FE 第10戦 ニューヨーク

ABB FIA Formula E ABB New York City  E-Prix
Brooklyn Street Cuircuit 2.32km
45minutes+1Lap
winner:Maximilian Günther(BMW i Andretti Motorsport/BMW iFE.21)

 FE第10戦はニューヨーク。土日の2連戦でのレースです。有名なマンハッタン島から見ると対岸に位置するブルックリン クルーズ ターミナルという場所に設置された特設コースが舞台となります。普段は船着き場の港ですね。ターン10からのカメラでは奥にニューヨーク市街地の街並みが見えます。


 googleの地図と照らし合わせてみますと、左前方・近くに見えているのがマンハッタン、ではなくガバナーズ島。奥の方に見えているビル群がマンハッタンです。自由の女神像はカメラから言うと左側の画角には入らない方向の奥の方にあるということになりますね。J SPORTSの実況でサッシャが説明しているバターミルク チャネルというのは正確には間に流れている運河の名称になる、と思います。
赤いピンを立てたのがだいたいターン10の位置


 このコースの見どころは最終コーナー、左の回り込む中速コーナーでイン側ギリギリでアクセルを絶妙に制御して待ってから全開にしていかないといけない上に、その途中に路面の大きなうねりがあるために一瞬荷重抜けも発生。おかげでどうやっても四輪ドリフト状態になるという見た目以上に難易度の高いコーナーです。
 フリー走行の1回目では早速ここでサム バードがミスって外側のバリアにハゲしくクラッシュしてしまい、モノコック交換を強いられることになりました。


 予選、そのバードは急いでくみ上げたくるまだったせいかグループ予選のアタック中に整備用ハッチの蓋が外れる問題発生。ちょっと失速気味のところにオリバー ローランドが追い付いてつっかかりスピン、バードに接触して赤旗になる場面がありました。
 グループ予選で最速だったのはセバスチャン ブエミ。多くのドライバーがコンクリート部分の縁石まで車を乗せて『ガシャッ』と言わせながら走っているのにブエミはそこまで使わない丁寧な走りで印象的でしたが、スーパー ポールではターン1でいきなりミスって5位に沈みます。他は速かっただけに勿体ない結果でした。
 PPはニック キャシディーで前戦の初表彰台からの勢いを継続。2位にジャン エリック ベルニュ、3位はアレックス リンです。一方前戦で選手権1位に躍り出たエドアルド モルターラはグループ予選で『予選モードの出力250kWに入らない』という問題が出て予選最下位、決勝は23位からのスタートと厳しいものとなりました。


 決勝、3位のリンが好発進ですぐ2位になりましたがターン1で全然止まれず5位へ後退するミス。これでキャシディー、ベルニュとなりブエミが3位で続きます。
 1回目のアタック モードのサイクルはかなり早いタイミング。5位のリンを起点に次々とトップ10圏内の車がアタックモードに入ります。今回はターン10・とてつもなく半径の小さいヘアピンの外側に設置されており、ちょっと合流点は危ないですがタイムとしては1.5秒ぐらいのロスで済む感じです。後ろが全員入ったのを見て開始10分ほどでキャシディーもアタックモードを使用、ベルニュの鼻先を抑えて先頭を維持しました。

 開始約14分、ターン10で6位となっていたリンにパスカル ベアラインが強烈に追突。リンはスピン、ベアラインは自ら車を壊してリタイアとなります。どうもアタックモードを使うつもりで深いブレーキに入ったところ突っ込んだ模様。これは100%当てた人が悪い。
 一方上位争いはブエミのペースが上がらなかったのでキャシディーとベルニュの一騎打ち状態となります。ブエミはペースは上がらずこのあとじわじわと順位を下げていくことになります。なんかレースで速さが無いんですよね。

 開始18分、ミッチ エバンスがターン2の先でトラブルにより停止。暫くそのまま放置されますが、2分ほど経ってからFCYが宣告されます。退避路近くでただ止まっているだけなのですみやかに撤去されFCYは40秒で終了、1分以内なのでエナジー削減も行われずにリスタートされました。
 このFCY前に2回目のアタックモードサイクルも概ね終了しておりキャシディーはリードを維持、ベルニュが変わらず2位。3位にはアタックモードのサイクルでうまく順位を引き上げたマキシミリアン グンターがいます。しかしキャシディーはベルニュより1.5%ほどエナジー残量が少なく、かつベルニュはファン ブーストを保有。3位のグンターはベルニュよりさらに1%弱多く残しており、後ろのドライバーほどエナジー残量が多いという状況です。


