NASCAR Cup Series
Federated Auto Parts 400 Salute to First Responders
Federated Auto Parts 400 Salute to First Responders
Richmond Raceway 0.75miles×400Laps(80/155/165)=300miles
competition caution:Lap30
winner:Martin Truex Jr.(Joe Gibbs Racing/Bass Pro Shops Red White & Blue Toyota Camry)
NASCAR Cup Series、プレイオフ第2戦はリッチモンド。先週のダーリントンではコンテンダーが複数クラッシュに見舞われて、このラウンドで誰が脱落するのか混沌とした状況になってきています。来週のブリストルはクラッシュで一発アウトになる危険性があるだけに、このレースで安心できる位置にいたいのはどのコンテンダーも同じです。
開催日の9月11日は中枢同時多発テロから20年の節目。レース前にはファースト レスポンダーと呼ばれる、災害や事件などの際に最初に現場に駆け付ける消防士、警察官、救急隊員といった方々に対して敬意を表するパレード周回が行われ、観客は手に持った小さい星条旗を持ちながら、NASCARでは珍しいUSAコールが響き渡りました。
テロの中心となったニューヨークの世界貿易センタービルには多くのファーストレスポンダーが駆けつけて職務にあたりましたが、倒壊したビルに伴う多くの犠牲者が出ただけでなく、破片による有毒な成分が原因とみられる癌の発病も多発しており、事件後も関連する犠牲者は増えています。
さて、レース前から災難に見舞われたのはカート ブッシュ。なんとピット クルーのうち4人がCOVID-19の検査で陽性となってしまって出場できなくなりました。カートはプレイオフのコンテンダー、一方チームメイトのロス チャステインはそうではないので、このレースはチャステインのクルーから4人がカート陣営へ出向。
チャステインの方のクルーは、チップ ガナッシ レーシングが人員を派遣しているNo.00のスターコム レーシングと、No.7 スパイアー モータースポーツから引き戻す形で対応されます。なおスターコムレーシングですが、今季限りで撤退してチャーターを手放すのではないかという噂で、このレースの後の9月15日にはスタッフの1人がSNSでチームの閉鎖を認める情報を発信、その後削除されたとのことで、閉鎖はほぼ確定のようです。
また、リック ウェアー レーシングではコディー ウェアーが欠場。ウェアーはダーリントンのレースで序盤にジェイムス デイビソンのクラッシュに巻き込まれ、コーションが出たので周回遅れを嫌ってピットに入らずステイ アウトしたらその直後にタイヤがバースト。ノコギリで切ったように車体がザックリと損傷を負いました。
この際の損傷で排気ガスが車内に入るようになってしまい、ウェアーは結局209周でリタイア。ウェアーは体調を崩してケア センターへと運ばれて一酸化炭素中毒と診断され、翌日になってもまだ症状が残っていたため、念のためにこのレースと次戦のブリストルを欠場させる決断をしたとのことです。
指数予選により1列目はカイル ラーソンとデニー ハムリンの予定でしたが、ラーソンは車検に引っかかって後方へ。これでハムリンのお隣はマーティン トゥルーエックス ジュニアとなりました。ところが、スタートでトゥルーエックスは鮮やかにハムリンを無視してスタートで抜け出し、即座にペナルティーとなりました。
トゥルーエックスは「俺あいつを先に行かせたよ」と、ハムリンが空転して滑ったせいなので反則スタートではない、といった反応ですが、そういう決まりでずっとやってるので。。。
これでハムリンがリーダー、カート、ジョーイ ロガーノの順であっという間に30周が過ぎてコンペティション コーションとなりました。トゥルーエックスはなんとかリード ラップは死守しました。
ピットではハムリン陣営が少しもたついてカートが先頭でピット アウト。ということは、、、いいぞ!チャステインのクルー!一方弟のカイル ブッシュは外したタイヤがお隣さんのボックスへ転がっていってしまいペナルティー。これはタイヤが制御不能になった『アンコントロール タイヤ』ではなく、他者のピット作業を邪魔した『エクイップメント インターフェアランス(装備品による妨害)』との判断。罰則の内容は同じなので形式的な話です。
37周目にリスタート、カートはハムリンに競り負け、さらにロガーノにも抜かれてなんだかフラフラした様子。さらにブラッド ケゼロウスキーにもインに入られますが、ここでいきなりカートがスピン、激しくバリアに当たり一発でリタイアとなりました。リスタートから僅か4周後でした。
左リアのタイヤがいきなりバーストしたようですが、なんかリスタート前からGOODYEARの文字が薄れてて異様に内圧が低いように見えて妙だなと思っていました。CM後に放送席も同じことを言っていたので当たっている模様。作業でバルブを吹っ飛ばして最初から空気が漏れていた可能性が高そうです。ということは、、、何やってんだ!チャステインのクルー!w
