F1 第4戦 イタリア(イモラ)

FORMULA 1 ROLEX GRAN PREMIO DEL MADE IN ITALY E DELL'EMILIA-ROMAGNA 2022
Autodromo Enzo e Dino Ferrari 4.909km×63Laps=309.049km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull RB18)

 F1第4戦はエミリア ロマーニャGPという名前のついたイタリア・イモラでの一戦。ロレックス グラン プレミオ デル、、、長いわ!
 今回は昨年から導入されたスプリント方式が採用される今季初のイベントです。去年は『スプリント予選』、という名称でしたが、今年は予選とスプリント予選で予選が2つもあるとややこしいので、名称は『スプリント』になりました。第4戦で実施されたので年間にいったい何回やるつもりだ、と思ってしまいますが、あとはオーストリアとサンパウロの合計3戦の予定です。
 昨年とは少し制度が変更されており、まず金曜日に開催される予選で最速だった人がポール ポジションとして記録されることになりました。去年だとスプリント予選が正式な予選結果でポールとして記録されたので、単独で走って一番速い人こそがポールポジションの称号を得るものだ、という考えに反するという声がありました。
 それに、金曜日の予選後のインタビューでうっかり「ポールポジションおめでとうございます」っていうと「違います」って言われる状態でしたからね。
 また、昨年はスプリント予選の上位3人に3~1点のポイントが貰えましたが、これだとわざわざ車を壊すリスクを負って走る見返りがあまりに少ないので、今季は1位 8点~8位 1点と上位8人にプレゼントが貰えます。なんかもう、日曜日をNASCARのように400kmのステージ制レースにしても良い気がしてきたw

 金曜日は天気が悪く、フリー走行は雨、併催カテゴリーの走行を経て予選のQ1はラインがドライになっている状態でした。ここでルイス ハミルトンが15位とサウジアラビアに次いで崖っぷちな状態(;・∀・)
 Q2は開始からすぐに雨が降る予想のため全員急いでアタックへ。ここでまずカルロス サインツが最速となりますが、エンジニアからの指示は「プッシュを続けてくれ」。予想が外れたらさらに路面が乾いてタイムを塗り替えられるかもしれないので、万全を期したつもりだったはずなんですが、
ガッシャーン

 サインツ撃沈。ターン18で滑ってそのまま壁に突っ込みました。プッシュしなければよかった。。。これで赤旗となり、その間に雨が降って来たので再開後はもはやタイム更新が不可能な状態。事実上1アタックだけでQ2が終わりました。メルセデスは2台とも脱落し、13位のハミルトンは車を降りたらトト ウォルフと口論らしき姿がカメラにばっちり捉えられてしまいました。
 Q3はまた雨の状態でインターミディエイトを履いてのアタック、マックス フェルスタッペンは会心のアタックの最中にコース脇にバルテリ ボッタスが止まっていたために黄旗が出て減速を余儀なくされますが、きっちりと減速しながらも最速タイムを更新し、その後にこのボッタスの車の排除で赤旗。
 再開後にもう1チャンスを全員が狙いに行きましたが、ランド ノリスがターン12で飛び出してしまってまた赤旗となりそのまま予選終了。フェルスタッペンがポール、シャルル ルクレールが2位。最後に自滅して予選の幕を引いたノリスですがそこまでに記録していたタイムでちゃっかり3位でした。ルクレールは赤旗のタイミングに泣きました。

 スプリントはスタートでルクレールがフェルスタッペンをかわしましたが、タイヤの性能が終盤に落ちて来たところでフェルスタッペンに捕まり、結局フェルスタッペンが8点を貰って決勝も1位からのスタートとなりました。
 予選で不発だったセルヒオ ペレスが3位、サインツも4位となって2強がスプリントできっちり上位に来ました。Q1で落ちた角田 祐毅が12位でスプリントを終えた一方、ハミルトンはその角田に抜かれただけで予選より下げた14位から決勝スタートと、どうにもうまく行きません。

 決勝はまた雨の影響で路面が濡れていて全車がインターミディエイト。すぐ乾きそうに見えますが、「また20~25分後に雨が来る」とピエール ガスリーのエンジニア。スリックに替えるタイミングがすごく難しそうです。戦略に幅を持たせるなら今のタイヤを潰さないようにしないといけません。
 ちなみにガスリーのエンジニアはピエール ハムリンという人。ハムリンというとNASCARのデニー ハムリンが浮かびますが、アレックス ボウマンのスポッターもケビン ハムリンで、意外とハムリン姓って多いなあと思います。アメリカのサイトを調べたら、ハムリンサマは苗字ランキングで2150位、17000人ほどいらっしゃるみたいです。前後には見たこと無い苗字がたくさんありました。

