて抜けず、乱流を受けてタイヤも傷めるけど、かといって抜けないわけじゃないんだから距離を開けてマネージメント、とも行かないイライラタイム。ルクレールの方は21周を終えてソフトからミディアムに繋ぎ悠々と先頭でコースに戻りました。

故障かな?と思ったら

Q DRSが動きません
A ボタンをきちんと押していますか?誤って2度操作すると解除になります。特に縁石で振動している時など、誤操作が起こりやすいのでご注意ください

 フェルスタッペン陣営の無線のやり取りはほとんどこんなレベルで、ああでもないこうでもないとちゃんと動く方法を探ります。24周目、DRSがちゃんと動いたフェルスタッペンがターン1でラッセルのブロックのさらに内側に入りましたが、ここはラッセルがクロスをかけ、なかなかの強烈なライン取りで2位を死守。争っている間にペレスがもう1.5秒差に迫ってきました。
 追いついたペレスは「俺やったらすぐ抜けるからマックスどけてくれへん?」。確かに、DRSが相変わらず不機嫌なフェルスタッペンよりもペレスの方が抜ける確率は高そうな気もしますがレッドブルの決断やいかに。なおラッセル陣営はペレスが1ストップの可能性があると無線で伝えていましたが、さすがに無理だと思います^^;

 27周目、もう優勝は決まったと思って存在すら忘れかけていたルクレールがまさかの失速。エンジンに問題が発生したようです。楽勝ムードが一転、フェラーリは誰も表彰台にすら乗れなさそうな状況となり、これはウルミコスさんが23時にマックデリバリーで倍ビッグマックとポテトを注文してヤケ食いしそうな展開です
(っ ◠‿:;...,

 これでラッセルが暫定トップ、メルセデスは今季初のラップ リードを記録。フェルスタッペンは抜けないので28周目にピットに入りソフトに交換、当初予定の2ストップから3ストップに変更してペースで抜きにかかるつもりのようです。ペース的に5位のサインツの方がラッセルより速かったので、このまま引っかかっているとピット後にサインツに引っかかる可能性があったと思われ、早めの決断が必要でした。

 31周目、ペレスがターン1でラッセルを抜いてとりあえずリーダーに。さっき順位を入れ替えるように無線で言ったからには、実際にコース上で抜いておかないと「なんだよお前、大口叩いて抜けねえじゃねえか」と思われるので絶対抜かないといけない相手でしたね。フェルスタッペンは最速を記録して4位から猛追中です。

 36周目にフェルスタッペンはもうラッセルに追いつきました。1周2秒以上速くてさすがに勝負にならないしラッセルのタイヤも厳しいので、争いになる前にラッセルがピットへ。ミディアムで残りちょうど30周。ペレスはまだまだ走れそうでしたがラッセルにアンダーカットされると面倒なので翌周にピットへ。SCが出たわけでもないのに、なんか妙に長いレースに思えてきました、ピットが多くてなんか頭が疲れるw

 これで暫定でトップに立ったフェルスタッペン、ラッセルよりも速く走って相手をウインドウ外に追い出したところでピットに入るのが理想ですが、ちょうど境界線上でラッセルが踏ん張っている状態。すると44周目、ラッセルに22.3秒の差でフェルスタッペンは勝負の3回目のピットに入りました。
 国際映像では平均的なロスが19秒と表示されていますが、フジテレビNEXTの放送席で川井 一仁が再三クレームをつけている通りそんなに短くはなく実際は21秒ほど。手早い作業でクリスチャン ホーナーがドヤ顔をする中、フェルスタッペンはラッセルの1秒前方でコースに戻りました。ペレスまでも5秒差なので、あとはレッドブルとしてどうするか、という話です。
 川井ちゃんが計算しているロスと国際映像の表示が妙に食い違うことがあるのは一体なぜなんでしょうね?たしかに、ピット出口の速度制限解除位置までで考えると19秒ぐらいですが、その後ターン1までの直線の間にさらに速度差で差が詰まるので、ひょっとして国際映像はこのピット出口~ターン1を考慮してないのか?と疑いたくなります。逆に妙に長い表示の時もあるんですけどねえ^^;

 フェルスタッペンはペレスにも急激に追いつき、これを見て48周目にペレスのエンジニア・ヒュー バードからペレスへ無線。

バード「お前とマックスは戦略がちゃうからな、もし向こうが早いようやったら、譲ってな」
ペレス「それ不公平やん、まあええけど。」

 49周目、ペレスはフェルスタッペンにどうぞどうぞでリード チェンジ。フェルスタッペンは無線で「ありがとう」。あっちがちょっと不穏な空気なのは知らないでしょうね^^; でもまだ17周あるので何が起きるか分からないですよ(。∀°)

