NASCAR Cup Series
Pennzoil 400 Presented by Jiffy LubeLas Vegas Motor Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
competiton caution end of Lap25
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/Hendrickcars.com Chevrolet Camaro ZL1 1LE)
NASCAR Cup Series、第4戦はラスベガス。日テレG+の放送があれば恒例の話題なので書いておきましょう。ラスベガスとは名乗ってますが、一般的にイメージされるあのラスベガスとは遠く離れていて、周りには特に何もありません。
と言っても、LMSの名誉のために付け加えておくと、有名なラスベガスの中心地、ラスベガス ストリップから見て北東に約30kmぐらいの場所にあるので、大阪と書いていて奈良にあるぐらいの感じですからそんなに遠k、、、あれ、遠い気がして来たぞw
ラスベガスは路面が比較的スムーズでバンク角の高い高速1.5マイル。シリーズはここまで、デイトナ500でマイケル マクダウル、デイトナ ロード コースでクリストファー ベルと初優勝を続けて生み出し、前戦では4年目のウイリアム バイロンがキャリア2勝目。想定外の勝者が続く混戦です。
もちろん予選は無く、指数によってスタート順位は決定。ケビン ハービックとウイリアム バイロンを1列目にしてスタート。出足でハービックが前に出ましたが、外ラインからバイロンが伸びてまずは頭一つ抜け出します。
波乱の開幕3戦の影響を受けて決まっているスタート順位なので当然ながら純粋な速さとかなり乖離して並んでおり、スタートから順位が大きく変動。バイロンにチェイス エリオット、カイル ラーソンと今週もヘンドリックの3台がいきなりトップ3を形成、20周目にチェイスがリーダーとなります。先週の当方の記事に対して、ChaseFun9さんが「今年はヘンドリック4人勝ちますよ!!」と力強いコメントをいただきましたが、まさに力強い走りです。
一方ハービックはとにかくタイトなようであっという間に10位近辺へ後退。最高速重視のセッティングにしてしまったので、曇ってて低い路面温度と乱気流も相まってタイトがひどくなり悪循環ではないか、と解説のジェフ ゴードン。狙いが外れたでしょうか。この後チェイスがリーダーで25周目を終えてコンペティション コーションとなりました。
チェイスはピットでお隣さんのアンソニー アルフレードが邪魔になってしまって一度後退を余儀なくされ、ピット内で順位を下げてしまいます。これでラーソンとデニー ハムリンの1列目で31周目にリスタートとなりました。
リスタートからハムリンがリードしていましたが、43周目にラーソンがこれをかわし、その後ほどなくデブリーによるコーション。ハービックは20位以下まで落ちているので何かと思ったら、さっきのリスタート時に接触がありました。コーション中にタイヤが完全にパンク、もしグリーンのままなら緊急ピットは確実だったので恵みのコーションでした。
リーダーのラーソンら5台がステイ アウトを選択し52周目にリスタート。同じくステイアウト組のジョーイ ロガーノ、ブラッド ケゼロウスキーと数周にわたって3ワイドで争い続けるというプロらしい素晴らしい争いを展開したのちロガーノが抜け出します。
一方ピット組ではチェイスがこれに続き2位へ浮上、ピットを先頭で出たハムリンは最初の混戦で順位を下げてしまい10位あたりを走行。
62周目にチェイスがロガーノをかわしリーダーに。しかしながら、ピット組とステイアウト組の明確な差はここに来ると無くなってきており、15周程度の履歴差なら、リスタートから数周耐えればそこまでの不利益ではなくなるようです。前に出られるならタイヤよりクリーン エアーを選ぶのは今日はどうやら『アリ』なようです。
逃げるはずのチェイスでしたが、ターンで1回ズルっと滑ったらケゼロウスキーに捕まってしまい、抜きつ抜かれつの争い。3位にはライアン ブレイニーも来ています。