 さて決勝のスタート、奇数列の動きがよくて今日はフェルスタッペンが優勢、ルクレールは前に進まなくてペレス、ノリスに相次いでかわされました。そしてターン2、ダニエル リキャードに一旦前に出られたサインツが外から抑え込んだはずでしたが、内側にいたリキャードは思ったより曲がらなくてサインツに当ててしまいました。
 サインツがスピンして砂場に埋まり、これでSC導入となります。被害者とはいえサインツはまたもや早々のリタイアであまり印象は良くありませんね。。。バルテリ ボッタスもこの2台に詰まってしまった上に軽くウイングを踏まれたようですが、速度域が低かったせいかなぜか損傷軽微、順位は下げてしまいましたがレースを続けます。
 
 よく見たら角田がコース外まで追いやられて道じゃないとこを走ってますね、よく無事でした・・・^^;

 5周目にリスタート、レッド ブルが2台連なっているのでリスタートは安全で、なおかつ3位にノリスがいてしばらく壁になってくれるのでこれはフェルスタッペンにとってありがたい展開。ルクレールの後ろはケビン マグヌッセン、ジョージ ラッセル。ラッセルは11位スタートから前が接触で崩れたので既に5台抜きです。
 8周目にルクレールはノリスを抜いてお客さん大興奮。路面の方は乾きそうで乾かない状況でペースは1分30秒で頭打ち。レーダーを見ると雨雲が近くにいるのでタイヤを潰すわけにいかず、各車濡れた路面を細かく探してタイヤを冷やしながらレースを続けます。

 待てど暮らせど雨は降らず、無線での雨が降る情報もそのたびに後ずれしていって全然降って来ないフルフル詐欺状態。もうタイヤを冷やせる水も無くなって来たのでみんなコースの隅っこや縁石の内側にまで水を求めにいく状態になっていきます。そんな中で16周目、後方に落ちて失うものがないリキャードがインターからミディアムへ。同じころ、徐々にペレスに追いついていたルクレールがとうとう接近戦に持ち込みます。
 するとペレスは逃げるように18周を終えてピットに飛び込みミディアムへ。リキャードのタイムを見てみんなある程度確証を得たようで、ペレス以降は中団勢がいっきにピットへ向かいました。
 翌19周目にフェルスタッペンとルクレールもピットへ、ルクレールは後輪の交換にやや手間取り、とりあえずペレスの前でコースに戻りはしたものの、タイヤに熱が入らない間にペレスが前に出ました。今年からタイヤ ウォーマーの設定温度の上限が70℃になっており、こういった条件ではタイヤの発動までにかなり時間がかかります。でもフェラーリは素早くタイヤ交換ができていたら、ひょっとしたら2位を守れたかもしれませんね。

 ルクレールは熱が入るとすぐにペレスに追いついたのでペースが別格なのかと思いましたが、タイヤ管理職人のペレスはじっくりと熱を入れてグレイニングを出さないように注意していたようで、追いつかれたところから急にペースが上がってファステストを連発、再び1.5秒差に突き放します。
 28周目にペレスがミスってシケインを通過したため一時接近戦へと戻りましたが、まだDRSの使用許可が出ていないことも幸いしてペレスは2位を守り、また1.5秒以上の差に戻します。ルクレールも抜けないのでマネージメントに入ってるのかもしれません。

 34周目、ここでようやくDRSの使用が許可されました。上位勢の争いは皆無になってしまい、映像は14位のハミルトンを積極的に捉えます。集団に埋まってしまい、DRSがあったところで何をどうやっても全然抜けなくて悪戦苦闘する姿が延々と映し出されています。入賞圏外でもテレビに映るのでスポンサーは大喜びですね、ラッセルは5位を走っていて全然映らないけど、とか書いてたら解説の片山 右京がおんなじようなことを言ってて吹きましたw
 48周目、角田がDRSを使ってマグヌッセンをかわし8位へ。この少し前に無線で「ルージングパワー!ルージングパワー!」って大慌ての早口で訴えていたんですが、どうやら大丈夫みたいです。7位のセバスチャン ベッテルも2.5秒ほど前方で狙えそうな雰囲気。

 49周目、後ろのノリスと大きく差が開いていたルクレールが2回目のピット。ソフトに交換しました。無線の内容からすると『プランD』のようですが、ピットを出たらノリスに抜かれました、何でやねん(。∀°)
 これを受けてペレス、フェルスタッペンも順に反応。ルクレールはノリスを抜いて話は元通りになりました。ただ、アンダーカット効果でルクレールはピット前に2秒以上離れていたペレスのDRS圏内に入ることに成功。当然ペレスを狙ってルクレールは猛プッシュします。が、
ギャァァァァ


 サインツの二の舞になってしまいました。縁石に乗りすぎて飛び跳ねたルクレールは壁に当たってウイングを破損。幸いリタイアは免れたものの緊急ピットで大きく順位を失ってしまいました。これは避けるべき失敗。そして、ルクレールがピットに入っているその横のストレートで角田がベッテルを抜いてこれで6位。ルクレールの方には無線で「データは大丈夫だからプッシュしていいよ」と伝えますが、もうプッシュはしない方が良いのでは。。。

