NCS 第23戦 ワトキンス グレン

NASCAR Cup Series
Go Bowling at the Glen
Watkins Glen International 2.45miles×90Laps(20/20/50)=220.5miles
competition caution:Lap10
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/HendrickCars.com Chevrolet Camaro ZL1 1LE)

 2週間のお休みを終えてNASCARが戻ってきました。レギュラー シーズンはあと4戦ですが、最初に訪れるのはワトキンスグレン。NBCのオリンピックの放送は時差がありすぎて視聴者数があまり芳しくなかったそうで。オリンピックに飽きた皆さんはぜひNASCARで日常生活に戻りましょう(謎)
 アメリカでもCOVID-19の感染は再度拡大傾向で、特にワクチンを2回接種した人でも感染する事例が増えてCDC(疾病対策センター)が再びマスクの着用を求める声明を出したことから、NASCARは一旦撤廃した屋内でのマスク装着義務を復活させました。

 さて、舞台となるワトキンスグレンは中高速コーナーが主体、かつエスケープ区域が非常に少なくて大事故や多重事故が多いので『ロード コースのスーパー スピードウェイ』というなんだかよく分からないあだ名がついています。昨年は中止になったので2年ぶりの開催です。
 ターンの数はインナー ループと呼ばれるシケイン部分を1つと数えたら全部で8つなんですが、ターンの呼び方はターン1、2、3、4、インナーループ、5、6、7、という謎の数え方をするので最終の8つ目のターンは『ターン7』になります。 

 アメリカで人気のユーチューバー・タイラー フーバーがスタート コマンドを担当、車関係の動画で人気を博してチャンネル登録者数は120万人を超えています。パレード周回とピットの制限速度確認をしている間に、2年ぶりの開催を迎える地元の方々のこのレースへの思いも放送してレース開始。
 馴染みのロードコースなので予選は無くPPはブラッド ケゼロウスキー。ジョーイ ロガーノが並びます。3位にライアン ブレイニーでチーム ペンスキーが上位独占。チェイス エリオットとクリスファー ベルはいずれもリア ウインドウのディフレクター(空気の導風板?)の形状が規定に合致していなかっために最後尾スタートとなりました。
 処分の重いL1ペナルティーに該当するため、クルー チーフはレースから除外、ドライバー/オーナー ポイントから10点減算、罰金25000ドルが言い渡されています。
インナー ループ


 スタートするとブレイニーはペースが上がらない様子で前の2台がいきなり逃げる格好に。蓋になっていたブレイニーをカイル ラーソンがかわして3位となると、前を追いかけて6周目にはトップ3が接近します。ケゼロウスキーはかなりルースになっていてロガーノの方が速そうですが、要所を抑えていてロガーノも無理はしていない雰囲気。
 しかしケゼロウスキーはターン1のブレーキでもロックするようになってますます苦戦し5位までが1つの集団となってしまいます。とはいえもうすぐコンペティション コーション。面白くなりそうなところでいったん水入り、かと思ったら。

 なんとケゼロウスキーがターン6で単独スピン。くるっと回って6位で復帰し、コンプコーションになったので被害は最小限で済みましたが、ちょうどロガーノの車載映像で後ろから見ているところで回ったので驚きました。でも、本来コンプコーションって全ドライバーが指定周回数を完了するのが基本なので、ちょっとケゼロウスキー救済で早かった気がしますね。

 コーション中にケゼロウスキーはピットに入りますが、上位勢の多くはトラック ポジション重視でステイ アウト。中団以降の車がピットへ向かいます。ここからピット戦略がぐちゃぐちゃになるお時間です。

 13周目、ロガーノとラーソンの1列目でリスタート。ロガーノは無線に不具合が起きてチーム側からドライバーへの声しか届かない一方通行になっているそうで、ハンドリングの状態やアジャストに関する情報などを発信することができません。
 ステージ残り3周となると中団勢ではお馴染みのロードコース戦略でピットに入る車が現れます。そして残り2周、上位勢はどうするかと思ったら上位2台はステイ アウト、3位のマーティン トゥルーエックス ジュニアがピットに入った最上位でした。
 ロガーノはラーソンの追撃を退けてステージ1を制しました。3位にデニー ハムリン。ケゼロウスキーはブレーキに問題があるようで今度はターン1で単独スピンしていました、今日はダメっぽい^^; 全くの余談ですが、担当者が変わったのか、オートスポーツ誌のNo.1557には『ブラッド キーセルオウスキ』という見たこともない選手名が記載されています。そんな発音は聞いたことねえ、ていうかこの変な表記に呪われたのではw

