F1 第5戦 モナコ

Formula 1 Grand Prix De Monaco 2021
Circuit de Monaco 3.337km×78Laps=260.286km
winner:Max Verstappen(
Red Bull Racing Honda/Red Bull RB16B-Honda)

 F1第5戦、去年は開催できなかったモナコGP、フォーミュラEで既に面白いレースを見られましたが、F1を見ると車がデカいですね^^;
 ここがほぼコース外=ぶつかるor退路に逃げてロスなので、トラック リミットの問題が発生することはあまりありませんね。あるとしたらシケインをカットして、避けたか利益を得たか、ぐらいのもんでしょう。ってそれでもめる結末があっても不思議じゃないか・・・w

 予選、路面は走るほどにラバーが乗って来るし、混雑も頻繁に起きるのでとにかく空間を見つけて良いタイムを出すまでみんなグルグルと回り続けます。そのため見ていても非常に忙しいですw
 タイヤの熱がアウト ラップの1周だけでは上がり切らないみたいでさらにもう1~2周する人も多く、みんなやってることがバラバラなので余計に混雑が起きます。なお、フジテレビNEXTで川井 一仁がよく『プリップ ラップ』と言っていますが、プリップ=Preparation(準備)という意味で、準備周回というような意味になります。ビルド ラップ、というのも同じ意味です。

 Q1では角田 祐毅が今回も惜しくも敗退。木曜日のFP2で車を壊してしまい、ちょっとここ最近の流れからお偉いさんの目も厳しいので、せめてQ2には進みたかったんですが、ピットで重量検査に引っかかり、さらに2セット目のタイヤでは位置取りの展開もあまり良く無さそうでした。

 Q3、この週末好調のフェラーリが魅せ、シャルル ルクレールが1回目のアタックでまずはトップに立ちます。
いいぞ、ルクレール!

 そして2回目、各車がタイム更新に期待を寄せる中で、なんとルクレールがターン15~16でクラッシュ。
やっちまったぜ、ルクレール!

 当然これで赤旗になってしまって予選終了。トップの人が真っ先に事故って誰も更新できずに終わる、という展開に、2006年のミハエル シューマッハーを思い出した方は多いでしょう。
 でも、故意性が疑われたミハエルと違って、ルクレールは明らかにミスなので仕方ないといえば仕方ないですし、ルクレールでなくても誰かしら事故って予選が終わることはあり得るので、先に良いタイムを出したことが重要でした。
 2位にマックス フェルスタッペン、3位にバルテリ ボッタス。ルイス ハミルトンはめズラしくしっくり来ていない感じで7位でした。Q1をギリギリ15位で通過したセバスチャン ベッテルがQ3まで進んで8位というのが個人的には良かったですね。


 そして日曜日、ルクレールのギアボックスが壊れていないか心配でしたが、フェラーリは確認をした上で大丈夫と判断、これでルクレールはポールからのスタートが確定しました。が、、、レコノサンス周回に出たところで無線が。

「ダメだ~、、、ダメだ~、ギアボックス ケースだ・・・」

 フジテレビNEXTだとちょうど無線のタイミングで前日の予選の事故が放送されたのでここが聞けなかったんですが、なんとルクレールはピットへ戻り、結局修復もできずリタイア。原因は左のドライブシャフトということで、クラッシュとの因果関係は不明なわけですが、右側をぐしゃっと押されて左に負荷がかかったのを見落としてても不思議ではないですね。ここはぶつけた側ではないので調べる対象になっていなかったそうです。
言葉が浮かばないぜ、ルクレール・・・

 というわけでグリッド確定後なので1位の場所を空けたままスタート。フェルスタッペンのスタートは今一つでしたがボッタスを抑えつけるようにして1位を維持します。3位にカルロス サインツ。10位までの車は全てルクレールが抜けたぶん1つ順位を上げただけでコース上での変動なく始まります。

