NASCAR Cup Series
South Point 400
South Point 400
Las Vegas Motor Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
competition caution:Lap25
winner:Denny Hamlin(Joe Gibbs Racing/FedEx Office Toyota Camry)
NASCAR Cup Series、プレイオフは第2ラウンドとなるラウンド オブ 12に入りました。初戦は高速1.5マイルのラスベガスです。ご当地ドライバーのカート ブッシュは、残念ながらプレイオフは脱落してしまいましたが、この地元レースでカップ シリーズ通算750戦目を迎えました。史上12人目で現役では最多。過去11人のうち6人は殿堂入りを果たしています。
ザ・砂漠 |
レースはカイル ラーソンとライアン ブレイニーの1列目でスタート、プレイオフ コンテンダーではマーティン トゥルーエックス ジュニアとウイリアム バイロンが車検に2回ひっかかって後方スタートとなりました。スタートではケビン ハービックがブレイニーを押すだけ押して前に出し、自分はルースになって下がっていきましたw
この後8周目にデニー ハムリンがリードを奪いそのままコンペティション コーションまでリード。コンプコーションの段階でブレイニー、カイル ブッシュ、ラーソン、マット ディベネデトーのトップ5となりました。Matt Dは久しぶりに上位に顔を見せました。コンテンダーが12人に減ったので、ノン コンテンダーは最高で13位からスタートが可能、Matt Dは先週のブリストルで10位と好成績だったので14位スタートでした。
Matt Dは今回珍しく真っ白な車体の車ですが、これはSuicide Prevention Lifelineという、全国自殺防止ネットワークのような団体との協力で、自殺予防と相談体制の啓発を目的としています。ダイキャストも販売され、収益の一部は自殺予防ネットワークに寄付されることになっています。
New Pre-Order: Matt DiBenedetto 2021 Suicide Prevention Lifeline Diecast Cars
— CircleBDiecast.com (@diecast_b) September 8, 2021
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ピットではカイルが2台抜きして先頭へ。入り口では玉突き事故が起きてクリストファー ベルが右前を破損してしまいました。ジョーイ ロガーノはナットの締め忘れて再ピット、コンテンダーは今日も色々と起こります。
31周目にリスタート、ほぼ2周にわたって並走した末にハムリンがリードを奪いました。クリーン エアーを得たハムリンはさぞかし速いだろうと思ったら案外そうでもなく、45周目にラーソンがハムリンを抜いて定位置へ復帰。ハムリンはカイルにも抜かれて3位に下がりました。ちょっとタイトっぽいですね。
その後ろでは4位のブレイニーがバイブレーションを訴えており、この後クールスーツも故障した模様。まだ序盤ですが踏んだり蹴ったりです。5位には後方スタートのバイロンが上がってきました。
同じく後方スタートのトゥルーエックスは最初のスティントでは窓が汚れて視界不良、ここではスプリッターが地面を打ってなかなかペースが上がらず10位。その後ろを走るブラッド ケゼロウスキーは「ターン4の出口でフリーだけどひどいというほどでもない。ダウンフォースが50ポンド足りない」と情報を伝えます。解説のデイル アーンハート ジュニアによれば、こういう『ダウンフォースが〇ポンド』という言い回しはけっこうするそうです。
ステージ1はこのまま何も起こらずラーソンが今季15度目のステージ勝利、今日は真っ黒な車なので一瞬カートと見間違えます。今回スポンサーになっているTarlton and sonは普段はラーソンの小口のスポンサーですが、壁、石膏、防音、断熱などの作業を請け負う企業だそうです。元々はトム タールトンが自宅の裏庭で旋盤事業をしていたのが始まりで、息子のトミー タールトンが引き継ぎました。トミーはアマチュアとしてスプリント カーのレースに出場していてそのあたりでモータースポーツと接点があるようです。
ピットでは今度はハムリンのクルーが頑張って2つ順位を上げて先頭へ。左のウエッジを足しているように見えたのでやはりタイトだったと思われます。逆にカイルは右側の作業でちょっと躓いて順位を下げてしまいました。
ベルは損傷を修復するため、ペナルティーを受ける前提でピットが開く前からピットに繰り返し入りますが、周回遅れを避けようと急ぐあまりペース カーを追い抜いてしまいあえなく周回遅れになってしまいました。結局リード ラップに戻れないままレースを終えたベルは24位でした。
ここまで2度のスタート/リスタートで1位は外を選んでいましたが、ハムリンは内側を選んでステージ2が始まります。ハムリンはブレイニーに押してもらって楽々リスタート直後の争いを制しましたが、翌周にラーソンがいとも簡単に大外から抜き去っていきました(;・∀・)