 ステージ間コーションでここまでまだ入っていない人はピットへ。ピット組ではカート ブッシュが給油のみで最初にピットを出て、これにロガーノ、ラーソンが続きました。カートはコンプコーションでも入ってタイヤを換えていたので、やや変則の戦略で順位を上げてやろうという考えでしょう。
 これで既にピットに入っていてここをステイアウトした人が前に出てきてステージ2はリッキー ステンハウス ジュニアとトゥルーエックスの1列目でリスタート。ステンハウスはコンプコーションで入ってここをステイアウトする戦略でした。タイヤが周囲より5周ほど古くなります。
 リスタート、いきなり2列目のチェイス ブリスコーがこの2台の内側に飛び込んでリードを狙い、結果的に外ラインのトゥルーエックスがリード、間に挟まれたステンハウスはターン1が遅くなって3位に下げました。
 
 25周目、ブレイニーがシケインで単独スピン、同じころジェイムス デイビソンがトラブルで完全に車を停止しており、こちらが原因でコーションとなります。ここでは中団以降の少ない車がピットへ。

 28周目、トゥルーエックスとブリスコーの1列目でリスタートしますがブリスコーが完全に出遅れてケビン ハービックが2位に浮上。マット ディベネデトーもこのリスタートで5位に順位を上げ、ロス チャステインが続きます。
 30周目には後方からのスタートとなっていたベルがハービックを抜いて2位となりジョー ギブス レーシングがワンツー。一方同じく後方スタートのチェイス エリオットは集団に埋まってペースが上がらず、周囲とリズムが合わないのか思いっきりロックさせてタイヤを傷め、どうしようもないので戦略をずらして一人だけ30周でピットに入ることになります。
 
 38周目、トゥルーエックスはベルに2秒差をつけて快走。ステージ1終了後にピットに入った人の中ではラーソンが快調で5位となっています。ディベネデトーはラーソンに抜かれたついでにチャステインにも抜かれたっぽくて7位に後退。
 このステージはあんまりステージ終了に先んじてピットに入る人はおらず、そのままトゥルーエックス、ベル、ハービック、ブリスコー、ラーソンのトップ5でした。カートは20位まで落ちていたので戦略的には不発でした。

 ステージ間コーションは上位7台がステイアウトし8位のデニー ハムリン以降の半分ぐらいの車がピットへ。燃料的にあと1回のピットで行けるので、上位勢はここではトラックポジションを重視します。
 ということでファイナル ステージはトゥルーエックスとベルの1列目。ハムリンは11列目からのリスタートで、タイヤは新しいですが残りのピット回数自体はみんな同じです。
 リーダー争いはトゥルーエックス、ベル、ラーソンの3台が抜け出して47周目あたりからハゲしい争いに発展。ベルはステージ2最後の2周でだいぶトゥルーエックスに離されたので、むしろ無駄にタイヤを使わず温存して手抜きしてたんじゃないかと思いますが、先輩を追いかけまわします。

 53周目、エリック ジョーンズがシケインでスピンしたもののノー コーション。引き続きトップ3の争いは続きますが、55周目にベルがトゥルーエックスに迫り、詰まりすぎた間隙をついてラーソンがターン1でベルの懐へ。
 ベルはイン側に最小限の空間を残しましたが、ラーソンが軽くロックしてしまってラインがズレてしまいベルに接触。これでベルはスピンしてしまい勝負権を失います。映像的に少し分かりにくかったですが、ベルは内側にラーソンの空間は残しているものの、本当に見事に1台分でした。
 当然ラーソンは当てちゃいけないんですが、そうは言っても縁石は踏むと跳ねますし、一番内側はバンクがついていてロックもしやすいので、ベルはもう少し空間を開ける走り方を選んだ方がリスクを避けられる走りだったと思いますね。ここは外回りでも速いので、ターン2で頭を取ればまず抜かれません。ベルは7位と悪くはありませんでしたが勝利を逃しました。

 翌周には相変わらず調子が悪いケゼロウスキーがターン1手前で制御不能になってあろうことかチームメイトのロガーノを直撃してしまいました。まわにGo Bowling at the Glen。いや言うてる場合か。 キーセルオウスキはまさかの35位、ロガーノは22位でした。


 57周目、トゥルーエックスとラーソンは接近したまま同時ピット。ラーソン陣営が見事なピット作業でトゥルーエックスを逆転しました。ここは通常とは逆側にピットがあるのでクルーの動きがもたつきやすいんですが、さすがは今季最速のピット クルーたちです。

 これでトラック上ではハムリンがリーダー、エリオットが2位という状況ですがまだピットが残っています。どうやらハムリンは劣勢。しかしエリオットはコース上での攻略は時間の無駄だと思ったか60周目にピットへ。実質7位でコースに戻ります。ラーソンからは11秒ほどの差。この後ハムリンも入りますが引っ張った分アンダーカットされ巻き返せず5位で終えました。

