2022年のカップ戦は670馬力、他NASCAR情報

 NASCAR Cup Seriesは2022年のシーズンに向けて12月15日、17日の2日間テストを行いました。そしてこのテストの結果を受けてNASCARは12月21日にルール パッケージを発表。インターミディエイトのオーバルでは670馬力のエンジンと、4インチのスポイラー高による『高速低ダウンフォース仕様』でレースを行うと発表しました。
 ショート オーバルとロード コースでも同様のパッケージを採用することが既に発表されており、これで2022年のレースは『スーパー スピードウェイ仕様とそれ以外』の2つのパッケージでレースが行われることとなります。

リスタートのテスト、これだけでテンション上がります(*´▽`*)

 NASCARの上級副社長 兼 最高レース開発責任者のスティーブ オドネルは次のように発言しました。

「何時間にもわたる風洞と走行テスト、そしてドライバーやより大きな業界からのフィードバックにより、NASCARはスーパースピードウェイ以外のNASCAR カップ シリーズの各イベントで、より高い馬力とより低いダウンフォースに移行します。670馬力のエンジンと4インチのスポイラーを搭載したセットアップは、強力で激しい競争につながり、レースを世界最高のドライバーの手に委ねることができると信じています。それが、次世代車を開発する際に業界に設定した目標でした。私たちは自分たちが向かっている方向に自信を持っており、2022年以降のレースを非常に楽しみにしています。」

 昨年はダーリントンと1マイル以下のトラック、ロードコースでは750馬力、インターミディエイトのトラックでは550馬力でしたから、1.5~2マイルのオーバルではかなりの高速仕様に戻ることになります。
 今回のテストでは、このパッケージを導入したせいなのか、たまたま走りにくいコンディションだったのか分かりませんが、ターン4でスピンする車が複数出て、タイラー レディックはピット入り口のバリアに派手にぶつかってしまいました。
ド派手にドラム缶にぶつかったレディック

 その他の情報ですが、まず2022年からカップシリーズへのフル参戦を開始するコウリッグ レーシングが体制を発表。No.31でジャスティン ヘイリーがフル参戦し、もう1台のNo.16をA J アルメンディンガー、ダニエル ヘムリック、ノア グラッグソンの3人でシェアすることになりました。

 ヘイリーは昨年までXfinity Seriesを主戦場とし2020年はシリーズ3位、2021年は6位。一方で2021年はカップシリーズにも30戦にスパイアー モータースポーツから、1戦だけコウリッグから出場しています。来年まだ23歳と若いドライバーです。

 AJは2014~2018年にフル出場していたご存知ロードコース職人。2021年はインディアナポリスでスポット参戦ながらコウリッグに初優勝をもたらし、エクスフィニティ―シリーズでも5勝を挙げてシーズン4位でした。来年40歳のベテランです。


 ヘムリックは2019年にリチャード チルドレス レーシングからカップシリーズにデビューしてこの年のルーキー オブ ジ イヤーだったものの、事故が多くてなんと1年でクビになってしまったちょっと悲しい記憶があるドライバー。2021年のエクスフィニティシリーズ最終戦、最終周のターン4でオースティン シンドリックとドア同士をぶつけながら僅かに先着しチャンピオンとなりました、

 グラッグソンは2018年に19歳ながらチャンピング ワールド トラック シリーズでシリーズ2位、翌年からエクスフィニティで8位、5位、3位と年々成績を上げています。Wikipediaによれば熱心なゲーマーだそうで、Dash 4 Cashというエクスフィニティの中でも高額賞金が設定されたレースの優勝賞金でフォートナイトを買ったそうです。
 1台はチームの期待する若手で固め、もう1台はベテラン、中堅、若手で得意分野を走らせることでのデータとスポンサー集め、というところでしょうね。ロードコースになるとやっぱりAJの活躍に期待してしまいますねえ。

