NASCAR Cup Series
長年在籍したペンスキーを離れ、ラウシュのオーナー権を取得して共同オーナー兼ドライバーとなる新たな道を選んだケゼロウスキー。予選レースとはいえいきなり移籍初戦で結果を出し、しかもペンスキーの元チームメイトを従えての結果ですから抜群の滑り出しです。
BlueGreen Vacations Duel
Daytona International Speedway 2.5miles×60Laps=150miles
duel 1 winner:Brad Keselowski(RFK Racing/Kohler Generators Ford Mustang)
duel 2 winner:Chris Buescher(RFK Racing/Fastenal Ford Mustang)
いよいよ始まる2022年のNASCAR Cup Series、まずはお馴染みデイトナ500へと向かう予選からスピード ウイークが始まります。デイトナだけはシーズンで唯一特殊な制度を採用していてややこしいのでそのおさらいから。
まずは2月15日に練習走行を2回行います。ここで前回ご紹介したリバース スキュー問題に直面しましたw
続く16日、予定より3時間早く現場に入って変更された規則に車両を適合させ、1台ずつによる予選が行われます。予選はまず全車が1回ずつアタックし、上位10台が再度1台ずつ走るスーパー ポール方式。ここで1位と2位のドライバーはそのままデイトナ500での予選1位、2位となります。残るグリッドは予選レースであるデュエルの結果確定します。
17日にデュエルが開催されます。レースは2組に分かれ、単独予選での奇数順位の人がデュエル1、偶数がデュエル2に回ります。単独予選で1位と2位の人は既に決勝のスタート順位が決まっていますが、デュエルにも参加します。デュエルでの順位がデイトナ500でのスタート順位となり、デュエル1ではPPの人を除いて1位が2列目の内側、2位が3列目、3位が4列目・・・となります。デュエル2は同様に外側のグリッドを決めます。
決勝に参加できるのは最大で40台。チャーターを有する36台の車は、最悪デュエルでクラッシュしてビリになっても決勝への出場は保証されています。一方で、チャーターの無いオープン チームは最大で4台までしか決勝出場の枠が無いので、エントリー台数がこれを超えると予選落ちが発生します。
今年オープン枠でデイトナに挑戦するのは、ジャック ビルヌーブ、グレッグ ビッフル、カズ グラーラ、J J イェリー、ノア グレッグソン、ティミー ヒルの6人。この中の2人は残念ながらデイトナ500本番に出場することができないままこの週末を終えます。
4台のオープン枠を決める方法はさらに複雑です。単独予選でオープン勢で上位2台に入ると決勝進出は保証されます。デュエルヘはオープン勢の車を半々に割り振ってエントリーさせることになっており、各レースはチャーター18台+オープン3台という参加台数になります。そのため、厳密に言えば上記の奇数/偶数による割り当ては『チャーター勢の中で/オープン勢の中で』という但し書きが付きます。
デュエルでオープン勢の中で最上位になれば決勝進出が決定します。しかし、予選で既に決勝進出を確定させた人がデュエルでも最上位だった場合には、そのレースでオープン枠2位の人が繰り上がり、ではなく『まだ進出権を持っていない人の中で予選タイムが速かった人』に枠が与えられます。レースで出場権を決めたので、予選タイムによる出場権が予選3位以下の人に移った形ですね。
今年はオープン枠が6人ですので、予選で5位、6位になってしまった人は、デュエルでオープン勢最上位でフィニッシュすることが決勝の必須条件となります。
なお、予選で決勝進出が決まった2台はあまり走る意味が無いように思いますが、決勝のスタート順位においてオープン枠最上位だった場合にはそのままデュエル順位がスタート順位に、予選タイムで権利を得た場合は最後列スタートとなっているため、スタート順位が大きく変わります。ただ、車を壊す危険を冒して上位グリッドが欲しいかどうかは考え方次第です。
