NCS プレイオフ 第7戦 テキサス

NASCAR Cup Series
Autotrader Echopark Automotive 500
Texas Motor Speedway 1.5miles×334Laps(105/105/124)=501miles
competition caution:Lap25
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/Hendrickcars.com Chevrolet Camaro ZL1 1LE)

 NASCAR Cup Series、先週のシャーロットのレース後にそのままローバルでNext Gen Carのテストが2日間開催されました。これまではNASCARが用意したテスト車両に、お誘いがかかった人がテストに出向く開発段階でしたが、ここからいよいよチームに引き渡された車両でのテストとなり、21台/25人のドライバーが参加しました。
 チームとドライバーは来年のことも考えながら、しかしとりわけプレイオフ コンテンダーにとっては目の前の戦いにも集中しないといけません。プレイオフはいよいよ最後のふるい落とし、ラウンド オブ 8になりました。開始時点でのドライバーと持ちポイントは

1 Kyle Larson 4065
2 Denny Hamlin 4030
3 Martin Truex Jr. 4029
4 Ryan Blaney 4024
5 Kyle Busch 4023
6 Chase Elliott 4022
7 Joey Logano 4013
8 Brad Keselowski 4008

 当落線に対して既に41点の差があるカイル ラーソンは一定の安心感がある一方で、2位のデニー ハムリンから見れば大した差にはなっていないのでリタイアは厳禁。このラウンドはテキサス、カンザスと1.5マイルが続いた後マーティンズビルが脱落レースとなります。
 
 レースは指数予選によりラーソンとハムリンの1列目でスタート。ハムリンはセッティングが合っていないようで早々にラーソンが2位以下を千切ってしまい、そのまま何も起きずコンペティション コーションとなります。ジョーイ ロガーノ、ライアン ブレイニーが続きます。
 コーションで全車ピットに入りますが8台が2輪交換を実行。ロガーノもそのうちの1台でしたが、2輪交換の宿命でボックスを出る際に入ってきたジャスティン ヘイリーと交錯。本来なら1位になるはずが5位へ後退。代わってウイリアム バイロンがリーダー、マーティン トゥルーエックス ジュニアが続きます。4輪交換のラーソンは8位、カイル ブッシュはピット前に4位でしたがここで速度違反してしまい後方へ。

 31周目にリスタート。ところがターン2の出口でバッバ ウォーレスが3ワイドの真ん中に入ってスピン挙動になってしまい、ロス チャステインと接触して一転外側のバリアへチャステインとともに一直線。あとは連鎖反応でバックストレッチが端から端までスピン車両で埋め尽くされる大惨事となりました。カイルは誰かに左後部を押されたようですが致命的損傷は回避されました。
 ウォーレスはこれでリタイア、チャステインはボロボロになって23周遅れの28位でした。ここ4戦続けて23位以下とダーリントンでの活躍が霞んでしまっています。

 どうでもいいですけど、今回のウォーレスのペイント スキーム、ちょっとDSテチーターっぽくないですか?w



 多くの車両が絡んだためにコーションが長引きステージ1終了までギリギリ燃料がもつピット ウインドウに入ってきたので、リスタート1周前に給油を行う車が現れて戦略が割れる中、40周目にリスタートとなりました。
 トゥルーエックスもハムリン同様セットは今一つな様子ですぐに順位を下げてしまいリーダーはバイロン。タイラー レディック、マット ディベネデトーとノン コンテンダーが続きます。
 ここでYouTubeの動画に問題が発生しずっとロガーノの顔が姿が映った状態で画面が固定。さすがに何日経っても解決されずこのままではラジオになってしまうので、やむなく違法アップロード動画に移行しました。今回ばかりは許してくれ。。。(なお、朝に見た動画は夕方にはNASCARの申し立てにより視聴不可能になっていました。だったら自分たちの動画を直してよ・・・)


