Blue-Emu Maximum Pain Relief 500
Martinsville Speedway 0.526miles×500Laps(130/130/240)=263miles
competition caution end of Lap 60
winner:Martin Truex Jr.(Joe Gibbs Racing/Bass Pro shops / Tracker Boats&ATV's Toyota Camry)
NASCAR Cup Seriesはイースターのお休みを挟んで0.5マイルの2連戦。前戦はブリストルのダートだったので正直何マイルでもどうでも良い状態でしたが、今週はシリーズで最も速度の遅い一戦、マーティンズビルです。
このお休みの間、なんとFOX解説者であるジェフ ゴードンがCOVID-19の検査で陽性だった、というニュースが出てきました。本人によれば、検査の7日前にはワクチンの1回目の接種を受けたところだったそうなんですが、ワクチン接種の直前にどこかで感染したか、接種したけど感染したか。
幸い大きな影響は起こらなかったようで、しかもちょうど休みの週でしたから、この日の放送を休むことなくこのレースの解説も担当していました。
なお、『ワクチン接種を受けるとPCR検査で陽性反応が出る』という誤情報がSNSで流れたようですがデマです。抗体検査であれば、抗体ができることで陽性となる可能性がありますが、PCR検査にmRNAワクチンは反応しません。生ワクチンなら話は別ですが、主要国ではCOVID-19の生ワクチンは使用されていないので考える必要はありません。
さてレースに参りましょう。土曜日夜のレースはジョーイ ロガーノとデニー ハムリンの1列目でスタートします。ロガーノがまずリードを取りますが、4周目に早くもハムリンがこれをかわします。全体にすぐに1列になったところを見ると、序盤なのでみんなまずは無理せず堅実に走りたい様子です。
トラック上は開始からほどなく雨が落ちてきますが、そんな中37周目にジェイムス デイビソンがスピンして1回目のコーション。チームメイトのコディー ウェアーに押されました。ウェアーの当たり方はプロとしてはいただけない感じだと思いましたが、どうやらこの2人はチームメイト同士でちょっと小競り合いになっていたみたいで、意図的な感じもあったようです。
無線でデイビソンはウェアーに対してかなり文句を言っていたようで、レース後もやや激しく争って熱くなったことには反省しつつ、ウェアーの行為に納得も行っていない、という様子だったとの情報です。
コンペティション コーションの前なので給油できませんが各車タイヤ交換のためピットへ。車の走っていないピット上では路面が光るぐらいには路面水量が増えており、雨天による中断はこのままでは避けられなさそう。結局雨により赤旗となってしまい、このままレースは翌日に順延されました。金曜日のXfinity Seriesのレースも途中で雨により順延されて日曜日に先送りされており、結局日曜日はやりかけ2連戦となりました。
なお、ちょうどNASCARは先日ここでレイン タイヤのテストを実施したところなんですが、今の時点では評価段階だということです。
翌日、47周目にリスタート、コンペティションコーションは取り消しになりました。始まって早々の51周目、エリック ジョーンズとカート ブッシュが接触。カートがスピンしてコーション。後続車が大量にいましたが誰も当たらず、カート自身も絶妙な制御でどこにもぶつけずに最小限の損害で済みます。
リスタート後もハムリンがリードしますが、ついていったのがライアン ブレイニー。ハムリンがややタイトになってきた75周目にリードを奪います。一方中団ではダニエル スアレスが違反による最後尾スタートから20位まで追い上げてきていましたが、ルース ウィールの疑いで失速。結局緊急ピットで周回遅れとなってしまいました。
今年は今一つ調子が上がらないスチュワート-ハース レーシング。ケビン ハービックもじわじわと順位を下げて苦戦している状態ですが、映像ではテレメトリーの情報をなんとロガーで比較して表示してくれました。
