Formula 1 Gran Premio De La Ciudad De México 2021
Autódromo Hermanos Rodríguez 4.304km×71Laps=305.354km
winner:Max Verstappen(Red Bull Racing Honda/Red Bull RB16B-Honda)
2021年のF1も気付いたら残り少なくなってきました。第18戦はメキシコです。正式には『メキシコ シティー』という名称での開催。これは2018年末にメキシコの大統領となったアンドレス マヌエル ロペス オブラドールが政府としての支援打ち切りを表明し、2019年限りでメキシコGPが終了となりかけたところを、メキシコシティーと民間資金によって開催契約の延長にこぎつけることができた、という経緯から名称変更されたものです。
2020年から変更されていたんですが、残念ながら中止となって開催されませんでしたので、結果的に私を含めて多くの人が変更を知らなかった、ということで今に至ります。なお、日本のメディアでは『ロペスオブラドール大統領』と書かれることが多いですが、見ての通り『ロペス・オブラドール』なので一続きの言葉ではありません。前職の大統領・エンリケ ペーニャ ニエトも『ペニャニエト大統領』と表記されてましたね。
ついでに言えば、アウン サン スー チーをよく『スーチー氏』と表記したりしますが、ミャンマーの名称には姓・名、という概念が無いため、『スーチー』と書くのは人様の名前の一部分だけをおかしな切り取り方をしていることになってるので、個人的にはこれも変だなと思っています。全然違う話になりましたね、ハイ。
フリー走行ではレッド ブルが優勢で予選もそんな流れに見えましたがQ3で状況が一変。1回目のアタックで最速だったのはメルセデスのバルテリ ボッタス、2位にルイス ハミルトンが続きました。マックス フェルスタッペン、セルヒオ ペレスと続きます。メキシコGPの存続にはペレスも貢献したそうですね。
2回目のアタック、ペレス、フェルスタッペンの順でアタックに入ったレッドブルでしたが、ペレスがターン10でミスってはみ出してしまい、これでフェルスタッペンもアタックできずガタガタに。
ペレスの前方には角田 祐毅がいて道を譲るためにコース外に出ていったんですが、急に距離が詰まったのでブレーキを踏んだ上に乱気流も影響し、ペレスもミスって一緒にコース外へ。フェルスタッペンからすると、なんだか身内同士で絡んで飛び出したように見えたと思われ「信じられんわ、あいつらアホか」「俺の前で何してくれとんねん」。これでボッタスがPPとなりました。ハミルトンはPPの1点を獲り逃しましたがメルセデスが1列目を獲ります。
角田はPU交換によるグリッド降格が事前に決まっていましたが、それでもQ2をソフトで通過していました。基本的にQ3ではピエール ガスリーをストレートで引っ張って助ける役割で、実際役に立ったらしくガスリーは予選5位でした。問題があったのは、ガスリーの2回目のアタックに際して角田がストレートで引っ張り、ガスリーに道を譲った後の、言うなれば角田にとっての『捨てラップ』でした。
正確な状況は映っていないので分かりませんが、飛び出し事件が発生する30秒ほど前に表示されていた走行位置の情報から察するに、角田はガスリーに譲った後にカルロス サインツが後ろから来たので、ターン6~7の短い直線で譲ったと思われます。元々サインツと角田には6秒以上の差があったと思われるので、これを譲るにはほとんど停止するぐらい減速していたのではないかと思います。
ペレスはそのサインツのさらに4秒ほど後方にいましたが、ほぼ停止状態まで減速したと思われる角田がえっちらおっちら加速しているところに追いついて問題が起きたと考えられます。ペレスからするとさっきまで赤い車が前方にいるだけだったはずなのに、いきなり違う車が視界に入ってコース外に流れて行ったら、そりゃあ急な操作になりますわね^^;
レッドブルの代表・クリスチャン ホーナーは「角田に邪魔された」と身内のドライバーでも容赦なく非難。アドバイザーのヘルムート マルコもやはり角田のせいにしたのでちょっとした騒ぎになってしまいました。確かに、後方からスタートするドライバーの、言い方は悪いですがたかだか少しの順位のためにチャンピオンを争うチーム・ドライバーが影響を受けたら面白くないという心境は分からんでもないです。
が、別にチームが制止したのを振り切って勝手に角田が走ってたわけではなくきちんとチームに貢献するために走っていたのですから角田の走行には何の落ち度もありません。譲る位置関係についてはエンジニアからの指示によるところが大きいですから、あのコース外しか譲りようがない場所で重なったのは、あえて責任という言葉を使うならどちらかといえばピット側です。
正直サインツを待たずガスリーの後ろについて全力で走った方が安全だったとは思います。最善手として少しでも履歴の浅いタイヤを残しておきたかったのでペースを落としていたんだとは思いますけど。
