NCS 第5戦 フェニックス

NASCAR Cup Series
Instacart 500
Phoenix Raceway 1mile×312Laps(75/115/122)=312miles
competiton caution end of Lap30
winner:Martin Truex Jr.(Joe Gibbs Racing/Tracker Boats&ATVs Toyota Camry)

 NCS、第5戦はフェニックスです。思ったより早く、日本時間16日22時にアップされていた、んですが、アップ初期にはレース前のスタート コマンドとかも含まれていたのが、どうも翌朝までの間に編集でカットされたらしく、翌朝に続きを見ようとしたら再生位置が合っていませんでした^^;

 フェニックス、という名前ですがトラックがあるのはアリゾナ州のアボンデールという場所。州都フェニックスからは22マイルほど離れているので、前回のラスベガスと同じ感じです。大阪と書いてるけど奈良(ry
 9マイルほどの距離にフェニックス グッドイヤー空港というのがありますが、元軍用空港を現在は民間と併用しているもので、旅客便は就航していないので最寄りにはならないみたいですね。
 空港と言えばこの週末、リチャード チルドレス レーシングとチーム ペンスキーのスタッフも搭乗していたビクトリー エアーの航空機が、油圧の低下による故障で引き返すトラブルがあったとの情報。安全のため片方のエンジンを停止して引き返し、クルーは別の航空機でフェニックスに到着しました。
 なお、スポンサーのインスタカートは買い物代行サービス企業で、食料品などをスマートフォンで注文して配達してもらうサービスを提供している会社です。

 このレースはブラッド ケゼロウスキーとクリストファー ベルが1列目、好調ヘンドリック モータースポーツ勢はアレックス ボウマン以外の3台が車検に引っかかって後方スタートです。調子の良いチームはえてして何かしらギリギリの所に良いものを見つけていたりするので、車検で引っかかることが多い印象がありますね。

 ターン1はガッツリイン側まで使えるのが特徴のフェニックスではありますが、レースが始まるなりケゼロウスキーはピット出口の壁に向かうかのようにものすごいインを走って我々を驚かせます。
ほぼ壁に向かってケゼロウスキーが突撃、絶対インは刺せないw

 しかし3周目に早くもデニー ハムリンがこれをかわしてリード、ベルも続きます。ヘンドリック勢がとりあえず後ろにいますから、今日はジョー ギブス レーシング勢が取りたいレースです。
 しかしマーティン トゥルーエックス ジュニアはかなりタイトなようで、早々にミスって壁に軽くヒット。ピットからの情報では、最終戦を見据えて新たな方向性のセッティングに挑戦しているとのことで、先を見据えた戦いになります。いくら他で速くても、フェニックスで勝てないと絶対チャンピオンにはなれないわけですからね。

 コンペティション コーションを間近に控えた25周目、ハムリンはリードを拡大する一方で、ベルはケゼロウスキーに抜き返され、ライアン ブレイニーにも抜かれて4位へ後退。ちょっと摩耗が早いですね^^;

 コンプコーションでは全車ピット、珍しくハムリンが4つも順位を下げて、またケゼロウスキー/ベルの並びで37周目にリスタート。カイル ラーソンは後方からせっかく追い上げてきたのに、速度違反でまた振り出しに戻りました。フェニックスは過去3回の開催で計19度の速度違反が起こっており、違反しやすい傾向にあります。

 ここでは先ほどのスティントでも快調だったブレイニーが43周目にケゼロウスキーをかわしてリード。その後46周目にアレックス ボウマンがクラッシュしてコーションとなりました。ロス チャステインに詰まってしまい、失速したら後ろからオースティン ディロンに押されて回りました。

 まあまあダメージを受けた気はしましたが、ボウマンは結局このレース13位、右前を壊してテープで修復したディロンは17位でレースを終えました。ここでは中団以降の車がピットを選択、まだまだアジャストもしたいところです。

 52周目にリスタート、ブレイニーがリードを維持します。一方タイヤ交換組からはチェイス エリオットとカイル ブッシュがいち早く抜け出して上がってきました。カイルは今回珍しいスタンレーのスキームです。おかげで一瞬誰だか分からんw

 SUPER GTではスタンレー電気がスポンサーのStanley NSX-GTがいますが、こちらのスタンレーはスタンレー ブラック&デッカーという電動工具の会社で全く別です。念のため。

