NCS プレイオフ 第6戦 シャーロット(ローバル)

NASCAR Cup Series
Bank of America Roval 400
Charlotte Motor Speedway Road Course 2.32miles×109Laps(25/25/59)=252.88miles
competition caution:Lap10
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/HendrickCars.com Chevrolet Camaro ZL1 1LE)

 NASCAR Cup Series、プレイオフ第2ラウンドの最終戦はロード コースのシャーロット。今年で4度目の開催です。インディアナポリスのロードコースではシケインの縁石が大混乱の原因になりましたが、今回のレースも開催を前にいくつかのランブル ストリップスが除去されました。あれでどうにかできる場所とそうでない場所がありますからね^^;

 来季へ向けてのドライバーは概ね動向が決まっていますが、今週は新たなチームに関する情報が複数出てきました。まずGMSレーシングは2022年にフル参戦することが告知されていましたが、ドライバーとしてタイ ディロンと契約したと発表。弟ディロンが戻って来ることになりました。
 また、新たにチーム ヘイズベルグというチームが来季にスポット参戦すると発表。NASCAR Whelen Euro Seriesに参戦しているヘイズベルグ システムズというオランダのチームと、アメリカのリューム ブラザーズ レーシングというチームが共同で運営を行うということです。ドライバーにはユーロシリーズで活躍しているロリス ヘイズマンズが起用される見込みであるほか、テスト ドライバーとしてジャック ビルヌーブも起用し、こちらもレースに起用される可能性があるとの情報です。
 そして、今季限りで閉鎖になると目されているスターコム レーシングですが、このレースの後にローバルで行われるNextGen Carのテストにカズ グラーラを起用して参加すると発表。閉鎖するチームが参加するはずはないので、まだ何かしらの方法で来季の参戦を検討しているのではないか、とやや情報が錯そうしているようです。

 さて、レースの方は指数予選によりデニー ハムリンとブラッド ケゼロウスキーの1列目。5位スタートのマーティン トゥルーエックス ジュニアは、なんと数名配置するスポッターのうち一人が、元クルー チーフのコール パーンだそうです。戻ってくる気があるのかな?
 また、リック ウェアー レーシングは今回No.52にジョーイ ハンドを起用。2016年にはル マン24時間のLM GTEクラスをフォードGTでクラス優勝、DTMの参戦経歴もあるドライバーですが、NASCARはまったくもって初心者です。


 ハムリンはスタートできっちり順位を守るとリードを拡大。2周目にジョーイ ロガーノがケゼロウスキーをかわしこれに続きます。一方トゥルーエックスはリアのグリップ不足だそうでスタートから順位を下げてあっという間に13位まで後退、苦戦を強いられます。こうなるとピットに入ってアジャストするしかなさそうです。
 9周目、コンペティション コーションが出る前に中団のドライバーはピットへ。トゥルーエックスも当然入ります。クリストファー ベルはここで痛恨の速度違反、せっかく4位スタートで勝利も狙えたのに、いきなり自ら苦労を増やしてしまいました。

 ハムリンも10周目を終えるとピットへ。結局ステイ アウトしていたのはロガーノ、ライアン ブレイニー、チェイス エリオット、ケゼロウスキー、カイル ラーソン、アレックス ボウマン。7位のバッバ ウォーレス以降はノン コンテンダーでした。
 コンプコーションではそのウォーレス以降の車がピットに入りますが、コンテンダー6台はステイアウト。この6台の後ろに33位スタートのA J アルメンディンガーと、既にピットを終えたハムリンが続いて14周目にリスタートされます。AJは前日のXfinity Seriesで優勝、同シリーズではローバルで3戦3勝の勝率100%と圧倒的で、この週末2連勝を狙っています。

 14周目、バックストレッチ側のシケイン、バス ストップことターン11~12でボウマンとケゼロウスキーが接触し、スピンしたケゼロウスキーがほぼビリに転落。せっかくのステイアウトが台無しになってしまいます。
 19周目、リーダーはブレイニー、エリオットがロガーノを抜いて2位となり、ハムリンもこの集団にようやく追いつきます。ロードコース職人のエリオット、タイヤの新しいハムリン、当然この2台が前に追いついて行ってバトルに発展するものと思われましたが、20周目、バトルが勃発する前にコーションが発生。
 珍しいカストロール スキームのライアン ニューマンがターン4出口で単独スピン。右後輪をバーストさせて破片を撒きました。その前にマット ディベネデトーと接触してスピンしていたようで、この時にタイヤを壊していたようです。ケゼロウスキーは危うくこの事故の巻き添えになるところでした。

