F1 第12戦 ベルギー

Formula 1 Rolex Belgian Grand Prix 2021
Circuit de Spa-Francorchamps 7.004km×44Laps=308.052km
winner:Max Verstappen(Red Bull Racing Honda/Red Bull RB16B-Honda)

 F1の短い夏休みが明けました。明けましておめでとうございます。まずはベルギー・スパ フランコルシャンからの後半戦。日本GPが中止となったことでF1は改訂版の日程を発表し、少しずつ開催日を移動させたりして全22戦に再構成されました。まだ未定の開催地があったりしますが、なんとか国家間を移動する際に生じる隔離措置を回避しながら世界を転戦する方法をひねり出しているみたいです。

 この週末はお天気が不安定、予選から雨に悩まされます。開始前に土砂降りになって開始が遅れたQ1、大半がウエットで出る中でウイリアムズだけはインターミディエイトを選択し、ジョージ ラッセルがいきなりの好タイムを記録。18分もあるので結局はみんなインターに乗り換えますが、最初から使っていて感覚を掴んでいることもあってかウイリアムズは2人ともQ2に進みました。角田 祐毅は17位で脱落。
 Q2は後になるほど条件が好転するパターンでしたが、フェラーリはタイミングとタイヤのピークのサイクルを合わせ損ねたっぽくで2台ともQ2で脱落。一方ラッセルはQ2も突破、最速はQ1、Q2と連続でランド ノリスとなります。

 Q2終了後にまた雨が強くなりQ3はウエットで各車がコースに向かいますが、セバスチャン ベッテルは無線で「赤旗にせなあかんで、水多すぎるわ」
 しかしドライバーの言葉をいちいち真に受けてられないのかセッションは継続、確かにずいぶんと水煙が増えて視界も悪くなったなあと思いつつ、先頭を切ってノリスがアタックに入りますが、なんとラディオンで滑ってクラッシュ。もちろん赤旗になりました。
 後続車両はベッテルで、かなり距離があったので危険なことは起きなかったのが幸いですが無線で激怒「せやから俺言うたやろ!こんなん意味無いわ!」。ベッテルはノリスの事故現場にオフィシャルより速く到着したので車を停めて無事かどうかを確認していきました。あ、ベッテルはハンガリーでのガス欠問題でチームの控訴が棄却されたため、失格の裁定が確定しています。
クラッシュしたノリスと
駆け付けたベッテル

 事故の処理と雨の増加によって長い赤旗となった後にセッション再開。今日は影が薄めのメルセデスとレッド ブル、インターでコースに入るとちょうどQ1の最初の頃に戻ったようなタイム水準になっていました。
 しかしここでもベラボーに速かったのはまたラッセル。最速タイムを記録して他の人のチェッカーを待ちますが、ルイス ハミルトンは0.013秒及ばず!そしてマックス フェルスタッペンがチェッカーを受け、、、0.3秒ほど更新してPPを獲得しました。結局フェルスタッペン、ラッセル、ハミルトン、ダニエル リキャード、ベッテルのトップ5となりました。セッティングを雨に賭けているというのがあるのかもしれませんが、ラッセル恐るべし。


 ノリスはQ1から縁石を使いまくって、少々滑っても気にせず踏んで行ってタイムを出していました。それだけ車を自分のものにできている手ごたえがあったんだと思いますが、Q3ではちょっとリスクを取りすぎたかもしれません。ラディオンでリアが流れ、カウンターを当てたらお釣りが来ました。
 ”普通のコーナー”であればたぶんあのカウンターで完璧に車を抑えられたはずですが、とんでもない急な登り勾配のコーナーですから想定外にグリップが戻ってしまったのかもしれません。Q3のタイム無しで予選10位、からのギアボックス交換で決勝は15位スタートです。


 決勝もやっぱり雨。なんとレコノサンス周回でセルヒオ ペレスがクラッシュ。昨年のハンガリーでは壊れたフェルスタッペンの車を超速で直したレッドブルでしたが、ペレスは損傷がでかすぎてグリッドまで自走するような状況でもありません。GT SPORTでゲージが全部真っ赤になったタイヤで走ったらあんなことになりそうです。レース前から1台脱落。