しかしごたごたと争っている間にやってきたのがバイロン、92周目に3ワイドの争いを展開してリードを奪いました。するとその直後、ジョーイ ゲイズが単独でクラッシュ。左後輪が部品の不具合でいきなり脱輪、かなり激しくバリアに当たり、衝撃で車が浮き上がる大きな衝撃を受けました。ゲイズはインフィールド ケア センターからそのまま病院へ搬送されました。詳しいケガの状況は不明ですが、そのまま病院を出るとシャーロットへと移動したとの情報です。
昨年のテキサスのレースでも紹介しましたが、ゲイズは今回ネバダ州で臓器提供に協力した人の写真や名前を車体に掲載し、ドナー登録者を増やす啓発活動を行うペイント スキームでした。彼の母は2011年に脳動脈瘤で他界し、その際に臓器提供を行ったことからこの活動と出会い、協力をしています。。
クラッシュでリアが大破したゲイズの #15 Nevada Donate Life Chevrolet Camaro ZL1 1LE |
ここはリスタートからそれほど時間が経っていないので戦略が分かれ、上位7台はステイ アウト。カートとロガーノは給油のみで、10位のハムリン以降が4輪交換となりました。ハムリン、カイル、ケゼロウスキーはルース ウィールの兆候があったのでコーションは幸いだったようです。逆にロス チャステインはこのピットでナットがちゃんと締まってなかったのでリスタート前に再ピット(´・ω・`)
99周目、バイロンとラーソンの1列目でリスタートしますが、ラーソンの後ろにはチームメイトのチェイス エリオットがいたため2台で協力。ラーソンがリードします。バイロンはなんとなくチームメイトに出し抜かれたみたいになっててちょっと不憫w
ラーソンはこの後エリオット、バイロンからそれぞれ勝負を仕掛けられましたがいずれも退けてリードを確保。タイヤ交換組ではカイルが3位まで上がってきましたが、ステイアウト組を抜くのに手間取ってしまいました。
ただ、ステイアウト組は確実にステージ2を走り切る燃料が無い一方、ピット組は燃費走行すればなんとか最後まで走れるため、仮にコーションが出ないままレースが進むとステージの最後には確実にピット組が前に来ます。
131周目、エリオットがピットに入り、翌周にバイロンもピットへ。燃料を完全に使い切ってコーションを待つよりもラップ タイムで考えたタイミングです。が、バイロンは右前のタイヤ交換に手間取り、仕方なく2輪交換に急遽作戦を変更しました。
一方でラーソンはできるだけ引っ張る作戦。後続と差がありましたし、ポイント的に余裕がある人なので、完全に勝負権を失うヘマをしない範囲で勝てそうな戦略を選びます。ピット組ではハムリンがカイルを抜いて先頭、見た目上2位になりました。
ステージ残り7周、ラーソンが燃料を使い切ってピットへ。これでリーダーはハムリンとなり、そのままステージ2を制しました。カイル、タイラー レディック、トゥルーエックス、ジョーイ ロガーノのトップ5、Matt Dはステイアウト組だったので順位的にはこぼれてしまいました。
エリオットは自力でラップ バックし、バイロンはなんとかフリー パスを得てファイナル ステージをリード ラップで開始することができました。ラーソンら数名は周回遅れで終わったのでここはステイアウトしてウエーブアラウンドとなります。
ピットではトゥルーエックスが順位を上げて2位となり、ファイナルステージはハムリンとMTJの1列目でリスタート。MTJは一旦バックストレッチでリードを奪いますが、すぐハムリンに抜き返されてしまいました。
すると代わってハムリンを追いかけまわしたのはノン コンテンダーのレディック。今日はここまでずっとノンコンテンダーで最上位の見事な走りを見せていましたが、2列目のリスタートからハムリンにへばりつきます。
一方、ステージ2で「何かにぶつかったらその後ハンドリングがおかしくなった」と言っていたブレイニー。チームはフロントにデブリーが当たったことが要因とみられる小さな穴を発見し、修復を行いました。
NASCAR的空力の修復 |
日没で路面温度が下がっていく条件はレディックにとって好物らしく、得意のミニ四駆走りも使いながらハムリンから離れません。ラインに自由度があるためにダーティー エアーを避けながら追走を続けます。こういうレースをみたいのよ、と画面の前でニヤつく私でした。
ところが残り68周、レディックは周回遅れのコディー ウェアーに思いっきり引っかかってアクセルを戻してしまい1.5秒差となると、ドラフトを失ってはいけなかったのか、この後差を詰めることができずにハムリンの独走となっていきます。
残り57周、カイルがピットに入りピット サイクルとなりました。後続の動きを見てから残り53周でハムリンもピットへ。作業も早く実質的なリーダーを維持します。レディックの方はハムリンと違うことをやろうと残り49周まで引っ張ってピットへ。引っ張ったのでピット後は実質5位と順位がかなり下がってしまいました。