 前の車にピッタリつけようと思えばつけられる人もいそうですが、タイヤとブレーキのこともあるしどうせ抜けないので周回が進んでいくと各車間が1~2秒へ広がって、特に見た目上の争いというのも起こらずレースは進行。ハミルトンですら、ピエール ガスリーに対して1.5秒差ぐらいでこれ以上詰めないので、のんびり走っていることでしょうw

 20周走っても状況は特に変わらず。フェルスタッペンとボッタスの差は2.5秒、そこからサインツまでが2秒。そこそこ路面温度が高そうなので、そのわりにタイヤがけっこうみんなもってる印象です。
 しかしボッタスがこのあたりで「左前のグリップが落ち始めた」と無線で訴えます。確かにフェルスタッペンとの差が広がり始めて、さっきまでの同じペースで合わせている感じから、ついていけなくなって離されている状況に変わってきました。

 ボッタスはむしろサインツに追われる状況になりタイヤの余裕があまりないようですが、ここでピットに入ると集団の中に出てしまうので安易にタイヤを換えるわけにもいきません。とりわけ、予選9位と大誤算だったセルヒオ ペレスの後ろに戻る危険性が高いのが難点です。

 29周目、6位のハミルトンがピットへ。ハードへ交換して8位で復帰します。ここは大きな空間がありました。そして30周目、ボッタスもピットに入りますが、ここで信じられないことが起こりました。なんと、右前輪が全く外れません。完全にナットが噛んでしまったのかどうやっても外れず、このままリタイアとなってしまいました。なんてこった、パンナコッタ。
替え玉を投入できず、ラーメン屋閉店


 一方ハミルトンの方は、せっかく先に動いたのに翌周ピットに入ったガスリーをアンダーカットできず。「なんでまだ後ろなんだよ、ふざけんな!」
さらに、そのまた翌周に入ったベッテルがこの2台をまとめてオーバーカットしてピット前から2つ順位を上げることに大成功します。
ピットを出てガスリーと並走し争うベッテル
この後なぜか国際映像が特に急がないリプレイを映して映像が切れてしまうw

 この後各車が順にピットに入って行き、34周目にフェルスタッペンもピットへ。事実上のトップを維持します。そしてこれで暫定のリーダーはペレス。9位スタートで埋まっていたペレスですが、引っ張ってオーバーカットを狙い。この古いソフトでファステストを記録してから35周目にピットに入り、ベッテル、ガスリー、ハミルトンを一気に3台まとめてオーバーカット、4位となりました。

 予選でもそうだったように、ここはタイヤになかなか熱が入りません。アンダーカットするにはピット後に相手の車より速く走る必要がありますが、特にソフトからハードに乗り換えた場合には、熱が入りにくくすぐにペースが上がりませんし、タイヤ間の元々の性能差があります。
 1周の長いコースやタイヤの性能劣化が激しいコースであれば、ピットを出た直後が仮に遅くても、周回の途中から速くなればアンダーカットできますが、ここは75秒しかない短いコースなので、結局ペースが『使い続けている中古のソフト>まだ熱が入らないハード』となってしまい、むしろ相手より1~2周長く走った方が得でした。
 それに、そもそも多くのドライバーが前の人のペースに合わせて本来出せる全力よりも抑え気味に走っていますし前とは間隔を空けていたわけで、相手がピットに入ったのを見て残ったタイヤを使い切りに行けば、多少ならペースを上げることも可能だった人がいたと思います。
 モナコではオーバーカットが成立することが多いのはメルセデスもある程度知っていたはずですし、特にハミルトンなら全員ピットに入るまで我慢してから空いた場所で最速を連発することもできたように思うので、これはチーム側の判断ミスだと思います。しかも今年のメルセデス、熱がやや入りにくい特性だとも言われています。
 ペレスは、まあいつも予選が悪くてこれしか手段がないせいもありますが、お馴染みの戦略が機能した形です。


 先に動いたら抜かれまくってハミルトンは無線でブチ切れ中ですが、コース上はタイヤ使用義務を終えてフェルスタッペン、サインツ、ランド ノリス、ペレス、ベッテルのトップ5。でも落ち着けハミルトン、君はちゃんとタイヤが交換できただけ幸せ者なんだぞ・・・!