 ステージ終了前のなんともいえないところでのコーションでしたがトップ3はここもステイアウト。ハムリン以降の多くのドライバーがピットに入ります。最終的に109周目に前にいるためにどう組み立てるか、という側面と、ステージ ポイントが欲しいのか、いらないのか、でも考え方が異なるため戦略が複雑です。とか言ってたら、ハムリンは速度違反でペナルティーを受けました^^;

 23周目、ステージ残り3周でリスタート。2列目外側からリスタートしたアルメンディンガーが狙いすましたようにリスタートを決めてブレイニーの内側に潜り込みリードを奪います。しかしスポット参戦組にポイントを奪われてはたまったもんじゃないエリオットが背後につけると、25周目のターン11でリード チェンジ。これがもし最終周だったら絶対シケインの切り返しで意地の張り合いになって接触してますね。エリオットがステージ1を制しました。AJ、ブレイニー、MTJ、ロガーノのトップ5。

 ステージ間コーションではここまで入っていなかった人がピットに入りますが、アルメンディンガーはここもステイアウト。完全に109周を2回のピットで走り切ると決め打ちした戦略と思われます。
 NBCの方ではこのコーション中に、NextGen CarのカムリTRDをラトリッジ ウッドがリポートしてくれていますが、残念ながらYouTube用映像では画面をカット。そしてラトリッジのマイクが途中で壊れたようでリポートは唐突に終わりましたw

 ステージ2、アルメンディンガーとカイル ブッシュの1列目でリスタート。蹴り出しは上手かったAJですが、さすがにタイヤが古すぎてカイルにあっさりと大外刈りを決められます。戦略が違うとはいえ、コーションの流れ次第では全く役に立たない努力になるおそれもある戦略なので精神的強さも試されます。
 一方、勝たないと次のラウンドには進めないボウマンですが電力関係に不具合が出ているようで、コーションでのバッテリー交換も検討しないといけません。さらにこの後ラーソンにも同じく電圧の問題が発生。こちらの方が電圧が急低下しているようで、深刻な問題となる可能性があります。

 と思ったらその直後、34周目にリッキー ステンハウス ジュニアとチェイス ブリスコーが最終シケインのターン16~17で絡んでブリスコーが回ってしまいコーションとなりました。ヘンドリックの2台は作業時間を確保することができ幸運です。
 

 ラーソンはバッテリーを交換、そしてオルタネーターのベルトが脱落していることを確認しました。一方ボウマンはフードを開けて中を覗いていたものの、オルタネーターベルトはちゃんと付いており原因が見当たらないままピットを後にします。結論から言えば、オルタネーター本体に問題があって発電が正常に行えていなかったようです。
 また、このコーションでアルメンディンガーも1回目のピットに入りました。2ストップだとちょうど36周あたりがウインドウですし燃料的にももう入るしかないんですが、ロードコースでは『ピットを終えた後にコーションになる』が最もお得で、『コーションとピットのタイミングが重なったので入る』は損なので、AJの戦略は詰んだ可能性があります。

 36周目、カイルとウイリアム バイロンの1列目でリスタートしますが、ケビン ハービックがリスタートで2位を奪います。放送席では引き続きラーソンのトラブルの話題。
 チームは次のコーションで新しいベルトを取り付ける予定ですが、スティーブ レターテによれば、オルタネーターのベルトはレース中に急いで交換しようとしても熱いし、オルタネーターは小さいし、で作業は簡単では無いということです。電圧は14.5ボルト以上ならまあ正常、これ以下だと問題があるとも言っていました。勉強になりますね。

 ステージ残り7周、ボウマンの電圧は12.5ボルトまで低下。なんとかステージ終了まで走り切った上でコーションで策を講じる考えですが綱渡りです。
 リーダーは引き続きカイル。ハービックがリスタート後からずっと1.5秒差ほどの同じような距離で追いかけています。ステージが残り3周となると4位のバイロンがピットへ。アルメンディンガーも作戦を変更したようでここで2回目のピットに入りました。この展開では2ストップの意味がないと判断して損切りした可能性が高いです。