 残り15分、キャシディーから4位のルーカス ディ グラッシまでの4台が1つの集団になります。キャシディーは少しずつ節約しているもののまだまだ残量で劣勢です。
 残り12分、ベルニュが予想外にターン5から先の直線でファンブーストを使いますが何も起こせず武器を使ってしまいました。なんか無駄撃ちした感じがありますが、ひょっとしたらこれ以降に使うと前戦のベアラインのように『残量不足で完全な形で使えない』というようなことがあるのかもしれません。

 残り7分30秒、ベルニュがターン10でここだ!とばかりにインに飛び込みますがこのタイトなコーナーに深いブレーキで入ったので車が全然内側を向かずキャシディーもろともラインを外れてしまいます。その隙にイン側をグンターが通過して一気に1位を手にしました。これはラッキー。こうなると自分の方が残量もあるし圧倒的に有利です。キャシディーは4位まで後退しました。


 そのままグンターはレースを管理してトップでチェッカー、今季初勝利、通算では3勝目。これでフォーミュラEは今季10戦で9人目の勝者となりました。BMW i アンドレッティーとすると、メーカーはドイツ企業ですが動かしているのはアメリカのチーム、今回マイケル アンドレッティーもピットに来てますので母国の御前レースでの見事な凱旋勝利ということになります。


 ベルニュ、ディグラッシの表彰台で、キャシディーは4位に終わりました。5位にチームメイトのロビン フラインス。レースでペースが上がらないブエミは6位で、8位スタートのオリバー ローランドが7位と日産e.damsは並んでのフィニッシュ。
 驚いたのはバードで、急いで組み立てて予選後もたぶん一生懸命調整したであろう車で20位スタートからまさかの9位。22位スタート、最近このレースに慣れ始めて脅威になりだしているレネ ラストも22位スタートで10位としぶとく入賞圏までもってきました。
 逆にリンは押されて回ったとはいえ、アタックモードを真っ先に一人だけ使って埋もれるパターンになり11位。技術規定違反でペナルティーを受ける車も相変わらず登場し、トラブルや接触で6台がリタイアするレースとなりました。

 今回は気温が高くタイヤの摩耗も結構厳しいとの見立てで、後半にアタックモードを温存させずにさっさと使う人が大半でした。結果アタックモード使用前後で順位変動が少なく、みんな同じ作戦で同じように動いてのマネージメント戦という感じでしたが、グンターは4位スタートから上手く管理しました。
 序盤ブエミに詰まっている時間もあってその間に前から離されていましたが、詰まっている時間をきっちり省電力走行にできていたことが勝因の1つだと思います。BMWは撤退してもアンドレッティーとしては来季以降も活動するはずですが、そこまで営業秘密が詰まってるわけでもないのでF1のホンダみたいにこのパワートレインをそのまま譲渡してもらえたりしないですかねえ。別のメーカーが来てくれればそれにこしたことないですけど。

 ベルニュはちょっと焦りましたね。後ろの方が残量が多いので、自分が抜く前に仕掛けられて抜かれたくない、という心理もあったと思いますがリフト&コースト量が多いであろうターン1の方が狙いやすかったかなと思います。守られるから裏をかいた、というのはもちろんあるでしょうが見た目ほぼ「ぶつけて相手を壁にして抜いた」だけになってました。結果自分も抜かれたしw

 選手権ではモルターラは無得点だったものの、やはりランキング上位勢が同じくほとんど加点できないので1位を維持。しかし10点を得たフラインスが同点で並び、勝てはしなかったもののベルニュが4点差の3位となりました。シーズン序盤を席巻して来たメルセデスEQの2台はともに7位以下へと後退しますが、これでグループ予選が2組目になるのでようやく少し戦えるようになるかもしれません。
 チーム選手権ではDSテチーターが1位ですが、4点差でエンビジョン バージン レーシングが続き、6位のBMW i アンドレッティー モータースポーツまで21点差とかなり僅差。両選手権とも全く展開が読めそうもありません。

 さして大きなことが起こったわけでもないですが、このコースはなんとなく好きな雰囲気ですね。次戦も連続でニューヨークです。

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