 65周目にはほぼサイクルが一巡、ラーソンがリーダー、1秒ほどの差でトゥルーエックスが続きます。長いランになるので特にリア タイヤの消耗に気を付けないといけません。エリオットはラーソンと変わらないペースでピット後に順位を上げていき71周目にはとうとう3位に。ラーソンまで約9秒。

 残り15周、リーダーのラーソンに対してトゥルーエックスは付いていくことができず3秒差に拡大。一方エリオットは3位になって前が開けると毎周0.5秒以上ラーソンとの差を詰めており、計算上は最後に追いつく状況です。

 残り9周、エリオットはシケインの飛び込みでトゥルーエックスを抜いてとうとう2位へ。ただ抜くのに1周半ほどかかったので、この間ラーソンとは少し差が開いてしまいました。残り8周、ラーソンも後ろの動きに一喜一憂せず自分の計画通りの走りでタイヤを管理しています。

 残り4周、ラーソンの前に周回遅れ御一行様が現れて完全に捕まってしまいましたが、エリオットもトゥルーエックスを抜くときにかなりブレーキを使ったように見えるので距離を詰められておらず、ラーソンがここを抜けた後に御一行様と対面。これでは差はまた広がります。


 ラーソンはそのままリードを維持して最終周へ。最後のターン7では目の前で周回遅れのギャレット スミスリーが事故るというドッキリがありましたが、エリオットを2.5秒ほど後方に置いて今季5勝目を挙げました。そして、レギュラーシーズン残り3戦というところでハムリンと選手権で同点となり、レギュラーシーズンのチャンピオン争いでも1位タイとなりました。このままではさらにプレイオフ ポイント荒稼ぎ^^;

 ラーソンはレース後のインタビューで、エリオットに追われていた中で周回遅れに詰まった時の心境を聞かれたんですが、その話の流れからベルに謝罪。イン側を走ったけど寄り切れず、ターンのミドルで当たってしまってスピンさせてしまった、と冷静に振り返りました。レース後ってどう見ても自分に非があっても「寄せて来た」とか言うもんですが、ラーソンは潔い発言でした。
 ただ、レース後のラーソンの話によると、ベルに直接謝ろうと連絡をとったけど応じてもらえなかった、とのこと。うーん、当てた方がむしろ印象が良くなって、ベルがややイメージを損ねそうな話ですな^^;

 エリオットはどうやっても最後には上がってくるのが見事です。序盤にもう少し順位を上げていれば勝っていたような気もするので、ラーソンとエリオットは今後のロード コースは全部最後尾からスタートするハンデを背負っていただきましょうw
 ディベネデトーは11位、チャステインが12位と当ブログで馴染みの2人は並んでのフィニッシュ。『もう一人のチェイス』ブリスコーは9位と健闘しました。期待していたダニエル スアレスが電気系と思われるトラブルで満足に戦えなかったのがちょっと残念でした。

 結局レースはトラブルによるコーションが1回で、あとは予定されたものが3回とアクシデントによるものはありませんでした。何回でも書きますが、ステージ制とロードコースは相性が悪いです。データが無いのでみんな無難に走ったというのもあるでしょうが、事前にコーションが分かっているとそれに合わせて動くので、みんなが予定通り動くと不確定要素が減ってしまって何も起きませんし、コース上の争いをしてくれません。
 ステージ ポイントは付与するけどコーションは出さないで続行させることで、有力ドライバーが上位をちゃんとコース上で争えるようにするとか、何かやらないとせっかくロードコース戦を増加させても宝の持ち腐れになります。

 で、次戦もそのロードコース。初開催となるインディアナポリスのロードコースです。

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
ステージ制とロードコースは相性が悪いかもしれませんね。2014年だったか、大クラッシュがあって、巻き込まれたニューマンが、NASCARに安全対策を訴えていた気がしますが、ワトキンスグレンが、こんなにおとなしい何も起こらないレースになるとは。別にアクシデントが起きて欲しいわけじゃありませんが、何も起きないロードコースと言うのは、ピンときません。
ラストラップにスチュワートとハムリンが優勝を争い(ソノマ)、アンブローズとアルメンディンガーが優勝を争った(グレン)みたいなレースを観たいものです。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 もちろんこの数年でロードコースの上手い人が増えたというのはあると思うんですが、非常識にタイヤが摩耗する車で、いよいよタイヤが落ちてきてさあ勝負だぞ、というところでせめぎあいが起きる、その手前でもうピットに入ってしまうので争いがなかなか起きないんですよね。
 インディアナポリスでは果たして何が起きるのか、とりあえず初回なのでのんびり眺めようと思います。