 バイロンはリードを維持していましたが、9位リスタートのラーソンが徐々に順位を上げて83周目にバイロンをかわします。ただ、彼らは2回目のコーションで給油をしていないグループ。この時点で38周目に給油した組の先頭は6位のライアン ブレイニー、続くのがカイルです。かなり燃料を抑えないといけないようですが、まだラーソンから6秒しか離されていないのでこのまま行けばステージ1を獲ることができます。
 ステージ残り11周、ラーソンがピットに入り給油のみを行ってピット アウト。ここから同じサイクルのドライバーが次々とピットに入ります。4輪交換するドライバーもいるので若干考え方に違いがあるようです。
 一方ノーピット組ではブレイニーがちょっと飛ばしすぎだったらしく、30秒フラットで走っていたペースが31秒台にガクンと低下。これでCM中にカイルが先頭となり、各車が給油を終えるとリーダーとなります。
 結局ノーピット戦略はかなり燃費が厳しかったようでブレイニーはしまいにはストレートでスロットルを半分しか踏めない状況。カイルだけが異様に上手く走って2位以下を10秒以上ぶっちぎる形になりステージ1を制しました。ブレイニーは辛くも2位で、3位にはピット組のラーソン。なかなかの争いでした。


 ステージ2、弟ブッシュとラーソンの1列目でリスタート。カイルが一人だけノーピットで独走したせいで既にリードラップ車両は17台、かつ12位以降はステージ間コーションでウエーブ アラウンドした車両となっていて、次のランがまた長くなるとかなりの車が周回遅れに固定されかねない状態です。
 リスタートではカイルが前に出ましたが、車の速さでは圧倒的にラーソンに分がありすぐさまラーソンが抜き返してリーダーに。バイロンもカイルを抜いて2位となります。カイルは右側にチャタリングがあってグリップしないと訴えているので万全ではないようです。
 152周目、ここでチェイス エリオットにルース ウィールの問題が発生。緊急ピットを強いられて周回遅れとなります。この後ピット サイクルが近づいてきたので数台が早めのピットに入りますが、サイクルが一巡するよりも前の165周目にデブリーによるコーションが発生。これでエリオットはウエーブアラウンドしてリード ラップに戻れました。
 
 171周目、ラーソンとカイルの1列目でリスタート。ラーソンとバイロンが仲良く縦に並んで抜け出し、カイルの方はブレイニーにかわされて4位へとなると、この後も位置取りが不利な方へと回ってしまいあっという間に7位まで転落します。チャタリングは解決したはずなんですけどねえ^^;
 ステージ2はそのままラーソンがリードし続けて1位、バイロンがずっと僅差で追い続けて2位。そこから7秒以上離れた3位にブレイニー。カート ブッシュ、ブラッド ケゼロウスキーのトップ5。エリオットは辛うじてリードラップを維持してステージを終了しひとまず状況をリセットしました。


 ファイナル ステージ、ラーソンとバイロンの1列目でリスタート。ブレイニーがラーソンにくっついていって2位を奪おうとしましたがバイロンがきっちり抑えました。ブレイニーはこの後ターン4で思いっきりルースになってしまい、その間に順位を下げてしまいます。
 その後方ではここまで快走していたカート ブッシュが左側のタイヤを傷めたようで大きくラインから外れて緊急ピット。周回遅れとなります。カートは結局このレース16位でした。


 トゥルーエックスはステージ2でも相変わらずなんだかよく分からないけど左側のグリップ感に乏しかったため、先ほどのコーションでパッカーからウエッジからいじりまくって改善を狙ったとの情報。リードラップ車両が15台ほどしかいないので、時間をかけてアジャストしても失うものが少ないための戦略ですが、果たしてアジャストは成功したんでしょうか。
 
 238周目、バイロンがそこそこ大きい振動に見舞われているという情報で、ピット側は緊急ピットも選択肢に入れているようですが、ラーソンもやはり振動を感じている様子。彼らに限らずけっこう多くのドライバーが同様らしく、どこまでを安全とすべきかピット側も悩ましい問題です。ましてやチームメイトのエリオットが序盤にルース ウィールに見舞われてますからね。
 この影響もあるのかバイロンはラーソンについていけなくなりレースはラーソン無双。一方11位まで落ちていたカイルはハンドリングの問題が解決しません。

カイル「ゴミみてえに遅いな!」
トニー ハーシュマン(スポッター)「ああ、あのコーナーまでは早かったよね」
カイル「ハハハハハ」

 怒るカイルをスポッターが見事なブラック ジョークで和ませた、ということでいいんでしょうかw


 トゥルーエックスの方は改善はしてきてペースはトップ5勢に近くなったようですが、いかんせんリーダーから14秒も離れた12位でとりあえずコーションが出てくれないと何もしようがありません。