48周目にリスタートされるとハムリンが引き続き快走。リスタートでハムリンについていったライアン ブレイニーが2位を走行していましたが、ステージ残り10周というところでロガーノ、チェイス エリオットに続けて抜かれました。ロング ランでは一歩劣っている様子。
ステージ1はそのままハムリンが制し、エリオット、ロガーノ、ラーソン、ブレイニーの順でした。トゥルーエックスは8位まで挽回してきました。
ピットでは上位4台に変動が無くステージ2が始まりますが、エリオットが早速ハムリンを揺さぶって91周目に本日初のリードを奪いました。その後ろではチャステインがラーソンをかわして5位に浮上。チャステインは放送局からの注目度が日に日に高まってますね。
約150周のステージ2、ピットの回数が戦略の分かれ目で、スティーブ レターテが取材した範囲では2ピットが主流ではないか、とのこと。ただ先週のダーリントンは同じように2回か3回かで戦略が分かれ、コーションがピット組に味方しました。1ピットはコーションを期待した賭けに近い戦略になりそうです。
131周目、2位のハムリンが上位で最初にピットへ、一気にピット サイクルとなって各車が続々とピットへ。ハムリンは2秒弱の差があったエリオットに対してこれで一気に真後ろに迫ると、そのままトラック上で抜いてリーダーとなりました。結局1ピットで粘る人は現れず。
抜かれたエリオットではありますがハムリンにきっちり追随。ロングランではこちらの方が上回っている雰囲気で、162周目に周回遅れも利用しながらハムリンをかわしました。この間に3位にはカイルが浮上、トゥルーエックスも5位とペナルティー組が巻き返しています。
180周目、エリオットがラップ ダウンのチェイス ブリスコーを抜けずに苦戦している間にハムリンがふたたびエリオットをかわしますが、その直後にピットへ。ステージが残り55周というところで2回目のサイクルでした。
エリオットも翌周に反応してピットに入りましたが、ここでボックスに入るエリオットと出ていくチャステインが軽く交錯して接触。エリオットは斜めに停車してしまい、ジャッキがうまくかからずに作業が停滞。さらに、ちょっと車を動かしてたらジャッキが車両の下敷きになる大混乱で、結果なんとラップ ダウンになってしまいました。すぐに自力でラップ バックしたものの、プランが大きく狂ってしまいました。
2回目のサイクルを終えるとハムリン、カイル、トゥルーエックスとJGRがトップ3を独占。ロガーノ、チャステインが続くトップ5となりました。トップ10でコンテンダーでないのはチャステインだけです。
ステージ残り19周、一旦ラップバックしたエリオットを再びハムリンが捕まえてラップダウンに叩き落とします。ステージ終了までにハムリンがもう1台捕まえると、エリオットはファイナル ステージをリードラップで迎えることができなくなるので、ハムリンとしたらもう1台抜いてしまいたいところ。
標的となったのはオースティン ディロン。ここからハムリンとディロンによるまるでリーダー争いのような激しい争いが展開され、ステージ残り9周というところでとうとうディロンもかわされました。エリオットはディロンを捉えてフリー パスの権利を得ようと必死、するとハムリンはそうはさせじとウイリアム バイロンもラップダウンにしようと必死。日欧のレースでは起こりえない『1位と周回遅れと周回遅れの中の1位が激しく争うバトル』という出来事です。
ステージ残り5周、バイロンもハムリンにかわされて、これでバイロンかエリオット、少なくともヘンドリックのどちらかはラップダウンになってしまう状況。エリオットはなんとしてもそれは避けたいので無慈悲にバイロンをパス。
そのままステージ2はチェッカーを迎え、ハムリン、カイル、トゥルーエックスのトップ3。エリオットは13位でフリーパスを得ました。つまり長いロングランでリードラップ車両はたった12台にまで減ってたわけですね。
ハムリンはそんなに急がなくてもいいのに、と思うぐらいピット作業も早く先頭でピットアウト。トゥルーエックス、カイルの順となります。フリーパスを得たエリオットはどのみち作業を急ぐ必要がないので破損個所を修復。チャステインは速度違反によりペナルティー。
ファイナル ステージ、オーダー通りハムリン、トゥルーエックス、カイルの3台に、クリストファー ベルが後ろにつけてJGRが4台で上位を独占。しかし、JGRの仲間・23XIレーシングのバッバ ウォーレスが単独クラッシュしてコーションとなりました。ブレーキか何かが壊れて真っ直ぐバリアに突っ込んだ感じです。ウォーレスはこの後もレースを続けましたが32位でした。
リスタート後はハムリンとトゥルーエックスのリーダー争い。しつこく食い下がったトゥルーエックスは269周目にハムリンをかわしてリードを奪いました。まだあと2回ピットがあるし、ハムリンもここは無理せずに、という感じでした。