ですから、ホーナーは文句を言うならアルファタウリのエンジニアに文句をつけるべきで、角田に言うのは筋違いです。起こった瞬間には全ての状況が分からないというのはありますが、だったらチーム代表たるもの、分からん状態で好きにしゃべること自体が間違いだと思います。
翌日、角田は周囲の支援によってマルコとの会談の機会を設けられ、事情を理解してもらったとのこと。ただホーナーの方はどうなってるんでしょうかね。
さて決勝、路面温度が45℃を超えてタイヤが溶けそうです。ターン1までの距離が長いコースなのでPPが必ずしも有利ではないとされているサーキットですが、メルセデスは2台が同じようなスタートで2台が並んですぐに併走。フェルスタッペンはボッタスのスリップストリームを使った上でその左に並びかけて3ワイドでターン1へ飛び込みます。
フェルスタッペンは抜群のブレーキングで大外回りに成功。ハミルトンも内側からボッタスをかわしますが既にフェルスタッペンは前方へ。そしてボッタスはターン1に切り込んだところでダニエル リキャードに引っ掛けられてしまってスピンしてしまいました。混んだターン1と2の間に逆を向いて止まってしまったので後続は混乱。エステバン オコンが左右を挟まれて角田とミック シューマッハーの2台と接触し、角田もミックもリタイアです。角田は前日の騒動で起こったモヤモヤを解消できずにメキシコを去る羽目に・・・
複数台が止まったのでSC導入、5周目にリスタートされてフェルスタッペンがリードします。メルセデスが主導権を握って始まったレースは、あっという間にメルセデスをレッドブルが挟む立場になって優位性が逆転しました。すぐに差を広げていくフェルスタッペンに対してハミルトンは「あいつ速い」。
元々追い抜きが難しく、かつ冷却も厳しいので前の車にはあまり近寄れないサーキットですが、ハミルトンは15周目には5秒以上フェルスタッペンから置いて行かれ「タイヤがものすごい落ちてる」
ペレスは一時3秒近く離れたところから逆にハミルトンに近づいて行き「俺のタイヤちょっとずつよくなってるよ」。エンジニアからはプランBになりそうだと無線が入ります。ペレスはターン1の混乱で自分の右側でボッタスが回ったので、慌てて左に回避しターン2の内側の草地を通過。瞬時の判断でうまいこと事故を免れていました。
12周目あたりから後方ではピット サイクル。しかし上位勢はまだまだ動きません。ハミルトンもさすがにそう簡単にやられるわけはなく、いくらかペースを取り戻します。が、フェルスタッペンからは離され、ペレスは2秒差できっちり追随。25周目にはフェルスタッペンと8.5秒差になりました。
この後ろではガスリーが単独で4位。シャルル ルクレール、サインツとフェラーリの2台が続きます。コンストラクターズ選手権で争っているマクラーレンはリキャードが接触によるウイング交換&バージ ボードの空力部品を少し破損している状態、ノリスはそもそもPU交換で後方スタートなので、大きく差が開くチャンスです。ボッタスはリキャードの後ろについて全く抜けず仲良く走行中。
26周目、ペレスには「近づけ!」という無線でハミルトンに重圧をかけに行きます。一方ハミルトンには「目標+6周を考えている」。
どういう作戦で来るのか探り合いになりますが29周目、ハミルトンが先にピットへ。ところがあまり良いタイミングとは言えずルクレールの後ろで戻ってしまいます。ちょうどこの周を終えてルクレールはピットに入ってくれましたがあまりおいしくありませんでした。
33周目、フェルスタッペンもピットに入ってハミルトンの7.5秒前方で復帰。ここまでは完璧なレースです。これで見た目上ではありますがペレスがリーダーとなりました。戦略は『プランA+5』に変更された模様。本人も「タイヤは良くなってるよ」とまだまだ元気で、実際にまだ自己ベストが出ています。
40周目にペレスはようやくピットへ。ハミルトンの9秒後方から11周新しいタイヤでの攻撃となります。レース展開としてもフェルスタッペンはもう勝ったも同然になったので、注目点はハミルトンとペレスの2位争い、地元のお客さんもおそらく同様です。
フェルスタッペンは「俺の左前タイヤの状態を注意して見ててくれよ」とあらゆることに注意を払いつつも「チェコはルイスの何秒後ろだ?」と2位争いも気にします。7点広げるのか、10点広げるのかは大きな違い、コンストラクターズ選手権でもボッタスが入賞圏外なので、一気に稼ぐチャンスです。
56周目、ペレスはハミルトンの後方3秒にまで接近、一方フェラーリはルクレールとサインツの順番を入れ替えてガスリーを追いかけよう、とルクレールに提案しますがテレビ放送上ではルクレールは無言。なんか本当に無言で無視してるような気が^^;
サインツは第1スティントの段階から「自分の方が速い」と言っていたようですが、さすがにチームから指示が出てなお対応しないルクレールには少し不快感を持ったようで「シャルルが俺を抑え込もうとしてミスしまくってる」。ようやく57周目に入れ替わりましたが、既にガスリーと10秒以上の差になっていて手遅れ感があります。