ハービックがブレイニーに対してかなりタイトでステアリングの舵角が全く違っていることが分かります。元々NASCAR中継では、データを基にバーチャル映像でゴースト車両を作成したデータを時々出していますが、他のカテゴリーでは見ない光景ですね。
F1なんかもこういうのやったら、コーナーの速度の違いとかチームメイトでのライン取りの違いとかが視覚的に分かって面白いと思うんですがねえ。なお、ハービックは今日もうまくごまかしながら粘って、9位でレースを終えています。
ステージ1はこのままブレイニーが独走。ステージ終盤はエリック アルミローラが周回遅れを避けるべく粘りまくったのでこれに詰まりましたが大きな影響はありませんでした。
上位11台はチーム ペンスキー、ジョー ギブス レーシング、ヘンドリック モータースポーツの3チームのドライバーによって占められ、12位はタイラー レディックでした。レディックは車検後のアジャストでペナルティーを受けて35位からスタートし、なんとここまで浮上しています。
ステージ2、ブレイニーとハムリンの1列目で始まりますが、ハムリンが外側から攻めた走りでリードを奪います。ブレイニーはロングで速かったので、そのぶん出足はあまり良くない可能性があります。
やはり周回を重ねるとブレイニーは追い上げていき、175周目にハムリンからリードを取り返しました。ブレイニーにとってはコーションが連発される展開が一番の敵となりそうです。
ブレイニーはその後もリードを3秒近くにまで拡大していく独走状態。コーションも無くレースは進み、ブレイニーはとうとうロガーノを周回遅れにすべく捉えましたが、ここでウェアーが右リアのタイヤをブローさせてスピンしコーション、ロガーノは命拾いしました。
リード ラップ車両はここで全車ピットへ向かい、ステージ残り僅かなので、周回遅れの16台がウエーブ アラウンドを選択しました。248周目、ブレイニーとハムリンの1列目でリスタート。今回はブレイニーが気合の入ったリスタートを見せたものの、やはりハムリンのほうが走り出しは速くサイド バイ サイドの争いになります。
そんなリーダー争いの最中、中団でクラッシュ発生。前の車を抜こうとしてミスったライアン ニューマンが横を向いてしまい、後ろからきたマット ディベネデトーに命中。2台ともそこそこのダメージを受けました。Matt Dは板金10万円コースですが、しかしこの後ボロボロの車で粘ってこのレース12位でした。
修理内容:チェーンソーでむしり取る |
ステージ残り2周のシュートアウト、ハムリンは加速のタイミングをズラされたか出遅れてしまい、マーティン トゥルーエックス ジュニアに抜かれて一時3位になりますが、ここから猛烈な巻き返しでブレイニーに急接近。この短いトラックでたった1周半で取り返して、ブレイニーを軽くつついて最後にはインに並びかけましたが、僅かな差でブレイニーがステージ2も制しました。
ステージ間コーションは先ほどのピットからあまり走っていないので選択が分かれます。ブレイニーとステージ3位のトゥルーエックスは入りましたが、ハムリンなど10台がステイ アウトしました。
これにより、ハムリンとブラッド ケゼロウスキーの1列目でファイナル ステージが始まります。ブレイニーは11位からのリスタートで、集団の中から、出足の鈍い車でのレースになるので戦い方がやや難しくなります。
277周目、ジャスティン ヘイリーがスピンし7回目のコーション。ここはリードラップ後方の人だけピットへ向かい、283周目にさっきと同じ1列目でリスタートします。
ところが、289周目にウェアーのスピンによりまたもやコーション、ここでは多くがピットに飛び込みステイアウトは6台。作戦の差はかなり少なくなりました。ウェアー関連のコーションはこれで本日3回目。結局彼は28位でしたが、リック ウェアー レーシングは4台全て30位以内に入りました。
ステイ アウトしたバッバ ウォーレスとニューマンの1列目で297周目にリスタート。ウォーレスはステージ2終盤まで2周遅れだったんですが、ウエーブアラウンドとフリーパスであっという間にリードラップに戻り、ステイアウトでリーダーになりましたw リードラップ車は25台です。