 一方、フロント ロウ モータースポーツはマイケル マクダウルとトッド ギリランドの2台体制で2022年のカップシリーズに参戦すると発表しました。
 21歳のギリランドは2021年のエクスフィニティ―で1勝してシリーズ7位、2016、2017年にはNASCAR K&N Pro Series Westを連覇しています。父は2000年代に活躍したデービッド ギリランド、祖父は1990年代に活躍したブッチ ギリランドです。デービッドが現在45歳、ブッチが63歳なのでかなり年齢が近いんですね。
 FRMのNo.38はデービッド ギリランドも2012~2015年に運転し、2013年のタラデガではデービッド レーガンとの『奇跡のワン ツー』を達成したことでファンの記憶に深く刻まれています。父と同じ車で息子はどんな活躍を見せてくれるでしょうか。起こりそうもないドラマが起こるのがNASCARです。

 一方来るものもいれば去る者もいるのが世の常、M&M'Sなどのお菓子ブランドで知られるマースが2022年限りでNASCARのスポンサーを離れると、スポーツ ビジネス ジャーナルのアダム スターンが伝えました。マースのM&M'Sは1998年にアーニー アーバンのスポンサーとして登場して以来NASCARにおける有名なスポンサーであり、2008年にカイル ブッシュがジョー ギブス レーシングに加入して以降は一貫して主要スポンサーでした。
 まだ正式に発表されたわけではないようですが、JGRの社長・デイブ アルパーンはスターンの取材に対し
「2022年にマースへの感謝に集中できることを願っています。2023年にインターステイト バッテリーズの車に誰が乗るか発表できることをとてもうれしく思います。」
と、マースが来季限り、2023年からインターステイトバッテリーズが主要スポンサーとなることを示唆しました。ついでに言うと、カイルの契約が2022年で切れるとみられていますが、それも裏付けられました。

 カイルも自身のTwitterアカウントに
「マースの皆さんに対する私の感謝は永遠です。55回の優勝と2度のカップのタイトルとともに、2022年以降も続く友情を築いてきました。マースの家族はいつも私を受け入れてくれており、いつも感謝しています。 22年にはビクトリー ロードへの多くの旅路があります!」
と、マースへの感謝を投稿しました。マースとともにカイルもいなくなるのか、ならないのか。

 最後のトラックの話題を2つ。アトランタ モーター スピードウェイは約5か月におよぶ再舗装と改修工事が終わりました。2022年には新しい設備でカップシリーズが開催されます。
 そのアトランタをはじめ多くのトラックを所有しているのがスピードウェイ モータースポーツという会社。スピードウェイモータースポーツは11月8日にドーバー モータースポーツを買収すると発表し、1株3.61ドルでの株式公開買い付けを行いました。ドーバーモータースポーツはドーバー インターナショナル スピードウェイとナッシュビル スーパースピードウェイを保有しています。
 12月22日にこの買い付けは成立したと発表され、ドーバーモータースポーツはスピードウェイモータースポーツの子会社となりました。これにより、スピードウェイモータースポーツが傘下に収めているカップシリーズ開催トラックは、
シャーロット、アトランタ、ブリストル、ドーバー、ケンタッキー、ラスベガス、ナッシュビル、ニューハンプシャー、ソノマ、テキサス
の計10トラックになりました。

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
パッケージもそうですが、カイル・プッシュとしては、カイル・ブッシュの動向が気になります。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 チームとすると若手枠でベル、ベテランでハムリンがまだやるとして、MTJとカイルの両方を抱え続けると若返りが進まない、という事情はあるようには見えますね。
ただそのMTJもそんなに長く続けないかもしれないので、成績・スポンサー・本人の意向なんかも踏まえながら、いずれ片方は手元に置いて片方は入れ替え、という展開が定石かなあと思います。
シリーズ全体を改めて眺めると、このクラスのベテランってFAになっても必要としているチームがSHRぐらいしか無いように見えるので、JGRだけ若返りの流れからだいぶ取り残された感あります。あえておっさんチームで行くのもありかな?w