ヘンドリック勢はこのサイクルで受難。アレックス ボウマンはナットの締めそこねで再ピットし、さらに残り43周でバイロンもパンクで緊急ピット、両者とも周回遅れとなってしまいました。結局バイロンは18位、ボウマンは22位となり、この2人はまた当落線上を彷徨うことになりそうです。また、ロガーノもナットが締まっていない疑いがあり、このまま走り切れるのかも気になる上に、走り切れてもレース後車検が気になります。最後まで気が抜けません。
トラック上ではハムリンがリーダー、エリオットが1.2秒ほどの差で追います。ペースはほぼ同等なようで極端な変動は起こりません。残り25周あたりからハムリンの前には大量の周回遅れが現れますが、ハムリンはここをきっちりと切り抜けて1.2秒差を維持しレースは終盤へと向かいます。
残り4周、ハムリンはウェアーに詰まり(←またウェアーかいw)、エリオットが0.8秒差に接近。エリオットは攻めて猛烈な重圧をかけにいきますが、さすがにダーリントンでのラーソンみたいにゲーム走りはここではできませんし、ちょっと近寄られたぐらいではハムリンは動じませんでした。そのまま逃げ切って今季2勝目、次ラウンド進出を決めました。
昨年は7勝を挙げながら今年はレギュラー シーズンでは全く勝てなかったハムリンですが、これでプレイオフに入って早くも2勝目。クルー チーフのクリス ゲイブハートによれば、
「勝ててはいないけどそのほかの数字を見れば、トップ5の回数もトップ10の回数も昨年を上回っている」と、内容としては昨年以上であると考えて冷静に見ていたようで、ここに来て結果がついてきました。
外から見ててそう分析し「そのうち勝てるだろう」と言うのは簡単ですけど、やはり実際にやってると「去年より良いから焦らなくて良い」と思うより「去年より良いはずなのにそれでなぜ勝てないのか」という気持ちが出てしまうと思うので、そこをブレずに同じ戦い方を続けてきたこのコンビの力量というのがこの2勝に繋がったかなと思います。
エリオット、カイル、トゥルーエックス、ブレイニーのトップ5でした。全くコーションが出ない展開はラーソンには完全に逆風になって10位、ロガーノは11位で、結局ナットはちゃんと締まっていたようでレース後の違反はありませんでした。
レース後にひっかかったのはハービック、ラーソン、カイル、チャステイン、ダニエル スアレスの5人で、このうちハービックは締まっていないナットが多かったために、クルー チーフのロドニー チルダースが次戦出場停止となり、罰金も2万ドルとなりました。
ラスベガスでは初優勝だったハムリンですが、平均順位では1.5マイルの中でホームステッドに次ぐ成績を残していて比較的得意な数字が出ています。ホームステッドもラスベガスも夕方から夜になるイベントで、レディックも同様でしたがこうした設定の1.5マイルに相性が良いのかもしれません。
そのレディックはたった1度周回遅れに詰まったのが大きな痛手でした。0.5秒差あたりで走っていればアンダーカットを狙って先に動くこともできましたが、2秒以上離れてしまったので、コーションを少しでも待つ戦略に賭けることになり、アテが外れてトラック ポジションも失ってしまいました。ただ、彼にはF1で言うとジョージ ラッセル的な大物の雰囲気を感じるので、この先も時々番狂わせを見せてくれるんじゃないでしょうか。ちなみにウェアーはどうやらカイルとも接触したみたいです^^;
Matt Dはリードラップでは最後尾ですが12位でフィニッシュ、終始好調といった様子でコーション時の戦略だけが唯一の失敗という感じでした。来年のことについては全く分からない状態のMatt Dですが、Wikipediaによると8月にマイケル マクダウルから洗礼を受けたそうです。
マクダウルは元々それほど信仰心は厚くなかったそうなんですが、結婚や2008年に経験した大クラッシュなどが彼の心境に変化をもたらして今では強い信仰心の持ち主となっています。Outreachという、キリストの考えを広めたりする団体にマクダウルは語り手として登録されており、一応オファーして都合が合えば教会で話を聞かせてもらえるような感じです。
レース前に行われる、神のご加護を祈るインボケイションはレース毎にいろんなキリスト教の牧師さんらしき人が出てきますが、毎年どこかしらでマクダウルが担当してるのを目にしますね。
完全にマクダウルの話題になりましたが、プレイオフの順位については今回は割愛します。なぜなら次戦がタラデガなのであんまり今ポイントのことを言っても意味がないからですw
コメント
そこは読み飛ばしてましたw
インディとNASCAR、どっちが先か知りませんが、ダニカのイメージが強い分、マーティンは絶望的に似合いませんでした。ま、インディのヒンチクリフも同じなんですけどね。
たしかにジュニア走法やってましたね~、あれで乗れる意味が未だに分かりませんw
当時既に50歳を超えてたマーティンにGoDaddyというのはなんというか、ドライバー自身が何の会社か分かってないんじゃないかと思うぐらいには(←失礼)ミスマッチですねw
調べてみたらケゼロウスキーが#25で走ってた2008年には既にスポンサーだったみたいです。この年はまだ黒がメインで、2009年からあの派手な緑色になったようなので、黒ならまだマーティンでも似合ったんでしょうね^^;