ウォーレスはニューマンとの争いを制して抜け出し、一方でその後方は遅いステイアウト組が並走して争うもんだから本来速い人たちが詰まってぐちゃぐちゃの争いになります。これぞマーティンズビル。
315周目、同じくステイアウト組のウイリアム バイロンがウォーレスをかわしますが、背後にはハムリンが迫ってきました。一方ブレイニーはかなりブレーキを使って抜きにかかっているなあという印象を受けましたが、無線で「かなり温度が高い」と言っているようで、やはりブレーキを使いすぎっぽいです。
321周目、カイル ブッシュが「何か壊れた」と無線で言った直後に単独スピン。足回りが何かしら壊れたような感じの話ですが、ピットでクルーが見た限りは原因は分からず。
ここでまたリードラップ車は全員ピットへ。ハムリン陣営が迅速な作業でバイロンをピット内で逆転することに成功します。
328周目にリスタートしますが、ここからコーション地獄にハマります。330周目、340周目、349周目、と立て続けにコーション3連発。かなりボロボロの車が増えてきました。
マーティンズビルらしい見た目になりました |
えーっと、ダートのレースでもやってたんですか? |
356周目にハムリンとボウマンの1列目でリスタートされますが、比喩ではなくコーション連発の間に日が暮れてきて、路面温度はこの日曜日のレース開始時より8℃ほど低下、日影が多くなってきました。
ハムリンはいきなり後続に1秒以上の差をつけた一方、ボウマンはバイブレーションを訴えて緊急ピットの憂き目に遭います。せっかく調子が良さそうだったんですが争いから脱落しました。
やっとレースが流れてきたと思った矢先の371周目、エリック ジョーンズが玉突き事故で押されてスピンしまたコーション。ロス チャステインがケゼロウスキーを押し、ケゼロウスキーがジョーンズをさらに押しました。ケゼロウスキーは340周目のコーションでスピンさせられて周回遅れとなっていましたが、ここで半分被害者ながらフリーパス獲得の幸運。
ここでレース最後までの燃料が入るので大半はピットへ。とうとうピット内でも事故が発生してしまい、コリー ラジョーイがレディックと接触してフェンダーを中破。ラジョーイはこれで走行不能となってリタイア、最下位の37位でした。
378周目、残り123周でリスタート。3台がステイアウトし、クリストファー ベルがまずはリード、続いてハムリン。その後ろはまたもやぐちゃぐちゃですが、その混乱をうまくすり抜けてブレイニーが3位に浮上することに成功します。
もう出足が遅いとか言っていられないのでチームメイトのロガーノとハゲしい3位争いを展開。ロガーノは路面温度が下がったら車が仕事するようになってきたように見えますね。
386周目、小競り合いをしていたカイルとブッシャーがターン2の出口で絡んで同時にスピンしバックストレッチを塞いでしまいました、後続車両ほぼ全員巻き込む大惨事。スアレスとプリースの2台から出火し、当然ながら赤旗となりました。ケゼロウスキー、ボウマンも巻き添えでここでリタイア。
赤旗が解除されると、ベルはどこかで1回は入らないと燃料が足りないのでここでピットへ。ハムリンとブレイニーの1列目で397周目にリスタートします。
ブレイニーは背後から圧をかけてくるトゥルーエックスとロガーノを2台まとめて鬼ブロックしていたら、その2台が争ってもつれてくれたため単独2位走行に持ち込みます。さて、序盤のようにロングでハムリンを追い詰められるでしょうか。
ブレイニーとハムリンの力関係はこのスティントも変わらず、残りが75周となるころには完全にブレイニーがハムリンを捕まえます。トゥルーエックスもその背後につけており、3台による優勝争いへ発展しました。
残り48周、いよいよブレイニーが何か起こしそうな雰囲気になり、ラリー マクレイノルズに過去10戦のマーティンズビルでのコーションの統計を聞こうと思ったその時、チェイス ブリスコーがスピンしてまたコーションとなりました。ラリーの提示した最終コーションの平均周回数に実際にコーションが出ることより、ラリーが喋ろうとした瞬間にコーションが出ることの方が遥かに多い気がするw