 カイル、ハービック、エリオットのトップ3はそのままステイアウト、するとエリオットがハービックに近寄り始めてなんだかいやーな予感がします。
 ステージ最終周、エリオットがターン1でハービックをかわしますが、立ち上がりでハービックがエリオットを一押し。なんとなーく、『レースの終盤で同じことがあったらどうなるか分かっとるやろなあ』という脅しに見えますw
 ステージ2はそのままカイルが1位、エリオット、ハービック、ブレイニー、Matt Dと続きました。

 ステージが終わるとピットがオープンになる前にボウマンはピットに入ってバッテリーを交換。そしてピットが開くとラーソンもオルタネーターベルトの交換を行います。時間が限られる中で正確に慌てず急いで交換しないといけないのでクルーの重圧もそうとうなものですが、どうやら成功したようです。

 ファイナル ステージは先ほどステージ順位を捨てた組がステイアウトするので、バイロンとオースティン ディロンの1列目でリスタート。ここまでの戦略がどうであれ、ここからは基本的に残り1ストップで全員同じなので、見た目上の順位が実質の順位に近くなります。
 当然ながら、まずはタイヤ交換組がピット サイクルまでにステイアウト組とどういう位置関係になっていくのか、というところが見どころのはずでしたが、リスタート翌周の55周目、衝撃の映像が飛び込んできました。

 エリオットがクラッシュ、しかもリアを大破しています。オーバルに戻る部分で事故ったのかと思ったら、

ハービックがターン7で明らかにわざと押してバリアにリアから激突していました。これで後ろが壊れて、その結果ここでスピン、コール カスターが避けられず突っ込んでさらに傷を深くしました。やっぱり起こってしまいましたね。
 
エリオット「4番にクラッシュさせられた」
ティム フィディワ(ハービックのスポッター)「上手く行ってるぞ、自分たちのレースを続けよう」
コールマン プレスリー(ロガーノのスポッター)「あいつやらかしたよ」
ロガーノ(真後ろで目撃)「あいつらまたかよ。馬鹿じゃねえの」
ブレイニー「うわー、壊しやがった」
クリス ランバート(ハムリンのクルー チーフ)「4番が9番を破壊したよ」
ハムリン「おお・・・」

 何か起こるかも、とはみんな思ってますが、それにしてもあまりに露骨な上に片方の被害が甚大だったので、圧倒的にハービックの印象が悪そうです。

 58周目にリスタート、バイロンがリードします。アルメンディンガーも5位あたりにいてまだまだチャンスがある、と思ったらエンジンの故障が発生しターン11手前で急失速。後続車両もびっくりブレーキであちこちで白煙が上がりましたが、幸いにして大きな事故には至りませんでした。AJ、無念のガレージ送りです。
 一方エリオットは修復作業に時間をかけたので隊列からはるか遠くを単独走行、とりあえず規定最低速度は満たしているので走行を継続できますが、このままでは脱落です。とにかくコーションが出るまでリード ラップで我慢できれば、リスタート後は下位チームの車を抜いて順位をいくらか取り返せるのでチャンスがあります。

 もはやエリオットがどうなるのかに注目が集まって存在が忘れ去られてそうですがリーダーはバイロン、3秒ほど離れてディロンとハムリンがやりあっています。
 69周目、ディロンに抑えられてるのかと思ったハムリンがむしろ後ろのタイラー レディックに追い立てられ、結果ターン11で突っ込みすぎてシケインを曲がれず通過。ハムリンはここから全速力で走ってディロンを追い抜きそうな勢いで走った上で、そのまま最終シケイン内側にあるペナルティー消化ゾーンに飛び込んで一旦停止。これで6位に落ちました。
 日欧のレースだとシケインを通過したら普通は利益を得ないようにアクセルを戻しますが、ローバルの規則ではシケインを曲がれない場合その場のシケイン内か、ないしはフロントストレッチ側のペナルティー消化ゾーン内での一旦停止が求められるため、逆から言えばシケイン通過直後は気にせず突っ走って構わないので、珍しい映像が見られましたw

 ボウマンの方は発電ができないため30分ごとにバッテリー交換が必要な状態に陥って厳しい状況。しかし勝たないとプレイオフが終わってしまうのでクルー チーフのグレッグ アイブスが決断。ドライバーを冷却するためのファンなどとにかく走行に必要がない消費電力を無くしてしまい、これでなんとか最後まで走るつもりです。もうダメ元でやるしかありません。

