NASCAR用語 カ行



・クルー チーフ crew chief


 各ドライバーに専任で就く職務で、車両管理、レース中の戦略、アジャストの方法、各ピット クルーへの指示などレース全般において取りまとめを行う重責を担う。日欧のレースで言うところのチーフ エンジニアやレース エンジニアに相当する。
 ドライバーと無線で常にやり取りを行い、受け取った情報からアジャストの方向性を考えてより速く走れる手段を常に提供する立場であるためにドライバーとの相性が極めて重要とされており、戦略などでも人物ごとに特徴が出やすいため、他のカテゴリーと比較しても名前が出ることが非常に多い。
 車検で違反が発見された場合責任者として罰金や出場停止処分を受けることもあるほか、状況によってはテレビ局からレース中にインタビューを受けることもあり極めて忙しい仕事と言えるが、それ故にドライバーと同等にファンから見れば知名度が高く尊敬や応援の対象と言える。


・コーション caution


 日欧で言うセーフティー カーに相当。単にイエローとも呼ぶ。コース上でクラッシュや、破片の散乱等、危険が発生している場合にイエロー フラッグが振られ、その時点で追い越し禁止、減速が義務付けられ、ペース カーがリーダーの前に入って隊列整理を行う。当然それまでの各車間のギャップは無くなる。
 また、非選手権での”セグメント終了後”で導入される他、2017年からは”ステージ終了後”もコーションとなる。ステージ終了時には黄色ではなく、緑/白のチェッカーが振られる。
 日欧のレースでは、まず当該区間のみの黄旗があって、その上位段階としてSCが存在するが、NASCARは”ローカル イエロー”は存在せず、これはロード コースでも同様となっている。時にペットボトル1つ、ゴム片1つでもコーションが発生、コーションはレースの一部であり、そのあたりの受け止め方が日欧と大きく異なる。


・コンペティション コーション competition caution


 事前に予告されているコーション。略して『コンプ コーション』とも呼ばれる。主に決勝前に降雨等で路面状況が変化していると予想される場合や、2020年のCOVID-19パンデミック以降は練習走行・予選が行われていないレースで、各チームのタイヤ摩耗に関するデータが不足していると予想される場合に出される。
 ほとんどの場合、レース開始~航続距離の半分程度の距離で設定されており、約60周走れる1.5マイルのトラックなら30周あたりになることが多い。このコーションでピットに入るかどうかは任意だが、コンペティション コーションが設定されている場合、それ以前のピットで給油を行うことは禁止されている。
 また、コーションが頻発してタイヤをあまり酷使していない=データの参考にならないと判断されれば延期が通達されたり、逆にコンペティションコーションの少し前にコーションが発生した場合、コンペティションコーションに統合されることもある。稀にレース中に雨で中断した場合に、中断後に設定されることもある。

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