重要なピット作業、ここでトゥルーエックス陣営が会心の作業でハムリンを逆転。12.7秒の見事な作業でした。一方ブレイニーは
あんまり作業が早くなかった上に、なんとホースを引っかけて発進してしまいました。ペナルティーで優勝争いから脱落です。思わず「あー!」って大声出してしまいました^^; ブレイニーはこのレース11位でした。
残り42周でリスタート、ハムリンが大外刈りでトゥルーエックスをかわしてリードを奪い返します。ボロボロの車がいたるところでバトルを繰り広げていて、ちょっと笑えてきます。
※この見た目ですが10位争いです |
残り25周、トゥルーエックスがハムリンを捕まえてインを伺います。後方でウォーレスがぶつかっているようですが、そのまま走れているのでレース続行。運営ももう面倒くさくなってきたんじゃないだろうかw
ハムリンはタイト気味ですがトラクションはそこそこかかるので、外ラインで旋回速度を保ってなんとか防御。トゥルーエックスもフェアーなので一切接触せず根気強くイン側で並走してチャンスを待ちます。
すると、周回遅れのデイビソンが現れて外ラインを走ったためハムリンは得意のラインを潰されてしまい、これでトゥルーエックスが一気に有利な情勢。ハムリンはその後も粘りましたがとうとう残り14周で完全にトゥルーエックスが前に出ます。こうなるともうハムリンに追いかける力がありません。最後はチェイス エリオットとの2位争いにも敗れ力尽きての3位という感じでした。
トゥルーエックスがそのまま優勝、これで直近のマーティンズビルは4戦3勝、レース前のオッズで一番だった下馬評通りの強さをレース後半に向けて見事に発揮しました。
まさかダートよりも荒れたレースになるとは思いませんでしたが、ドライバーによって得意な時間帯が異なる中で展開していくマーティンズビルらしいレースでした。15回のコーションは2015年秋以来の多さでした。このレースはマット ケンゼスがロガーノに自爆攻撃を仕掛けて無茶苦茶になり、ゴードンが現役最後の勝利を飾ったレースでしたね^^;
トゥルーエックスが今季2勝目を挙げたため、開幕から続いた異なる勝者の記録は7で止まりました。トゥルーエックスはポイントでもハムリンに次ぐ2位、『らしさ』が出てきました。ブレイニーにピットの失敗が無かったらどちらが勝ったかな、三つ巴でもっと面白かったんじゃないかな、というのはちょっと惜しい気がしますが、それでも面白かったですし、ピットを含め機能してこその勝利ですからね。
もう1人、今回気になったのは、一度も名前が出てきてませんがカイル ラーソンでした。ラーソンは2マイルに強く、逆にショートトラックは苦手な印象。特にマーティンズビルは過去の平均順位が22.4と彼の中で最悪の部類でしたが、今日は中団スタートから5位まで持ってきました。
どうしてもリアを酷使してしまうのが彼の弱点だったと思いますが、それをそれなりに克服してきているのであれば、デイトナのロードで速かったことに合点がいきますし、それならこの先のロード コースでもかなり面白い存在になる可能性があります。チェイスの初勝利に期待する人も当然多いでしょうが、ラーソンは複数回勝てるんじゃないかという気がしてきました。
次戦もショートトラック、リッチモンドです。
コメント
ちょっと気になったので調べてみたのですが、ロドニー チルダースによれば
「NASCARがテンプレートを変更して後輪の開口部の形状にかかる制約が大きくなったことでダウンフォースが失われた」
ということだそうです。SHRが何かしらアドバンテージを持っていた部分を削り取られてセッティングがうまく行ってないみたいです。
https://racer.com/2021/03/24/shr-slump-making-cup-series-rookie-challenge-that-much-tougher-for-briscoe/
以前にロガーノがレース後車検で違反認定を食らい、その後1年ほどダメになったことがありましたが、ちょっとそれに近い重症の可能性ありますね。