 残り36周あたりからピット サイクル、リーダーのバイロンは残り33周でピットに入ります。気づいたらディロンを抜いたレディックが2秒差まで詰めていて、ここで同時にピットへ。
 残り29周、まだステイアウトしている暫定リーダーのハムリンに、最後のピットを終えて周回遅れになっていたエリオットが追いつきます。どうやらボロボロの車でも中古タイヤのハムリンより速いらしく、ハムリンはサッと道を譲りました。譲った車のリアがあの潰れ方だったら、もし私がドライバーなら笑ってミスりそうw この周でハムリンもピットに入りました。
 ハムリンを抜く姿を見て、なんかそのうちエリオットのリアのフェンダーが吹っ飛んで自作自演でコーションが出そうな気も・・・と思い始めましたが、ちょうどNBCもそう思い始めたらしく、CM中はずっと吹っ飛びそうなエリオットのリアが映ってましたw
ぷらーん

 吹っ飛ぶ前にNASCARがブラック フラッグを振ってしまって強制的に修復を命じられる可能性があり、そうなるとエリオットの目論見は外れてしまいます。日欧のレースならとっくにもうオレンジ ディスク フラッグが出てるんですがw コーションが先か、ブラックフラッグを振られるのが先か、ある意味緊迫したレースが続きましたが、89周目・残り23周というところで


 見事パネルが吹っ飛びました。やったね!クリーンレース!楽しかったです!また遊びましょう。きっと彼のファンも喜んだことでしょう、車が潰れることを喜ぶファンってそこだけ切り取ったら意味不明ですがw

 他のドライバーにとってもこのタイミングでのコーションは運命の分かれ道。バイロン、レディックのトップ2はピットに入りますが、タイヤが上位勢でいちばん新しいハムリンはステイアウト。結局4台だけがステイアウトし、ピット組ではレディックが5位、バイロンが6位です。
 一方エリオットはとりあえずこれで隊列の最後尾からリスタートする機会を得ましたが、パネルが吹っ飛んで支えるものが無いので、誰かが支えないと給油ができません、給油缶を抜くときにけっこうこぼれるので、この位置に座るのってけっこう怖い気が、給油担当みたいに耐火エプロン付けてないし^^;

 残り20周でリスタート、レディックが3列目から勢いよくターン1に突っ込んで2位を確保、バイロンも続きます。ターン11ではまたもやケゼロウスキーが接触されてスピン。これでほぼビリとなり、この段階でポイントがプレイオフ圏外となってしまいました。ハービックとのし烈なポイント8位争いです。ただ、バイロンが勝ったら当選ラインが下がるので2人とも脱落となります。
 バイロンは勝利を目指して翌周にレディックをかわしましたが、シケインの入り口でそのレディックに軽く追突されてシケインを通過。消化ゾーン内で完全に一旦停止するのが義務ですが、それっぽく減速だけして現場を通過。ただ不可抗力だったからか、NASCARはこれで良しとします。容赦なく罰を与えるNASCARにしては珍しいですね。
 これでハムリンを追うのはラーソン。当落線上にいるドライバーからすると、バイロンが勝つと当落ラインが繰り下がるのでこの方がありがたい状況です。しかし残り17周、ハンドがライアン プリースに押されてクラッシュし、これでコーションとなりました。バイロンはもう一度やり直す大事な大事なアタック チャンス!

 残り14周、ハムリンとラーソンの1列目でリスタート、やはりタイヤの古いハムリンはラーソンに追いかけまわされますが絶妙に防御。するとハムリンに詰まるラーソンの隙を衝いてレディックが2位に浮上。バンク部分でエイプロンを走って強引にインにねじ込む強心臓を見せつけます。
 しかしラーソンは再度レディックをかわし、気づいたら上がってきていたクリス ブッシャーとの3位争いに手を焼きます。これでラーソンは後ろを気にせずハムリンを狙うことができます。
 一方当落線上のドライバーではケゼロウスキーが混戦に呑まれて順位を下げてしまい苦戦。そしてハービックもまた同様に混戦の中に入り、気づいたら背後にエリオットが迫る中で残りは11周となりました。これは何も起こらない方がおかしいぞ、と思ったら
グシャッ