 レース終盤に盛り上がったのはラッセルとボッタスの4位争い、去年はちょっと濡れた路面でウイリアムズのラッセルがメルセデスのボッタスを抜こうとして大事故が起こった組み合わせです^^;
 

 フェルスタッペンはペレスを16秒ぶっちぎって完勝、優勝の25点、ファステストの1点、スプリントの8点を全部稼いで34点持って行きました。今回はポール、最速ラップ、全周リードも達成したグランドスラムで自身初。スプリントでも1位だったので、週末に2度トップでチェッカーを受けてグランドスラムは史上初です。(スプリントでは全周リードしていませんが)
 前戦ではルクレールがグランドスラムを達成しており、連続する2戦で異なるコンストラクター/ドライバーがグランドスラムを続けて達成するのも史上初だそうです。今年は勢力図自体はフェラーリとレッドブルで拮抗していても、レース単位では大差になってる印象ありますね。


 そして3位にノリス、ズタボロの開幕戦を見た時に誰がこの結果を予想できたであろうかw ラッセルが4位を守り切ってボッタスが5位でした。でも結果論ですけどボッタスは移籍してよかったですね。ハミルトンは周回遅れの13位で、現時点での獲得ポイントでもボッタスはハミルトンより4点少ないだけですから。

 おそらくコックピットの中で土下座しながら走ったであろうルクレールはなんとか6位。角田はさすがにこれには抜かれて7位でした。今回は予選でQ1落ちしたもののタイムではピエール ガスリーを上回り、スプリントでも接触があったガスリーを週末を通じて上回った状態で終えることができました。
 
 今回はちょっと途中で何も起きなさ過ぎて、眠くなってきたので飲み物を飲みに行ったら母親の長話による想定外の長時間のピット作業を強いられましたが、それでも全然何の順位も変わっていませんでしたw
 ルクレールが仕掛けた結果ペレスの真後ろに来た段階では、「これは抜いたらフェラーリとしてはあっぱれだな」と思っていたら真逆のことが起きたので、やっぱり欲はかくものじゃないなあ、と変な教訓を得ました。
 たしかルクレールは去年のトルコGPでペレスをブロックするのにわざわざ濡れた路面を選んだラインを通った結果外から抜かれ、一昨年のトルコでも同じく濡れた路面でブロックしようとして行き過ぎてペレスに抜かれていたと思いますが、ウエットでは速いけどバトルの際のリスク管理にはまだ詰めの甘さがあるのかもしれません。逆に常に道をしっかりと捉えるペレスは爆発的速さは無いけどウエットで必要な堅実さをしっかり持ち合わせていて、らしさが出たレースだと感じました。

 さて、次戦はスペインだったかなあ、と思ったらアメリカ大陸に飛んでマイアミでした( ゚Д゚)決勝は日本時間の朝4:30分スタートみたいなので、早く寝て『早起き』の感覚で行けばもしろ2時とかのレースよりも見れそうな気がします。大阪メトロでも31000系とかの車内ディスプレイだと共同通信のニュースでF1がネタバレする時があるんですよねえ。。。

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
初歩的な質問ですが、F1って、何人でタイヤ交換してるんですかねぇ。レースはハイライトでしか観ていないので、分かりません。育成じゃなく、自力でレッドブルに行き、このまま定着しそうなペレスは凄いと思います。
カイル・プッシュ さんのコメント…
NASCAR、F1と連続投稿ありがとうございます。
ハムリン、たくさんいてるんですね。知りませんでした。
実況中に川井ちゃんも言ってましたが、あんなに後を走ってても映してもらえるところが、さすがハミルトンですね。
個人的にはあまり好きではありませんが笑
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 F1の場合は1輪につき、インパクトレンチの人、タイヤ外す人、タイヤ付ける人、の3人1チームなのでタイヤ交換だけで総勢12人がかりですね。これに前後のジャッキも入るので、F1の1台のクルーでNASCARなら3台分のクルーが賄えてしまいます^^;
ペレスはザウバー時代に小林可夢偉のチームメイトで、なんとなく日本では「金でチームに残って可夢偉がシートを失う原因になったペイドライバー」という見られ方をしてたところがありますが、私は当時から速いと思っていたので、相応の地位に辿り着けて嬉しく思っています。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 わざわざハミルトンとフェルスタッペンの差を77秒とかテロップで表示する国際放送はずいぶん意地悪だなあと思いましたねw
私も昔はハミルトンは危険行為が多くて好きではなかったですね。自分がグランツーリスモでレーサーのまね事をするようになったせいもありますけど、勝ちまくってるターボハイブリッド時代に入ってからの方が、むしろ彼の凄さが理解できて、かつ危険行為も少なくなったので素直に見れるようになりました。このまま終わってほしくはないですね。。。