この後特に何も起こらずトゥルーエックスは1.5秒ほどのリードを確保。そして残り108周、チャステインからピットサイクルとなりました。上位勢は少し引っ張ってからピットに入った結果、サイクルが一巡するとなんとリーダーはチャステイン、2位にカイルとなりました。
チャステインはトゥルーエックスから5.5秒離れた5位にいましたが、カイルと比べて4周早くピットに入ったのでかなりのアンダーカットの効き目がありました。トゥルーエックスとハムリンが入ったのはカイルよりもさらに1周後でした。しかし早く入ったということはタイムが落ちるのも早く、306周目にカイルがチャステインを抜いて本日初のリード。
ところでJGRなどいくつかのチームは毎回全てのホイールではないかもしれませんが明らかにナットを4本しか締めてない時がありますね。規則上は全ての車はタイヤ/ホイールを交換する際には安全な方法で全てのナットが締められている必要があると規定されているはずですが、忘れたという建前で車検される最後のピット以外はこれで時間を捻りだしているように見えます。
この後チャステインは下がっていってオーダーはカイル、トゥルーエックス、ハムリン。カイルとトゥルーエックスの差は約2秒、先ほどのピット作業でカイル陣営はトゥルーエックス陣営より2秒早かったので、まさにピットの早さで稼いだ時間です。
一方3位のハムリンもロングランの出来栄えは良いバランスを保っているものの、前の2台ほどの速さを出せず苦慮。バランス自体が悪くないので下手にいじるとハンドリングが無茶苦茶になりますからこれはこれで悩ましい問題です。
残り56周、トゥルーエックスが先にピットに入ってアンダーカットを狙います。カイルは当然翌周に反応しますが、ピット前のタイム差が0.7秒しかなかったのでこれを防ぐのは至難の業。それが焦りになったのか、カイルはピット出口で痛恨の速度違反を喫してしまいました。これでトゥルーエックスが独走です。
カイルに代わって2位はハムリン、ピットを出た時点で8秒差ですが、3周新しいタイヤを履いています。たかが3周と侮るなかれ、毎周0.2秒追い上げていき、計算上は追いつきそうな差があります。しかし周回遅れも絡むのでいつも0.2秒ずつ削り取れるわけではなく5.2秒あたりでこの差は一旦膠着。残り25周で5秒差となりました。
50周を超えるスティントは楽ではなく、トゥルーエックスは「もうタイヤがない」と泣き言を言いながらの走行。実際かなり車は滑っていて、フロントストレッチでもできるだけステアリングを切りたくないので見ていてヒヤッとするほど急激に壁に向かって車が滑っていくのが分かります。
しかしさすがは事前の優勝予想オッズで一番人気、2019年のリッチモンドを連覇したここ最近の得意トラックだけあってミスなどするはずもなくそのままチェッカー。ハムリンは1.417秒届きませんでした。トゥルーエックスが次ラウンド進出確定です。
3位からベル、エリオット、ロガーノ、ラーソン、チャステインとなりました。ペナったカイルはリードラップで最後尾の9位でした。カイルがペナルティーを食らわなかったらJGRは1-2-3-4できてましたね。そしてプレイオフ順位はこうなりました。
ラーソンはポイントでの進出が確定しました。マイケル マクダウルの脱落もほぼ決まりですが、残り3枠はなんとも言えない状況です。バイロンはブリストルと相性が良いとは言えないので脱落にはかなり近い状況ですが、チーム自体は強いので確定とも言い切れません。
ケゼロウスキーは今週の車の出来栄えが今一つでずっと苦戦しており、それでも13位だったのでなんとかうまく戦ってはいますが楽観はできない状況。カイルはペナルティーで少なくとも5点は獲り損ねましたが、この状況を見ると自ら重圧のかかる環境に追い込んでしまった形です。カートは事故ったけどまだ当落線上です。
このあたりのドライバーは悪く言えば『名前は有名で勝ってはいるけど今年チャンピオンになれそうかというと別にそうでもない人たち』ではありますが、カイル、ボウマンあたりはこの先も勝って生き残れる可能性がある顔ぶれなだけに、落ちるか落ちないかは結構大きい出来事ですし目が離せません。
次戦はブリストル、またしても土曜日夜の開催です。
コメント
ブリストルは得意そうなので巻き込み事故でラウンド脱落だけは避けてほしいです!
ハムリンは勝ちましたが、ハービックは勝てないですね~。
ここでチェイスが落ちたら残り7レースの視聴率がガタ下がりしそうなのでNASCARもきっと同じ思いでしょうw
ハービックはこのレースでもハンドリングに不満だらけだったみたいで無線が大荒れでしたね~、そのわりにちゃんとリードラップにいるのはやっぱりハービックのだからなんでしょうけど。
ナットは厳格化した時にはかなり厳しく見られていたのに、いつの間に緩んだんだろうなあと思いますね。
両シリーズともカップシリーズと同様にレギュラーシーズン上位にボーナスのプレイオフポイントが付与されます。AJもコウリッグレーシングと一緒にカップシリーズへ戻りたいでしょうから、最終戦までは残りたいでしょうねえ。