 なんとハービックがブレーキで失敗してターン1のバリアに突っ込むまさかの自爆。2年前にエリオットが突っ込んだある意味因縁のコーナーにまさかの突撃、しかもタイヤが置いてある部分ではなくまともに壁でした。前部を大破したハービックは当然リタイア、プレイオフ脱落が決定的となりました。因果応報というやつでしょうか。


エリオット「ザマア」
トレイ ポール(エリオットの第2スポッター)「そうだね」

ジョッシュ ウイリアムス(ブレイニーのスポッター)「(クラッシュしたのは)4番だ」
ブレイニー「あいつにはちょうどいいんじゃない」
ウイリアムス「そうだね、自分から突っ込んだし」

ブランドン ベネッシュ(ディロンのスポッター)「4番がバカみたいに自分から突っ込んだよ」
ジャスティン アレグザンダー(同 クルーチーフ)「9番が後ろに来たって伝えられてたんじゃないかな」

 同じフォード内の若手であるブレイニーですらこの反応、ハービックに対する他のドライバーからの信頼がガタ落ちしたのは言うまでもなさそうです。 

 残り8周、再度ハムリンとラーソンの1列目でリスタート。ラーソンはタイヤのグリップを活かしてターン3~4をインベタで走り、あっさりハムリンをかわしました。芝生にはみ出たハムリンは立て続けに抜かれていき、こうなると特にこのレースで狙うものがないのでやや運転が投げやりに。最終シケインであらぶってブッシャーと接触し、ここに追突したロガーノがフードを破損しました。完全なとばっちりを受けたロガーノは7位で終えました。

 リーダー争いはラーソン、レディック、バイロンの3台のカマロ。バイロンはまだ諦めていませんが、さっきレディックに押されて急ブレーキを踏んだりしたのでタイヤの状態が良いとは思えません。


 後方ではトゥルーエックスがハンドに押されてスピン。これでポイントでケゼロウスキーの下、8位に下がってしまい万一バイロンが勝つと彼が脱落対象となりかねない状況です。ハンドはチームの4台の中で最上位となる27位で初のNASCARのレースを終えました。MTJはぶつけられて激怒してましたが、チームとすれば合格といったところでしょうかね。

 残り2周、攻めすぎたかバイロンが完全に制御を失ってコース外へ。幸い芝をグリルにつけたぐらいで済みましたが優勝の可能性はほぼ無くなりました。結局バイロンは11位となり、トゥルーエックスは命拾いしました。
 レース中にバッテリーとオルタネーターベルトを交換したラーソンが、今シーズンロードコースで3度目となる優勝を遂げました。ラーソンとヘンドリックの化学反応おそるべし。ボウマンも必死に走って10位でしたが、直せるか直せないかの差はあまりに大きかったですね。

 なんとびっくり、チップ ガナッシ レーシングで過ごした6シーズンちょっとでの合計勝利数・6勝を、今年だけで7勝して上回ってしまいました。ヘンドリックとの相性もそうですが、謹慎処分を食らっている間にダートのレースに出まくったのが実はドライビングに大きく影響してたりするんでしょうか。
 Matt Dも案外、来年は野良試合を大量に100レースぐらいこなして2023年に復帰できる道を探した方が、中途半端なスポット参戦より効果的だったりして・・・

 さて、やはりこのレースの最大の関心事はハービックとエリオットの案件です。エリオットはレース後のインタビューで
「僕たちはただ前を向いて、前進することにワクワクしているんだ。それが全体の展望であり、僕と僕らのグループにとって本当に重要なことさ。僕らは戦い続けて結果を待つよ。」
「逆境を克服するため、幸運なことにレースの早い段階で修復を終えてコーションを拾うことができ、戦い続けることができた。今日はみんなが本当にすごい仕事をしてくれて、本当に誇りに思うよ。」
 そして、ハービックとの接触については
「ハービックに関しては、良いオフシーズンと幸せなクリスマスになるといいね。」

 一方、クラッシュ後にケア センターから出て来た際のハービックはクラッシュについて
「あの場面はちょっと攻めすぎてしまってタイヤがロックし止まれなかった。失った順位を取り戻さないといけないと思っていたんだけど、左のフロントがロックして曲がらなかった。」
エリオットにぶつけた件について聞かれると
「時々、実生活は良い教訓を教えてくれるよね」と意味深なコメントをし、「あなたもですか?」と聞き返されると不敵な笑みを浮かべて立ち去りました。


