アルミローラが今季限りで引退、他NASCAR情報

 長い記事を書いたりダカール ラリーを見たりしている間に随分と世の中が進んでしまいました。2021年末~2022年初頭あたりのNASCAR Cup Seriesの情報です。

 1月10日、スチュワート-ハース レーシングのエリック アルミローラが2022年のシーズンをもって引退すると発表しました。2007年にカップシリーズにデビューし、通算で3勝を挙げている37歳は通算15年目のシーズン(2011年はシートが無かった)でキャリアに終わりを告げることとなりました。
自身のYouTubeチャンネルで引退について語る
アルミローラ


「私はレースカーを運転することを本当に楽しんでいる。2022年にスミスフィールドとスチュワートハースレーシングのためにレースをすることに心を躍らせて興奮しているよ」
と、アルミローラ。
「でも、この仕事で最高になるには利己的でないといけない。この37年間、私の人生は常に私と、私がしなければならないことを中心に展開してきた。」
「私は立ち合いたい。 最高の夫と父になりたいと思っている。それは私にとって、レーシングドライバーである以上の意味があるんだ。だから、私がレースに参加するのはもう1年だけ、そこでは最高レベルで競争するために必要なことは何でもするよ。 でも、シーズンが終わったら、さようならをする準備ができている。 私はレースをずっと愛してきたけど、私の人生の次の章へ向かう時間なんだ。」

 2007年にデビューしたもののスポット参戦が続いていたアルミローラ、2012年にリチャード ペティー モータースポーツから初めてフル参戦すると、2014年には雨により途中終了となった夏のデイトナで自身初勝利。しかし翌年のカンザスで大クラッシュに見舞われて椎骨を骨折する大けがを負い7戦を欠場しました。
 それでも、彼の活躍が評価されてこの年にスチュワートハースと契約し2018年から新たなチームで参戦。この年のタラデガで2度目の勝利を挙げるなど3年間で47回のトップ10フィニッシュ、13回のトップ5フィニッシュを記録、いずれの年もプレイオフに進出しました。
 しかし2021年はチームが極度の不振に陥り、アルミローラも開幕から絶不調。ニューハンプシャーでの優勝でプレイオフには進めたものの、トップ10フィニッシュは僅かに5回にとどまっていました。新しい世代の車で最後のシーズンに挑みます。
 なお全くの余談ですがアルミローラは2019年にスポンサーのGo Bowlingとの兼ね合いで、ジェイソン ベルモンティというプロのボーリング選手(すごい人らしい)を助手席に乗せてシャーロットのフロントストレッチで『140mphの速度でストライクを取る』という謎の世界記録を達成しました。

 ではその他の話題です。2022年の車両パッケージについて、既にスーパー スピードウェイ以外では『670馬力/4インチのスポイラー』で行われることが発表されていましたが、テストを経て仕様が決定しました。
 スーパースピードウェイでは510馬力のエンジン出力で、スポイラーは7インチとかなり高いものが採用されます。また、更新工事を行ってバンク角が28°に盛り上げられたアトランタもスーパースピードウェイ扱いとなって、1.5マイルで唯一こちらの仕様で開催されることになりました。さて面白いレースになるのかどうか。
 そのデイトナですが、例年はデイトナ500で優勝した車両がそのまま1年間展示されることになっているそうです。ところが今年に関してはこの展示は行われないことになりました。というのも、世界的な供給不足による車両生産の滞りがNASCARにも影響しており、新車であるGeneration7車両を各チームが満足に確保できていないためです。
 規則では最大で1チーム7台まで車を保有することが認められているんですが、現状ではトラックに持ち込んで走らせるもの+αぐらいの台数しか有力チームでも確保できておらず、展示してしまうと代わりの車の確保に懸念があるためです。デイトナを訪れて車が見当たらなくても「警備員さん!車が盗まれてます!!」と慌てないようにしましょう。