 ステージ終盤にはジョーイ ロガーノがブレイニーを捉え、トップ5が等間隔に並ぶ状態に至りましたが、さすがにまだステージ1なのでみんな無理はせず、そのままブレイニーがステージ1を制しました。


 ステージ間コーションで全車ピット、トップ2は入れ替わってロガーノ、ブレイニーの1列目でステージ2が始まります。トゥルーエックスは大規模アジャストのためにここで長時間のピット作業を選択したようです。

 89周目、コディー ウェアーとアンソニー アルフレードが接触、アルフレードがクラッシュしたためコーション。アルフレードは周回遅れ、ウェアーはリード ラップでしたが、それにしても結構な速度でおもいっきりぶつかりました。両者ともこれでリタイアとなります。車両回収に少し時間がかかったようで、99周目にリスタートしました。

 このランでは少しずつではあるものの、ロガーノが安定してリードを拡大。そして追い上げてきたのは、速度違反から戻ってきたラーソンでした。129周目にはとうとう2位まで浮上します。トゥルーエックスはアジャストにある程度効果が出たかトップ5圏へと戻してきました。
 外側のラインに塗られたトラクション コンパウンドもだんだんと禿げてくるので、走行ラインの選び方やそれに合わせたアジャストも不可欠なレースです。そういえばケビン ハービックの砂漠王ぶりが影を潜めだした要因の1つって、ひょっとしてトラクションコンパウンドの使用でライン取りやアジャストの概念が微妙に変わったせいもあるんでしょうかね。

 ステージ残り50周、真ん中で分けたあたりから一気にピット サイクルとなり、ここでラーソンはまたも速度違反。せっかくの2位から振り出しに戻ります(´・ω・`) カイルもアンコントロール タイヤでペナルティーを受けました。

 この日は3月14日ということで、3.14=円周率の話題が出たりしていました。何桁言えます?私は・・・3.1415926535897932384626 までですね^^;

 レースに戻りましょう。ステージ2後半はトゥルーエックスが2位となりロガーノを追い上げます。ロングランでかなり改善したようです。一方のロガーノはステージ終盤に周回遅れを抜けずに行く手を阻まれ、そのおかげでトゥルーエックスにさらに迫られはしましたが、元々大量のリードがあったためステージ2をそのまま制しました。今季初のステージ勝利です。

 ステージ間コーションではハムリンが1つ順位を上げて2位となり、残り113周、ロガーノとハムリンの1列目でファイナル ステージが始まりますが、いきなり危ない場面に出くわします。

 2列目インのトゥルーエックスがロガーノを押したらロガーノがあわやスピン。損したのはむしろトゥルーエックスで、アクセルを少し戻してしまったので一気に後続に抜かれてしまいました。ロガーノはリードを維持しますが冷や汗かいたかもしれません。いや、これぐらいじゃ気にしない性格か・・・

 220周目、トゥルーエックスはようやく2位まで挽回。ここはコーションが無い前提だと60周近いスティントになるためか各車先を見据えたような雰囲気で、そのせいかロガーノはまだトゥルーエックスのすぐ前方にいます。
 224周目、周回遅れを気にしてややラインが乱れたロガーノを立ち上がりで捕えてあっさりとトゥルーエックスがリードを奪いそのまま差を広げていきます。スタート直後のあのひどいタイトからよく立て直したものです。
 
 残り65周、バイロンが早めに最後のピットに入り、ここからピットサイクルとなります。2位のロガーノはこのころ、トゥルーエックスを追うどころか振動が出始めており、できれば早くタイヤを換えたい状況。ペースも落ちてしまい、ハムリンにかわされて3位に後退です。
 
 この後ピットサイクルを終えると2位に浮上したのはラーソン。ピット前には6.5秒差だったものを2秒差に詰めてきました。もうピットには入らないので速度違反の心配はないですねw
 一方、カイルはピット後早々にミスって壁に当たってしまい緊急ピット。さらに残り51周、タイラー レディックが壁ドンしてこれでコーションとなります。カイルはこれで緊急ピット後にコーションという最悪の展開で結局25位、レディックも29位に終わりました。今日もレコード会社の宣伝で人が貼ってありますね。


 Nate BarnesのYou Ain’t Prettyという楽曲です。この方も先週のベン ギャラハーと同じくカントリー ミュージック歌手の方みたいですね。
 
 コーションが無ければほぼ勝っていたであろうトゥルーエックスにとっては有り難くない展開。各車ピットに入りますが、トゥルーエックスのクルーはここで作業にやや手間取ってしまい、ロガーノ、ケゼロウスキーが先にピットを出ます。
 さらに、バッバ ウォーレスが唯一のステイ アウト。ウォーレスは今日ようやくそれなりのパフォーマンスを発揮し、レース後半に向けてトップ10圏内へ徐々に上げてきており、このステージ前半も良い走りを見せていましたが果たして。。。