 ハービックが報復をするであろうことは明白でしたが、レースの終盤の勝負所でブレーキングで小突くとか、強引にインにねじ込むとか、その手のパターンを想定していました。しかし実際は、レースの中盤に入ったところで、インフィールドの狭い部分での一撃でした。押し方は大した勢いではありませんでしたが、エリオットはリアを大破して一発リタイア目前の損傷を受けたわけです。
 ただハービックにとってこれは悪手だったと思います。もしこれで狙い通りエリオットをリタイア、脱落に追い込んでも、自分がもし次ラウンドに進んだら確実にどこかで潰されます。仮にあそこまで大破させる気が無かったとしても、それならレース終盤でやり返されるので、やはりこのレースでは勝てません。
 それが分からないハービックではないでしょうから、半分自分のチャンピオンを諦めているような動きと捉えることもできます。見ている側としても、勝利を、あるいは1点を争っている場面でついつい頭に血が上っての殴り合いならまだしも、ただ単に仕返しして相手を潰す目的ならNASCARの流儀としてもちょっと違うなと思いました。

 そしてさらに最悪だったのは、レース中にやり返されて散るならともなく、ライバルの目の前で自爆してレースを終えてしまったことです。ぶつけられてリタイアしたならさらにもう1回やり返す機会がありますが、ただの自爆ではもうこれ以上自分から事を起こす理由は無くなり、なおかつエリオットには報復する理由が残っている状態です。
 エリオットとすれば、次のラウンドで必要があればハービックを飛ばすことができますし、必要がないレベルだと思ったら無視して普通に走り「良いクリスマスを~、二度と出て来ないでね~♪」と流してしまうこともできます。いわゆる"マウントを取っている"状態なので、ハービックからするとただただ屈辱的な結末でした。堂々と勝利して信頼と結果を取り戻さないと、ちょっと来年以降立場が悪くなってくる気もします。

 されプレイオフの方ですが、終わってみたら元々勝たないと脱落確実だったベル、ボウマン、バイロンと自爆したハービックが脱落し、色々と起こりまくったわりに結果だけ見れば妥当な感じになりました。脱落した人は2000+ここまでに稼いだプレイオフ ポイントにリセットされて5位~16位争いに回ります。
 生き残った8人は4000+プレイオフ ポイントにリセットされていよいよラウンド オブ 8へ。テキサス、カンザス、マーティンズビルの3戦で最終戦に進む4人が決定します。ラーソンは4065点という異様なポイント、2位のハムリンに最初から35点差です(;・∀・)

↓EXTENDED HIGHLIGHTS の尺がいつもより圧倒的に長い!