59周目、ペレスはとうとう1.3秒差。ペレスには無線で「バッテリー良し、タイヤも良し、行くぞ!」。発破をかけましたが、ペレスの返答は「エンジンは?」。これでエンジンは良く無かったらコントだろw
ハミルトンの前には運悪く周回遅れのノリスがいてハミルトンは乱流を受けさらに苦戦。「あいつクレイジーだ、近寄ったらタイヤがどんどん熱くなる」。あっという間にペレスはハミルトンのDRS圏に入りました。しかしハミルトンは複数の周回遅れが車を熱くする邪魔者になったり、直線では助けになったりしながらも耐えると、間に周回遅れを挟んで一休みする時間もできてなんとかやり過ごし続けます。
一方もう1つの争いも勃発し、メルセデスはフェルスタッペンの持っている最速ラップの1点だけでも奪い取るべく、63周を終えたボッタスをピットに呼んでソフトでのアタックに向かわせます。
が、ちょうどフェルスタッペンの後ろでコースに戻ったのが大失敗。フェルスタッペンがミスった煽りでタイムを出せず、だったら抜いてしまえ、と抜いたものの、タイヤを使わされてタイムを出しにくい上に翌周にはまた青旗を振られて抜き返され全くタイムを出せません。まだ周回数が残っていたので結局もう1回ピットに入ってやり直しになりました。というか最初から空間を探して走らせなさいよ^^;
スタートが決め手となって結局は誰も寄せ付けなかったレッドブルのDJ・Kygoが優勝しました。ん?誰だ!?
| カイゴはチェッカー フラッグを振っていたが テロップを早く出しすぎた模様^^; |
ペレスは最終周に再びDRSを使う距離まで迫りましたがハミルトンを抜けずにハミルトンが2位、ペレスが3位となりました。ボッタスはなんとか最速ラップだけは獲得して面目を保ちました。これでフェルスタッペンはハミルトンに対してドライバー選手権で19点差、万一1回大失敗してもまだなんとかなるぐらいまで差を広げてきましたね。コンストラクターズでは引き続きメルセデスが1位ですが、レッドブルは1点差に迫りました。
フェラーリの方はもうガスリーに追いつかないと悟ると69周目にルクレールに5位を返還したので5位ルクレール、6位サインツとなりました。ただ、マクラーレンはノリスの10位による1点だけだったので、こちらのコンストラクターズ争いはフェラーリが13.5点差の3位となっています。
アルファタウリもガスリーの4位にとってコンストラクターズでアルピーヌと同点の6位へ。同点だと優勝しているのでアルピーヌが上に来ますから、なんとか1点上回りたいところです。
正直メルセデスとレッドブルの真正面からの2対2の争いを期待していたのでえらいあっさりと決着がついた感じでしたが、とにかくスタートが全てでした。メルセデスとすれば、最高のシナリオはボッタスが好発進し、ハミルトンがすぐ後ろについて、フェルスタッペンにスリップを使わせてあげない、という流れですが、そんなに上手くはいかないので、せめて2台で行く手を阻みたかったはずです。
が、フェルスタッペンにスリップを使われ、綺麗に大外に並ばれました。フェルスタッペンは3ワイドの大外という位置から、これ以上行ったら曲がれないギリギリの位置での抜群のブレーキングとラインだったと思います。ハミルトンからすると、3ワイドの内側では無理に突っ込んでも曲がれないか事故ですから限度があり、ボッタスに至っては真ん中に挟まれてるし、頑張ったらハミルトンの行き場を奪うし、引くしかありませんでした。
理想を言えば、ボッタスはハミルトンが横に来た瞬間に左端に2台で一緒に移動しておけばフェルスタッペンは逆に3ワイドの内側に入るしか方法が無いので順位を守れたかもしれません。が、スタート直後に瞬時にそれをやるのはスポッターでもいないと無理ですし、フェルスタッペンが内側にいるのもそれはそれで接触の可能性があるので、そうなったら良い結果になったかも定かではありません。
結局のところ3位という位置と瞬時の判断力、そして1コーナーへのアプローチ、全てにおいて正しい選択ができたフェルスタッペンの力量の勝ちだった、というところだと思います。
ペレスは結局3位になってしまいましたが、抜けないこのコースでは仕方ないところです。ただ、ペレスが追い続けたことでハミルトンは熱の問題がありながらも飛ばすしかなかったので、信頼性に不安があると思われるPUを頑張って使うしかなかったと思います。これによって残りのレースでPU交換が必要になったり、性能を抑えざるを得なくなる、という間接的ダメージを与えた可能性はあるので、仕事はじゅうぶん果たしたんじゃないかと思いました。
次戦はブラジル、こちらも名称が変更されていてサンパウロGPとなっています。今年最後のスプリント予選方式採用レースです。
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