 51周目、ラッセルに3回目のピットの指示。ミディアムからまたソフトへ替えてボッタスの5秒後方の4位で復帰。1つ順位を失っただけです。このころ、同じく3ストップでソフトを履いているハミルトンが最速を記録して6位まで順位を上げていました。3ストップとは言っても、1回目は緊急ピットなので実質ソフト→ミディアム→ソフトの2ストップ作戦です。ミディアムを最初に潰しているのでタイヤ的にはけっこう厳しいはずですがなんか速いです。
 ラッセルはあっという間にボッタスに追いついて気づいたらもう抜いていました。ペレスは特に対戦相手もいませんが、念のためラッセルに合わせるような形でソフトへ交換。ついでにハミルトンに獲られたファステストを奪い返しに行くようです。

 表彰台の争いはひとまずこれ以上何も起きないので、ここからの10周で面白そうだったのは4位争い。ボッタスより1.5秒速いペースでサインツが追い上げていますが、そのサインツより1秒速いペースでハミルトンが追い上げています。ボッタスとすると4位は欲しいけど、相手は取引先のフェラーリだし、ペース的にも劣勢だし、7位のエステバン オコンがウインドウ外なのでいっそのことここで自分もピットに入ってしまっても良いかもしれません。
 57周目にこの3台は一か所に集合。翌58周目にサインツとハミルトンが立て続けにボッタスをかわしました。さすがにこれは仕方が無いので、6位をきちんと守るのが大事です。というか、もっと早めにこのミディアムを見切っても良かった気がしますが、結局最後までミディアムで走り切りました。

 60周目、ハミルトンはサインツを追い詰めると、びみょーに左右にブレブレするサインツをものともせずターン1で大外刈り。1周目に19位まで落ちてかなりやる気が無くなっていたところからよく取り戻して来ました。走っている位置もタイヤの使い方も違うので一概には言えませんが、決勝でのペースを見たらハミルトンはペレス並みに速かったようにも見えます。ぶつかってなかったら、というタラレバは今後のレースで魅せてもらえるんじゃないかと期待します。
 ところが64周目、メルセデスの2人に対して「DNFの危険性を考えてもっとリフト&コーストしてくれ」という指示。ペースが想定外に良くて燃料不足にでもなったのかと思ったらPUからの水漏れだそうで、これによって65周目にサインツがハミルトンを再逆転しました。ハミルトンは一気に4秒もペースが落ちました。

 フェルスタッペンは最終的にペレスに13秒差をつけて3連勝で今季4勝目。ルクレールのリタイアによってドライバー選手権でルクレールを逆転して今季初めて1位に浮上。2位のペレスは「チームにとっては良かったけど、、、後で話そか。」あ、怒ってはる・・・^^;


 3位のラッセルは今季2度目の表彰台、サインツ、ハミルトン、ボッタスのトップ6でした。結果は別にしてアルファロメオの2ストップはペース的に失敗でしたね。入賞者の中で2ストップは彼(と実質2ストップのハミルトン)だけでした。
 タイヤを換えるとタイムがポーンと2秒近く跳ね上がるので、21秒のロスがあっても15周もあればじゅうぶんお釣りが来る感じの展開で、機動的に戦略を組み替えた方が全般的に正解でした。
 予選で渋滞にハマって17位となり、開き直ってPU交換して20位からスタートしたフェルナンド アロンソはソフト→ミディアム→ソフト→ソフトという、「グランツーリスモかよ」ツッコミを入れなくなるようなタイヤ戦略で順位を上げて9位入賞。ソフトを連投した戦略ではありますが、第3スティントでのソフト22周は入賞したドライバーの中で最長距離でした。全体ではニコラス ラティフィーの24周が最長、でも彼は16位。
 アロンソはマイアミGPでレース後にコース外走行による5秒加算ペナルティーを受けた件でレース スチュワードを公然と批判してややご乱心ですが、走りではきっちり魅せました。

 結果的に3ストップが中心ということで見ていて忙しいレースでした。普通に行ったらルクレールの圧勝だったはずだし、2位は何の波風も立たずフェルスタッペンだったはずが、スナーバックス大盛況のおかげで盛り上がった感じでした。メルセデスの2人はそれぞれできることをやった感じでしたので、敵失で貰った順位もあるとはいえ、今までのレースよりはレースをしている感じ、方向性としては間違っていないという自信にはなったかなと感じます。

 アルファタウリはピエール ガスリーが序盤に接触したせいもあって14位→13位でしたが、角田 祐毅はアロンソとほぼ同じタイヤ戦略で13位→10位と、予選でのタイム水準を考えれば最善を尽くした感じの結果でした。こちらはアップデート無しでしばらく戦って、データと設計を入念に精査してから投入したいみたいなので、しばらくは劣勢での戦いとなりそうです。

 次戦はモナコ、例年ここだけは木曜、土曜、日曜の変則日程で知られていましたが、今年は他と同じように金曜~日曜の3日間となります。フォーミュラEを見た後にこっちを見ると車がデカいんですよねえw

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