コメント

まっさ さんの投稿…
エリオットこれで走れるならテール無しで軽量化もオッケーですねw
それにしても4に対するみんなの反応が面白すぎます♪
これでエリオットが連覇したらスーパースター仲間入りかなぁ。
ラーソン強すぎるけど。。
実際、昨年追放されてホヤホヤのラーソンですが、たった半年で復帰していきなり強いのはアメリカでの反応ってどうなのでしょう....。
日日不穏日記 さんの投稿…
「狙い通りエリオットをリタイア、脱落に追い込んでも、自分がもし次ラウンドに進んだら確実にどこかで潰されます」・・・2015年のマーティンズビルのケンゼスがロガーノを撃墜した場面ですね(コンテンダーRound:カンザスの行為に対する復讐)。僕は、ハーヴィックが意図的に潰しにかかったとは書かなかったんですが、やっぱり意図的ですね。で、自滅ですから、意趣返しも出来ない上に、エリオットは次のRoundへ。エリオットはハムリンとの因縁もありましたが、ハーヴィックが完全に上書きした感じです。リタイアしたハーヴィックが出てきた時の歓声が凄かったですから。
SHR全体が良くなかった中で、フラストレーションが溜まってたと思いますが、NASCARナンバーワンのヒールがロガーノから、ハーヴィックに変わりそうです。<怒れる老人>暴走中です。
Cherry さんのコメント…
今回のレース、僕の予想を通り越してましたw
てっきりチェイスが撃沈して、マーティンズビルとかでハーヴィックにミサイルするのかと...
とりあえず、ハーヴィックには幸せなクリスマスにするために、教会の懺悔室にでも行ってきてもらいましょうw
それと思ったのが、流石にチェイスを潰しに行って、その後自滅してもさらなる報復を加えようとは思わないでしょうし、大人しくしていたほうが彼の今の評価的にもいいかもしれませんね...(無線でみんなに幻滅されてそうですし...)
それにしても’17年のハムリンの時もそうでしたけど、チェイスを追い込んだ後に加害者側が撃沈するとすごい歓声が上がりますよねw
とりあえずチェイスはRound of 8に上がれたので良し。比較的得意コースも多そうですしChampionship 4目指して頑張って欲しいですw
GO チェイス! 打倒!ラーソン!ww
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 実際にラップライムの記録を確認すると、リアが吹っ飛んだ状態でも上位よりは0.5~1秒ぐらい遅いけど、チェステインあたりの中団グループ相手だとそんなにペース変わらなかったみたいですね。
 ラーソンに関しては日本からじゃよく分かりませんが、元々処分が重すぎると思った人もいると思うので、とりあえず次に何かやらかさない限りは歓迎されてるんじゃないでしょうかね。まあ強すぎてブーイングを受ける側に移ってるかもしれませんけどw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 あんな場所でアクセル開けてボン、は普通あり得ないし、レース後に何の釈明もせず、ラジオ局のインタビューには「ブリストルを思い出せ」的なこと言ってたらしいので、意図を隠す気もない報復だったと思います。終わり方が残念過ぎてもはや言い訳する気も無かったのかもしれませんが^^;
契約は2023年までですけど、車が変わって来年も今一つで勝てなかったら2023年が最後のシーズン、という可能性もあるのかなとちょっと思ったりしましたね。
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 ハービックが事故った時のスタンドの歓声がすごかったですね。火が出てるしすぐにドライバーが出て来ないから結構心配な場面なんですけど、かく言う私もぶつかって10秒ぐらいは
「えええ、こんなことある!?・・・」って思ってて、ハービックの心配をすっかり忘れていました。足とか強く打ってないといいなと思いましたけどどうやら大丈夫そうでしたね。

おそらくチェイス君がなにかやるとしたら、フェニックスで久々にハービックが速くて、展開的にどうしても抜きたい場面が訪れた場合に軽ーく押し出すぐらいだろうなと思います。年をまたいだらさすがにハービックももうやり返してこないでしょうし。
首跡 さんの投稿…
カットラインの争い、ハービック対エリオット、レース展開...どれをとっても面白かったです。

ハービックには、デビル・ハービックとしても、ハッピー・ハービックとしても、まだまだNASCARで走り続けてほしいと思いました。(丸くなったとはいえ、ブッシュ兄弟やケセロウスキーといった方々にも)
「NASCARには、チェイス・エリオットやデイル・ジュニアが40人いる」というわけではありませんので、もう少し悪役が欲しいところです。誰かいないかな...あっ、ロガーノがいたか!
ウルミコス さんの投稿…
『ウルミコス号ブレーキ点きっぱなし事件』の後、修理工場側から「電圧14.5Vくらい欲しいところ13.8Vしか出ない」と説明されてオルタネータ交換しました。
当時は「12V出てれば良いんじゃないの?」とイマイチ不思議だったのですが、NASCARも同じなんですね。
電気のことはさっぱりわかりませんが勉強になりました(っ ◠‿◠ c)
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 ハービックはどっちかというとただ時々短気だというだけだったのに、いきなり悪役レスラーに転身してしまいましたねw
ロガーノは最近ちょっと髪が、じゃなくて影が薄い感じがありますね~
SCfromLA さんの投稿…
>ウルミコスさん

 思わぬところで実生活と繋がりましたねw なんかこれほどオルタネーターとバッテリーが壊れるレースって他にない気がするんですが、来年の車がどうなるのか気になります。こういうアナログな壊れ方もNASCARっぽいので、無くなるとちょっと惜しい気もします。
(っ ◠‿:;...,
カイル・プッシュ さんのコメント…
テキサスのYouTube、バグってますか?
SCfromLA さんの投稿…
このコメントは投稿者によって削除されました。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 バグってますね。コメント欄も「見れない」でいっぱいになってます。6割は音だけ聞いた、とか、小さいサムネイルで見た、とかいう猛者もいるみたいですが、日曜日あたりまで気長に待ちます。