さて、前置きが長くなりましたがまずは予選、PPを獲得したのは昨年のチャンピオン・カイル ラーソンでした。2位はチームメイトのアレックス ボウマン。3位にウイリアム バイロン、5位にチェイス エリオットでヘンドリック モータースポーツが上位5台に4人。
ひたすらスロットルを踏むだけの疑似直線なので、多くの順位は前後のドライバーとのタイム差が0.05秒にも満たず、0.01秒以下のところも多い中で、3位バイロンと4位エリック アルミローラには0.089秒の差、5位のチェイスと6位のマーティン トゥルーエックス ジュニアには0.076秒の差がついています。
リバーススキューが話題になった上に、予選でも微妙にまだ斜めに走っている気がする中でこの結果だったので、「スキューされた結果?」なんて見出しがつけられていました。今年の流行語大賞有力候補です(っ ◠‿◠ c)
オープン枠では33位のグレッグソンが最上位、以下36位・ビルヌーブ、37位・グラーラ、38位・ビッフル、41位・イェリー、42位・ヒルとなりました。これでグレッグソンとビルヌーブの決勝出場が保証されました。イェリーとヒルは40位のデイビッド レーガンと比較しても予選速度が2~3マイル遅いので、ちょっとデュエルも厳しそう。グラーラとビッフルは当選確実です。
そしていよいよ2月17日・デュエル。ラーソンとバイロンを1列目にデュエル1が始まります。予選の偶数・奇数で割り振るだけなのでたまたま偶数にトヨタ車が固まって、ただでさえ少ないトヨタ車はこのレースではカート ブッシュの1台だけでした。共同オーナーのマイケル ジョーダンはちょうどこの日が59歳の誕生日です。
気温22℃、路面温度25℃、いよいよNext Genの時代が幕を開けました。まずはラーソンがバイロン、チェイスを引き連れて内側で体制固め。外側はロス チャステインが引っ張ります。オープン勢では決勝進出が確定しているグレッグソンが早々に隊列を離脱して安全運転に入っている模様。
やがてレースはシングル ファイルへ。平穏に20周が経過してグレッグソンは周回遅れになりました。排気レイアウトが変わったことで聞こえてくるエンジン音が昨年よりやや重低音要素が増えた気がしますが、この辺でもう慣れてきましたw
オープン勢の争いは、5台ほどの後方集団で走行していたグラーラに対しイェリーが遠く離れてはぐれたためにグラーラの進出が確実かと思われましたが、やがてグラーラも隊列から外れてしまいます。
35周目、シボレー勢とカートが一斉にピットへ。4輪交換が主流で、2輪だったのはタイラー レディックとカート。ちょうど周回遅れになったグラーラはここで一緒にピットに入りドラフトを得たいところでしたが、なんと速度違反。ペナルティーを受けて2周遅れになってしまい、出場権は現時点でイェリーの手に渡ります。
グラーラはレース前に部品交換を行ったことで最後尾スタートとなっていましたが、交換したのがデジタル ダッシュでした。交換したせいで実際の回転数と車速がきちんと一致していないなど、ひょっとして交換したことが関係しているのでは、という出来事でした。
翌周にフォード勢もピットに入り、こちらは右側2輪交換でピットを出てシボレー勢より前でトラックに戻りました。先に入った組ではレディックだけがここに合流、カートは微妙に離されていたのでこの集団に入れてもらえず単独になってしまい、ほどなく4タイヤ組に吸収されました。
これでリーダーはライアン ブレイニー、ただ後ろからブラッド ケゼロウスキーがちょっかいを出しています。もうチームメイトじゃないから遠慮はいらんのです(・∀・)
残りが10周となることにはレディックも置き去りにされて、ブレイニー、ケゼロウスキー、チェイス ブリスコー、オースティン シンドリックの4台だけがリードパックを形成。
残りが4周に入ったところでケゼロウスキーが動いてブレイニーをかわし、ブリスコーが素早く反応してこれに続きました。ところが、その前方にいた周回遅れをさばくタイミングで読みを誤ったブリスコーは罠にハマって4位へ後退。ブレイニーがケゼロウスキーを伺います。