 残り44周でリスタート、ウォーレスは順位死守を狙ったのかリスタートは内側を選びましたが、それが災いしたか7周使ったタイヤはあっさり空転。ロガーノにうっかり当たりそうになりつつ失敗リスタートになってしまい、その隙をついてケゼロウスキーがごっつぁんしました。
 クリント ボイヤーは、この状況ならトラクションをかけやすい外を選んだ方が良いと解説します。ちょうどDシェイプの頂点部分がリスタート ゾーンなので、内側から出るとステアリングをそこそこ切った状態でアクセルを踏むため、どうしても力が外に逃げやすいですね。
 
 ケゼロウスキーのリードは長くは続かず、残り39周でロガーノがケゼロウスキーをあっさりかわして勝利に大きく近づきます。トゥルーエックスは3位まですぐ戻したものの、ペンスキー2台の壁が待ち受けています。
 残り31周、コース上ではトゥルーエックスがケゼロウスキーをかわし、放送席ではラリー マクレイノルズがお馴染み、過去10戦平均で最後のコーションがいつだったかを紹介しようと思ったその最中にカイルがスピンしてコーション。ロス チャステインに押されて回りました。


 さっきのウォーレスを見たらステイアウトなんてとてもできそうにないので全車ピットへ。もうほぼ全車これで最後の新品タイヤと思われます。仮にオーバータイムになるようなことがあれば、中古の中でマシなやつを投入するしかありません。
 
 残り25周でリスタート、ロガーノは内側を選択しましたが、トゥルーエックスは2列目のケゼロウスキーから大きなプッシュを受けてリスタートを決めるとターン2でロガーノを大外刈りに成功。

 残り15周、ウォーレスがコール カスターを抜こうとしてラインを変える前に追突してクラッシュさせてしまいますがノーコーション。タイミングの問題もあるとはいえ、プロとしてはやはり押しちゃいけないですね。避けなければいけない接触です。

 レースはそのままトゥルーエックスがリード、最終的にロガーノに約1.8秒差をつけての圧勝でした。最終戦を考えても大きな勝利です。

 長年コンビを組んだクルー チーフのコール パーンが引退し、昨年からジェームス スモールと組んだトゥルーエックス。昨年は1勝にとどまり、あまりらしさが見られませんでした。
 スモールとしても、結果が出ないままでは、相手はチャンピオン獲得ドライバーなのでどうしても信頼関係の維持は大変になると思うので、今回シーズン序盤での勝利、しかも当初外れかけていたセットを大胆に触ってぴたりと合わせて勝利を手にできたというのは大きな財産だと思います。最終戦に向けての自信とデータも得ました。
 最後のピット、ショート ランではロガーノに分があるので、ここで戦えるようにおそらく内圧を少しアジャストしたと思いますが、これも見事に決まっていたと思います。2割ぐらいは押してくれたケゼロウスキーのおかげですがw

 昨年の最終戦のフェニックスで勝ってチャンピオンを手にしたチェイスは今日はロングランでやや弱く5位、ハービックは今週も影が薄いまま6位、ピットに泣いたラーソンは7位でした。
 序盤はそれなりだったマット ディベネデトーはファイナルステージで一時20位あたりまで後退していましたが、最後のリスタート後はけっこうアグレッシブで何とか14位、ステイアウトが裏目に出て順位を下げたウォーレスは16位でした。

 レース後の車検ではいつもながらナットの違反が数件ありましたが、ケゼロウスキーとウォーレスは複数のナットが無かったため、1段階処分の重い『2万ドルの罰金+クルーチーフ1戦出場停止』となり、次戦は代役クルーチーフとなります。なお、ウォーレスはこの後水曜日にリッチモンドでのNextGen Carのテストに参加しました。

 改めて振り返ると、そんなに盛り上がった場面があったわけでもないですが、最終戦のための予習と考えて、11月を楽しみに待っておくことにします。
 次戦は1.5マイルのアトランタ、そしてその翌週がいよいよブリストルのダートです。続々とドライバーが別カテゴリーのダート戦への出場を決定し、下位チームはスポットのドライバーを起用するということで、かなり忙しい日々が始まりそうです。

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