 そろそろ最後のピットの時期が近付いてきたな、という275周目、チェイス ブリスコーのクラッシュにより都合よくコーションとなります。ハムリンと争う中でターン4の出口で軽く壁に当たり、これが原因でターン2を回れずに単独で壁に当たってしまいました。
 ブリスコーは外からハムリンを狙うにしてもちょっと無理な位置から無理やり外に並ぼうとしていたようでハムリンは無線で不快感。この2台にはインディアナポリスでの因縁があったんですね、もう忘れてましたw


 281周目、残り54周でリスタート。リスタート後の2位争いで後続を退けたバイロンがリーダーのラーソンを狙います。チーム内の立場的に安易にラーソンの邪魔もしにくいので難しい立場です。
 そのままグリーンで走行していましたが299周目、ロガーノになんとエンジン破損発生。当然ながらこれでリタイアとなり、プレイオフ争いに致命的な損失を被りました。ロガーノの車両でエンジンが壊れるのはなんと2014年のポコノー以来7年ぶりだそうです。NASCAR全体で見てもエンジンの問題はほとんど起こっていないので、よりによってこんな時に、という感じです。


 残りが30周ほどという段階でのコーションで戦略の分かれ道となり、上位勢は順位を重視してステイ アウト。結局8台がステイアウトし、ピット組は5列目のハービック/カイルの並びが最上位となりました。
 残り30周、ラーソンとバイロンの並びでリスタート。しかしステイアウト組のクリス ブッシャーが出足で遅く、ターン1に向かってインに入ろうとしたカイルと、抑えようとしたブッシャーで交錯。
 これでブッシャーがスピンしそうになりますが、ギリギリもちこたえます。ただ、前方のその様子を見て減速した車とそうでない車がいたために混乱が発生してしまい、アンソニー アルフレードがブリスコーに押されてスピン。
「事故を起こしてくれてありがとよ、14番はいい仕事してくれたよ!」と無線で嫌味を言うアルフレードでしたが、ジョークを言ってる場合ではなく給油口付近を激しく壁にぶつけて損傷したために燃料がこぼれてしまい出火。ただちに車を脱出しました。これでレッド フラッグとなります。



 11分ほどのレッドフラッグを経て残り25周でリスタート。もう残り周回が少ないのでみんなガンガン攻めていきますが、攻めるほどに増えるのがリスク。ハムリンが3ワイドの争いからブレイニーと軽く接触し、これでフェンダーを傷めてタイヤから白煙が上がります。さらにその後ろではMatt Dとカイルも軽く接触^^;
 リーダー争いではレディックがミスったバイロンを抜いて2位となりラーソンを狙いますが、やはりタイヤが耐えられなかったハムリンがターン2でスピンしてコーション。必死の制御と周囲の回避により、内側のバリアにゴツンと顔をぶつけただけで済みましたが、それでも大きな損失です。

 残り16周、ラーソンとレディックの1列目でリスタート、タイヤの新しい車ではハービックが5位です。バイロンは2列目からラーソンを押してまず逃がすと、そのままレディックとの2位争いも制してここはチームメイトとしての仕事を完璧にこなしラーソンを援護します。
 するとその直後、トゥルーエックスが高速でバリアに突っ込み大クラッシュ。ダニエル スアレスに僅かに左後部を押されたようで、カウンターを当てたらお釣りが来て自分から壁に突っ込むような形になりました。修復できる損傷ではなくリタイアとなります。ジョー ギブス レーシングは10周あまりでコンテンダー2台が立て続けにポイントを失いました。


 残り9周、今日何度目か分からないラーソン/バイロンの並びでのリスタート。レディックがラーソンをギリギリまで押しまくりますがやりすぎてターン1で失速、これで後ろにいたハービックに押されて姿勢を乱しますが、乱しながらターン2を脱出して隊列に混ざるとケゼロウスキーに押してもらい、なぜか無事に3位を守ります。逆に詰まったハービックが順位を下げて大損しました。実生活は時に大きな教訓を与えてくれますね(謎)。
 レディックはバイロンをサイド ドラフトにかける、というか完全にぶつける荒業に出て逆に姿勢を乱し、この後も姿勢を乱してるんだか妨害してるんだかよく分からん動きをしてなんか急にラフ プレイヤーに変貌しました。バイロンの方はぶつけられてタイヤから白煙が上がります。
 ごちゃついた間にラーソンが逃げてこれで終わりかと思いきやレースはそう簡単に終わらず、残り7周でブリスコーとブッシャーが絡むクラッシュが発生。不運にもハムリンがこれに巻き込まれてボンネットが曲がってしまいました。