そのまま最終周に突入し、バックストレッチでブレイニーがケゼロウスキーを狙っていましたが、そのブレイニーに対してさらにシンドリックが揺さぶりをかけたので、ブレイニーはここについ反応。これが大失敗で、チームメイト同士で2位争いのつぶし合いをしてしまい、ケゼロウスキーは特に何もしなくてもそのままトップでチェッカーを受けました。
Bピラーのところに29と書いたデカールがありますが、これは昨年の12月22日に他界した彼の父・ボブ ケゼロウスキーが現役時代に多く使用していた番号です。そういう点からも非常に精神的に重圧も期するものも色々あったと思いますが、デイトナでいつも通りのパフォーマンスを見せたケゼロウスキーには期待できそうです。
一方オープン勢の争いは最後にドラマ。速度違反で2周遅れになってしまい絶望的に見えたグラーラでしたが、なんとか近くにいる隊列を捕まえてペースを上げます。一方イェリーは途中B J マクラウドと2台で走れた場面もありましたが、結局単独走行になってしまってペースが上がらない状態で最終周。最後の最後にグラーラを含む集団がイェリーを抜き去り、グラーラはただ隊列に食い下がっていたら大逆転で決勝の出場権が戻ってきました。ザ マネー チームは2月1日に参戦を正式発表したばかりでしたが、初のデイトナ500に挑むことになりました。
続いてデュエル2、ボウマンとアルミローラの1列目ですが、スタートするとアルミローラは1周と経たず隊列の先頭を放棄。後方ではビルヌーブがスロットル ケーブルに問題があるようで置いてけぼりになっており、結局このレースを途中でリタイアしてしまいました。
こちらのレースは10周を超えてもダブル ファイルでの走行が続き、ボウマンとジョーイ ロガーノが隊列を引っ張り続けます。ウッド ブラザーズのペイント スキームは放送席で好評の様子、今年解禁されたクロームのカー ナンバーが映えます。ベース車両のデザインが変わったせいですが、去年と比べてマスタングだけすごく印象が変わってますね。カムリは何も変わらんw
15周目あたりから急に上位勢の出入りが激しくなり、数度のリード チェンジの末に20周目にはクリス ブッシャーを先頭にしたシングルファイルになりました。
26周を終えるとトヨタ勢を中心に全体の半数ほどがピットに入りますが、ここでデニー ハムリンが姿勢を乱して入り口でスピン。ハムリンも大損ですし、ドラフトの仲間が減るので他のドライバーにも痛手です。
ハムリンは18周目あたりに無線で「こういう感じのエナジーは好きじゃねえな」と、前方のドライバーがどうも不穏な動きをしていて嫌な雰囲気を感じていたようですが、ピットで自滅してはそれ以前の問題でした。本番の前にここでやらかしておいてよかった、ということにしたいですね^^;
33周を終えると残った車もピットへ。ピット内ではディロン兄弟が接触、ここまでリードパックに加わっていたビッフルはこのピットで致命的に遅れてはぐれてしまいますが、競合相手のヒルがさらに後方にいるので現時点では決勝進出が濃厚。
ピットを終えるとフォード勢の4台、ロガーノ、ブッシャー、マイケル マクダウル、ハリソン バートンだけが抜け出してデュエル1と似た状況になります。追うのはトヨタを中心とした6台ですが10秒後方。ケビン ハービックは何か問題があるのかドラフトに入れずイライラ。アルミローラも下がったというよりは速度が伸びない原因があったようですぐドラフトからも離されましたし、スチュワート-ハースは何か不調があるのかもしれません。
4台で走るフォード勢に対し、周回遅れのハムリンが合流して5台になったトヨタ勢はそれでも追い上げられずその差は徐々に拡大。ロガーノがリードしたままレースは終盤へ向かいます。
最終周、ちょうど周回遅れのレーガンが内側にいたのでターン1で全員外側へ。ここからレーガンをかわした瞬間にブッシャーが内側に下りてターン2出口でロガーノの懐に飛び込みました。が、ロガーノがラインを変えてブロック。
絡みました(;・∀・) ロガーノがクラッシュ、ブッシャーはそのまま走り去り、コーションとなってそのままレース終了。コーションの瞬間にブッシャーとマクダウルのどちらが前にいたかが注目されましたが、マクダウルはロガーノを避けようと急ブレーキを踏んでいたので、クラッシュがありつつもブッシャーは一貫して前にいました。勝ったのはブッシャーでした。オープン勢は結局ビッフルが13位で決勝進出、ヒルは4周遅れの20位で敗退となりました。