 レースはセーフティー カー先導でスタート手順が開始されますが、車が動き出した瞬間にスタートとなって周回数が数えられる『セーフティーカースタート』ではなく、セーフティーカー先導でフォーメーション ラップを行い、情勢を見た上でスタンディングかローリングのいずれかで正式なスタートを切る形式です。この辺がややこしいんですよね。フォーメーションラップは複数周回行うことができますが、その場合レース距離は減算されます。また、タイヤはウエットが義務付けられます。
 
 しかし雨がひどくて結局スタート時刻も5分刻みで遅らされました。まてど暮らせど始まらず、ピエール ガスリーは無線で「ソーセージ持ってきてくれよ~」なんてジョーク(?)が出る始末。ピット レーンからのスタートを決断したキミ ライコネンはこの選択が成功して(?)、ただ一人雨に濡れることなくガレージ内で待機します。
 今回まで全然知りませんでしたが、スタートでディレイが宣告されると1回につき周回数が1周減らされるという規則があり、4回遅らせたのでこの時点で44周のレースは40周になりました。

 結局20分遅れてようやくフォーメーションラップへと動き始めました。うーん、この速度で既に見えない^^; 各ドライバーとも無線で見えないことを訴えます。昨日はベッテル様の貴重なお言葉を無視したら事故が起きたので慎重に判断しましょう。結局2周したらスタート手順は一旦取りやめでみんなガレージへ。長い待機時間になりました。フォーメーションを1周追加したので、また減算されてレースは39周になります。

 本来の規則では初期設定されたスタート時刻から起算して3時間が最大レース時間とされており現地時間18時が制限でしたが、残り1時間となったところでなぜか『不可抗力』を理由にして時計が止められてしまいました。地元政府とも連絡をとって決めたそうですが、これは『柔軟な対応』なのか、『意地でもレースを成立させて払い戻したくない強情で強引な策』なのか、人によって評価が割れそうです。

 F1車両では無くメディカル車両がサーキットを攻める映像をひたすら眺め、コース脇のマーシャルさんはペタンクで遊んで時間つぶし。冗談抜きにくっそ寒いところで待たされて、もし再開されたら何かあればすぐに全力で駆け付けないといけないですから、気持ちを切らしすぎても、待ってる間も張り詰めすぎても、体が冷えてもだめなので大変だと思います。
 フジテレビNEXTでは、なんと小林 可夢偉が電話での緊急特別ゲスト出演を提案したようなんですが、残念ながら番組側にそういう仕組みが無かったために断念。しかし彼のサービス精神、行動力といったあたりは素晴らしいですね。J SPORTSならいけたんやろうかw


 もう無理じゃないかと思いましたが、現地時間18時17分になんとレースが再開されると発表されました。ペレスはレコノサンスでクラッシュして諦めたはずが、あまりに待ち時間が長いのでガレージに車両を持って帰ってきて修復作業をすることが余裕でできてしまい、隊列の最後尾からレースに参加することができてしまいました。異例づくめのレース再開です。
 ペレスは最初のスタート手順で不在だったので、周回遅れなのかどうなのかでフジテレビNEXT放送陣も混乱していましたが、あれはあくまでレース開始ではなくスタート手順の最中で、結局『スタート手順取り消し』でスタートは切られておらず、『レース距離が1周減算』されただけでみんな消化周回数は0なのでリード ラップという解釈、で合ってますよね?記録上もそうなってるし。

 ここはリスタートのためのフォーメーションではなく、動きだした瞬間からセーフティー カー先導でのレースが開始されたという取り扱い、になってるっぽいですが、いかんせんこっちに与えられている情報が少ない^^;
 レースは2周以上走れば成立、ただし総周回数の75%を消化できなければポイントは通常の半分。現実的に1時間で30周は無理なので、とりあえずレースを成立して最低限お客さんにも興行を見せることが任務という感じですが、相変わらず視界は悪くて競技ができる雰囲気には見えません。結局3周したら赤旗になりました。
・・・見えん