 残り2周でリスタート、ラーソン/バイロンは変わりませんが、一時周回遅れになって失うものが無かったクリストファー ベルが38周も新しいタイヤで2列目外側・4位からのリスタートとなります。
 リスタートでは2列目内側のケゼロウスキーが一発逆転を狙ってラーソンを押し、まずバイロンを退けてから最後にサシの勝負に持ち込もうとしましたが、バイロンも外側で粘ったために結局はラーソンだけが利益を得ました。ラーソンが今季8勝目を挙げ、プレイオフ最終戦への進出を確定させました。
 バイロン、ベル、ケゼロウスキー、ハービックのトップ5。3人はノンコンテンダーですね。6位からブレイニー、エリオット、カイル、レディック、スアレスのトップ10でした。ハムリンは潰れた車でなんとか11位でした。


 まさかこの画面の人がレースの途中でトラブルに見舞われて脱落したとは思いませんでしたが、走ってないドライバーの静止画がレースの最後まで表示され続けるとかちょっとしたホラーですねw
 それはさておき、ラーソンはやはり圧倒的でした。JGR勢が総じてセッティングを外して苦戦していたのに対してヘンドリックは高値安定という感じで、次戦のカンザスでもラーソンが連勝して、誰もフェニックスへの進出権を確定できない、という状況になっても驚きません。

 一方で複数のコンテンダーに問題が発生し、結局ロガーノとトゥルーエックスはかなり致命的な損害になりました。このレースを終えてのプレイオフ順位は

1 Kyle Larson    win
2 Ryan Blaney  4072  +17
3 Denny Hamlin  4064  +9
4 Kyle Busch  4063  +8
5 Chase Elliott  4055  -8
6 Brad Keselowski  4048  -15
7 Martin Truex Jr.   4041  -22
8 Joey Logano  4020  -43
 
 トゥルーエックスまではまだポイントでどうにかなるとして、ロガーノはかなり離れてしまったので限りなく勝つしかない状況になっています。ケゼロウスキーは最も少ないポイントでこのレースに入っており、コンテンダー8人の中では平均順位、トップ10/トップ5フィニッシュの回数など、数字から見ても印象としても『堅実だけど爆発的な速さが・・・』という感じでした。
 しかしこのレースでは、燃費レースに出たステージ1で青息吐息だったことを除けば非常に好調で一気に40点を稼ぐことに成功しました。カイルもステージ1で10点獲ったことが効いて40点を獲得しています。

 残るレースはカンザスとマーティンズビル。フェニックスへ進む4人は誰になるのか、まだまだ全く分かりません。


コメント

まっさ さんの投稿…
ダレル・ウォレス・Jr. スイカ1000本サーブの刑。
ウルミコス さんの投稿…
分かっちゃいるのに、怒涛のロガーノ連投で笑ってしまいました(っ ◠‿◠ c)
ChaseFun9 さんのコメント…
これでHMSはChaseを優先しつつPhoenixへの車作りを進める事が可能ということで
Championship大有利!
日日不穏日記 さんの投稿…
テキサスの動画消えてますね。再アップロードしてくれるんでしょうか。
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 フルネームなところに怒りの深さを感じますw
SCfromLA さんの投稿…
>ウルミコスさん

 草稿段階ではあと2人いたんですが減らしましたw
SCfromLA さんの投稿…
>ChaseFun9さん

 エンジンのローテーションでも優位に進められますからね~。ただラーソンは本音としたらフェニックスで怖いChaseには脱落してもらいたいと思っているでしょうから、その辺の微妙な加減がレースにどうにじみ出て来るか、というのを見るのも楽しみかなと思ってます。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 修正されましたね。25日の20時の段階でもまだバグってたので、ちょうど作業を開始した境目あたりを日日不穏日記さんは目にしたと思われます。再生位置が記憶されているので新しい動画ではなく同じ動画のようですが、ホント何が悪かったんでしょうね^^;