 フェルスタッペンはこのまま楽々後半戦を逃げ切りました、おしまい。というほど簡単にはいかず、サインツが時にフェルスタッペンを上回るタイムを記録して徐々に迫ってきます。

 何が起きるか分からないから重圧をかけてみよう、と攻めたサインツでしたが、さすがに残り20周あたりからへばってきたのか3秒前後で保っていた差が開き始めます。序盤のボッタスと同じ流れですね。
 一方3位のノリスも「車がひどい」とかなり苦しんでいるようで、ペレスが徐々に追い上げて行きます。追いついたからって抜けるもんじゃないんですが、コース上で数少ない争いになりそうです。ただペレスの無線によれば燃料もけっこうカツカツの様子。

 残り10周、ハミルトンはガスリーの攻略は諦めてファステスト狙いで2回目のピットに入ります。ちょうど同じころ、ながーーーーーーーーいハードのスティントからソフトに換えていた角田がファステスト、モナコGPでのレコードを更新するタイムを出しましたが、すぐハミルトンに塗り替えられました。

 フェルスタッペンは終わってみればサインツに9秒差で優勝。最後にポルティエをずいぶんとリアを振りながら脱出してきて、見てるこっちは冷や冷やしますがフェルスタッペン的には『楽しんでる』範囲なんでしょうね。でもスノーボードでゴール前にいらんことしたら転倒して金メダル逃した人とか実際にいますからねえ^^;
(2006年 トリノでのリンゼイ ジャコベリス)

 2位にサインツ、3位にノリスとなりました。マクラーレンは今回、一戦限定でガルフの特別スキームでしたが、オレンジ一色よりカッコいいのでずっとこれで走ってくれ、と思った人は多い気がします。ただチームメイトのダニエル リキャードは予選で12位と沈んでしまってレースも12位。終盤にはノリスに周回遅れにされてしまいました。
 ノリスは手を振って抜いていきましたが、いくら埋まったらペースが上がらないモナコとはいえ、さすがに同じ車のチームメイトに周回遅れにされるのは屈辱的だったのではないかと思います。

 以下、ペレス、ベッテル、ガスリー、ハミルトン、ランス ストロール、エステバン オコン、アントニオ ジョビナッツィ―のトップ10でした。ベッテルはアストンマーティン移籍後初めて良い仕事をしましたね。2台まとめてオーバーカットしたのが気持ちよかったので、せっかく生で見てるし、とドライバー オブ ザ デイに一票入れたら彼が獲得しました。ちょっと嬉しいw
 ストロールも13位スタートからハード→ソフトで好いてる場所を走って大きく順位を上げましたし、アストンマーティンは良いレースでしたね。何せこの日に限って言えばメルセデスよりも多い点数を稼いだのですから。

 今回SCも導入されずに、しかもけっこうなペースで走ったためにフェルスタッペンの平均速度は157.833km/h。これは従来最速だった2007年のフェルナンド アロンソを上回ってモナコGP史上最速、初めて1時間40分を切りました。
 レッド ブルとフェルスタッペンはコンストラクターズとドライバーの両選手権で1位。レッドブルにとって2014年のハイブリッド時代以来初めての1位で、フェルスタッペンももちろん自身初。ホンダとしては1991年以来のトップです。

 イモラでは自爆して大量に点数を失うはずだったハミルトンが、結局2位で終えたためにここまで選手権はハミルトンがリードしてきましたが、今日は自分たちのレースの出来映えのマズさで点数を失って、イモラで救われたぶんを吐き出した形となりました。
 これで選手権は非常に面白くなりそうですが、ルクレールがいたらもっと面白いレースだっただろうな、と思わずにはいられませんでした。機械的故障によってポールシッターがレースをスタートできなかったのは1996年フランスGPでのシューマッハー以来だそうです。またシューマッハーの話が出てきましたね。。。

 ただまあ正直な話をしますと、フォーミュラEのモナコの方が面白かったですw 次戦はアゼルバイジャンです。

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