 このまま再度赤旗で待機しますが、天候の回復がまるで見込めないことから再開されないことが決定され、ハーフ ポイントのレースとして成立しました。優勝はフェルスタッペン、ラッセルが自身初の表彰台となる2位です。
 誰もがしっくり来ない終わり方だとは思いますが、お客さんは最後まで寒い中なんとかレースが行われる姿を見ようと多くの方が遅くまで残っていました。こればっかりは天候なので仕方ない。
 3位になったハミルトンは、簡単に言えばF1は観客に払い戻したくないがために、ファンを待たせるだけ待たせて無理やり3周だけしてレースを成立させて茶番に付き合わせた、と批判。

オートスポーツweb

 天候ばかりは制御できないので、早々に諦めた後晴れたらそれはそれでファンに怒られるでしょうから、起こっていることに事後的に対応した後追いになってしまうのは仕方ない面でもあります。しかしながら、もちろんあんな大雨の寒い中待ってられないし常識的に無理だから、そんな遅くまでいたら帰れなくなるから、など何も見れずお金だけ払った人もいるでしょう。
 プロ野球なんかでものすごい雨の中で無理やり試合を進めて成立させてしまうのを『この日しか見に来れないお客さんもいるんだから見せるのがプロ』という意見がありますが、個人的には『こんなまともに試合ができずに打球が水にハマって止まる試合を見たくてお金を払ってるわけじゃない』『風邪をひいてまで見れるような立場ではないのでそんな試合は見に行けない』という人だっているはずなので、とにかくやるのが美談、みたいな考えが正義のように扱われるのはちょっと違うと元々思っています。
 サーキットにもFIAにもF1にも事情はあるのでとにかく払い戻せ一辺倒とはいかないでしょうが、もう少し対応には考えようがあるように思います。もちろん、今のF1界のお金の回り方を根本からいじっていかないと答えは出ないでしょうから、ドライバーの給料にも影響することは承知すべきかと思いますけどね。


 結局私は生放送で見始めたものの1時間ほどで諦め、録画で朝から見ていたらレースの再開が決まったのは出勤の少し前。結局家を出る寸前にまた赤旗になってしまい、帰ってきたらレースが終わりました。私のF1視聴も赤旗2回^^;
 不幸中の幸いだったのは、今回の放送席が西岡 孝洋、川井 一仁、森脇 基泰、という安定感のある3人だったので、待ち時間のトークがわりと退屈しなかったことでした。とりあえず今回のベルギーGPで分かったことは

・2005年のアメリカGPで、ミシュラン勢がボイコットするかどうかという話の取材で忙しかった川井ちゃんはメシを食う時間が無かったが、ミシュランが気を利かして軽食を提供してくれたので、時々マイクをオフにして食べていた。

・西岡アナはその時オランダで仕事をしており、オランダ語実況でレースを見たため、なぜ6台だけが走っているのか全く分からないままレースが終わった

・その前年の2004年イタリアGP、西岡アナは同僚アナウンサーの竹下 陽平と『"パラボリカ"を使ってうまいこと実況する』方法を模索。この年のアテネオリンピックでの名実況『伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ』の、放物線=パラボリカなのでこれをうまいことを使おうと話していたら、竹下アナがなぜか『栄光への架け橋』の方を使おうとしだしたので止めた。

こんなところでした。竹下アナはけっこう天然な人だと思ってるんですが、これを聞いてもやっぱりそうですね。次戦は2週連続開催でオランダ、実況担当はF1実況のデビュー戦となる堀池 亮介だそうなので、普通にレースが進行してきれることを祈ります。堀井アナはF1GPニュースでは既にデビューしてますけどまだかなり緊張してはるので、怖がらず落ち着いて進めて”完走”を目指してほしいですね。

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
天候が原因だったとは言え、お客さんは本当にかわいそうでした。
西岡アナは午前8時から生放送で、4時から打ち合わせと言っていましたが、無事に乗り切れたのでしょうか、、
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 おそらく西岡さんは仮眠だけとってすぐ打ち合わせに行ったんでしょうね。サッシャさんを見てても週末にあっちこっちで実況してて「えーっと、何人か分身してます?」って思う時があるので、テレビマンはかなり過酷そうです(+ +)