これでRFKはデュエルで両レースを制覇しました。全体的にもう少し決勝に向けた色んなドラフティングのパターンを試すような時間帯があるかなと思ったんですが、車を壊したくないという意識と、終盤に大集団では無かったせいでものすぞく静かなレースでした。ロガーノだけが例外でしたw
逆にロガーノはあのタイミングで左に行ったって絶対ぶつかる上に、デュエルの、しかもまだバックストレッチもある中であの動きをやる必要性は全く感じませんでした。決勝でまた余計な事故を生まないことを願いますね。
予選ではヘンドリックが圧倒的に速かったのに、決勝ではピットで抜け出して以降フォード勢がそのまま少ない台数のパックでもペースを維持して逃げることに成功しましたが、たまたまなのか、新しい車両で何か別の理由があるのか、そのあたりも気にしながらの決勝観戦となりそうです。
と、これで決勝に向かうはずでしたが、デュエルの翌日・2月18日に『NASCARがRFKとペンスキーのホイールを研究開発センターへ持って行った』という情報が流れました。
修正&追記:FOX SPORTSのボブ ポクラスが伝えた情報によれば、チームはホイールの穴を僅かに加工して拡大し、これによってホイールの着脱を円滑に行えるようにした疑いがあるとのこと。ケゼロウスキーはホイールに関して「RFKとペンスキーのホイールはパフォーマンスのためではなく安全性のために変更を加えた」とコメント。
どうも今一つ判然としませんが、reddit.comのこの話題に関する書き込みの中にこういう話が。センター ロック式のホイールはブレーキ ローター側にホイールを位置決めするためのピンが出ています。ホイールはどう向けに差し込んでも締まるわけじゃなくて、このピンとホイール側の穴が合致しないとハマりません。SUPER GTのピット作業を見ていても、ピンと穴が合わなくて手間取っている場面があります。
ホイールをきっちり固定するためのものなので穴とピンの大きさはかなりギリギリに設計されているわけですが、どうやらこの位置決めのための穴のサイズを少しばかり拡大し、円滑に脱着ができるような加工をしたのではないか、という話です。
チーム側からするとひょっとしたら「個体差があって、物によっては脱着時に干渉しすぎてきちんと締まらない可能性があり危ない」というような意味合いを持たせたのかもしれませんが、NASCAR側から見てこの加工が違法なものなのかどうか、というあたりが検査対象かもしれません。
ケゼロウスキーが言ってることからして、チームも加工そのものを否定はしないと思われます。でももしそうなら正面からNASCARに言えば良いだけの話に思えるので、勝手に削った時点でアウトな気もします。このあたりNASCARがどう考えるかですが、レース前に結果が出ないと北京オリンピックの女子フィギュア スケートみたいなことになりかねません・・・
いよいよ現地時間2月20日にデイトナ500が行われます。たぶん日本でYouTubeを使って見られるのは23日の23時ごろからではないかと予想します。
そういえば、今回現地のCM中に何度かジェシー パンチがリポートしてくれていました。FOXだとCM中なのでこれはNASCAR側の配信映像だけの内容ではないかと思いますが、ただ無音でCM終了を待つより遥かにありがたいので、今後も続けてもらえたら嬉しいですね。
名前を聞いてコアなファンはすぐにピンときますが、彼女は以前にESPNのリポーターとして活躍していた"ドクター"ジェリー パンチの娘さんです。親子でNASCARのリポーターって良いですねえ。ドクターは元気にしてはるんかなあ。
コメント
そのロガーノですが、今回ばかりはインタビューでかなり反省しているように感じました。これがきっかけで、行き過ぎたブロッキングを自重するのかどうか、気になるところです。
なお、今年のデイトナ500はカズ・グラーラを応援したいと思います!
(何となくですが、良さそうなドライバーなので)
グラーラはかなり早くからレースに出ているドライバーみたいですし、何かのきっかけがあれば伸びそうな雰囲気はありますね。ちなみに学業もけっこう優秀だそうです。