 続いてドライバーの情報です。デイトナ500に向けてはスポット参戦するドライバーも明らかになり始め、リック ウェアー レーシングはデイビッド レーガンの起用を発表。新規参戦となるチーム ヘイズバーグはデイトナでのテストにジャック ビルヌーブを起用しており、このままビルヌーブがデイトナ500の予選に挑む見通しです。大丈夫かいな。

 リックウェアーレーシングはコディー ウェアーが昨年に引き続きNo.51でフル参戦することになりました。チームは2台体制を予定しており、No.15はドライバーが色々と替わる見込み、先ほどのレーガンもこの色々のうちの1人で、デイトナ以外にも数戦に出場する見込みです。
 同じくリックウェアーからは、ライアン プリースも数戦に参戦する見込みです。2021年限りでシートを失ったプリースはリザーブ ドライバーとしてスチュワートハースと契約を結びました。普段はシミュレーターでの開発を主に担当しますが、もし本来のドライバーに出場できない問題が生じた場合、代役として起用される見込みです。
 また、スチュワートハースは今季からリックウェアーと提携しており、その関係でLAコロシアムで開催されるザ クラッシュにNo.15で出場、他にもシーズンに入ってからドーバーとシャーロットで出場する見通しとなっています。実践感を失わないようにしつつ待機しているわけですが、アルミローラが引退するわけですからプリースとしてもちょっとアピールしたいかもしれませんね。

 一方、残念ながらカップシリーズで居場所を失くしたドライバーも当然いるわけですが、その中の1人・我らがマット ディベネデトーはキャンピング ワールド トラック シリーズへと戦いの場を移すことになりました。2022年はRackley W.A.R.というチームのNo.25でトラックシリーズにフル参戦します。

 ラックリーWARは、元々2008年にウィリー アレンというドライバーがレイト モデルのチームとして立ち上げました。2020年にここにラックリー ルーフィングという会社のCEO・カーティス サットンがチームの過半に出資した上で、2021年からトラックシリーズへ参戦を開始した、シリーズ内では新しいチームです。ラックリー ルーフィングは名前の通り屋根に関係する会社で、大きい建物や競技場なんかの屋根を葺く会社だそうです。
 参戦1人目は4人のドライバーを起用して、最高位はテキサスでジョッシュ ベリーが記録した10位、オーナーのアレンも2戦だけ自分で走ったみたいですが、2022年はカップシリーズで経験豊富な30歳を起用してチーム力の強化を狙います。なおMatt Dにはこれまでトラックシリーズのレース経験はありません。

 ラウシュ フェンウェイのシートを失ったライアン ニューマンは、引き続きレースをする意欲があり、それゆえに2021年を引退のシーズンとすることも、引退という言葉を使うつもりも全く無かったそうですが、現段階では2022年にNASCARに出場する見込みはなく、出るとすれば草の根レースなどになりそうだとのことです。

 最後に、今年のソノマで開催されるレースは、2019年と2021年に使用したフルのレイアウトではなく、それ以前に使用していた短いレイアウトで開催されることが発表されました。これにより高い縁石を飛び跳ねる光景が再び見られそうです。

 以上、年末年始の動きを駆け足でお伝えしました。

コメント

匿名 さんのコメント…
アルミローラの初勝利は2014年の夏のデイトナですね。目立たないけど堅実にフィニッシュするアルミローラが引退するのは、中堅ドライバーを応援する身としては悲しい限りです。彼が家族と幸せに暮らせると願っています
SCfromLA さんの投稿…
>匿名さん

 ありがとうございます、訂正しました。思いっきり打ち間違えてた^^;
30代半ばを過ぎると家族の時間を重視する方は競技を問わず増えている印象ですね。車が切り替わってもし俺に向いてたら、とか考えるとなかなかこのタイミングでの決断は難しいはずなので、それも織り込んで臨む最後のシーズンで出し切ってくれるといいなと思います。