ブレイニーは前のランで振動が出ておりコーションに救われていましたが、車はかなり調子が良いようでロング ランに自信があるようです。マット ディベネデトーも安定してトップ10圏内とペンスキーは好調な様子。そして、ステージ勝利争いも制したのはペンスキー、ケゼロウスキーが残り2周でチェイスを置き去りにしました。レースはここまでで既に12回のリード チェンジとすごい勢いで入れ替わりがおきています。
ステージ間コーションではハムリンがお馴染み超速ピットで3台抜きして先頭へ。一方チェイスは序盤に傷めていた右側の車体を修復することにしてここは一旦後退します。外板が少しめくれあがっているので、ここから床下の空気が逃げてしまい、ダウンフォースがやや落ちていると思われます。
何のひねりもなく、本当にとにかく土を持ってきては固めるだけの土木工事ですw
ハムリンとケゼロウスキーの1列目でステージ2スタート。ケゼロウスキーは外ラインが合っているようで、外からわりとあっさりハムリンをかわしてしまいます。ブレイニーが続いてペンスキーの1-2。
107周目、そのケゼロウスキーをラーソンがかわします。この直前に解説のラリー マクレイノルズ
「リスタートしてから20周ほど経ちましたが、ケゼロウスキーは一度もアクセルを戻していません」
車が決まっていてダウンフォースもやや多めの方向性、クリーエアーで走ると、全開で走れてしまうようです。ただ、そうすると疑似直線レースに近くなり、先頭の人は自力でそれ以上どうやっても速く走れないので、調子の良い車同士だとドラフトを得た方が速いので、そりゃあリードチェンジ回数も増えるはずです。ハンドリングが悪くて踏めなくなったら致命傷ですね。
122周目あたりからピット サイクルとなります。今回はタイヤの劣化がそこまでひどくないので、コーション待ちで引っ張る賭けというのもあります。タイラー レディックがその一人、ってあれ、なんかフードに人が貼ってあるな…w
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ギャラハーのTwitterアカウントより https://twitter.com/ben_gallaher/status/1368669177402294277 |
で、こっちはお馴染みのコリー ラジョーイ
コーション待ち作戦には、多少なりともテレビに映してもらえる、という期待もできるのでスポンサーのことを考えても下位チームには一考の価値がある作戦です。
コーションが出ることなくサイクルは一巡し、リーダーはラーソン。2位のケゼロウスキーに約5秒差の圧倒的リードです。そのまま何も起こらず、ステージ2を制しました。レディックはコーション待ちに賭けつつもフリー パス位置でステージを終えるという仕事をこなし、このコーションでラップ バックしてリード ラップにとどまります。あれ、観客席にすごい人が・・・!w
ファイナル ステージ、ラーソンとハムリンの1列目で残り100周のレースとなりますが、170周目に11位あたりにいたチェイスが単独スピン。軽くカート ブッシュに接触しましたが、幸いにも後続車両はうまく回避、チェイス自身も綺麗に一回転してどこにもぶつからずリード ラップを維持します。チェイスは結局13位でした。
179周目、エリック アルミローラがターン1でクラッシュ。その前のターン4で既に異変を感じて減速していましたが、それでも安全マージンを見誤ったか、進入速度が早すぎてターンを曲がれずバリアに突っ込みました。スチュワート-ハース レーシングはどうもこのレース不調で、なんと全員20位以下でレースを終えました。
ここでレースが動きます。ハムリン、トゥルーエックスのトップ2がステイアウトした背後で3位のラーソンがピットへ転進。作戦が分かれます。
残り83周、15台ほどステイアウトしてハムリンとトゥルーエックスの1列目でリスタート。ラーソンは16位からの追い上げですが、さっきの状態を考えると、さっさと前に出ていないとダーティー エアーの不利益を被ってる間に新品タイヤのおいしいところが終わってしまいます。
リスタートでは一旦トゥルーエックスがリードを奪いますが、単独では逃げられずハムリンらと争い続けます。その間にラーソンが早めに追い上げてきてこの争いに参加すると、200周目にはハムリンとラーソンがやや後続を離してのトップ2となりました。ラーソンからすれば狙い通りの展開です。
205周目、ラーソンがハムリンをかわしてリード。ハムリンは対抗することができません。ラーソンは新しいタイヤでかつクリーンエアーと逃げる体制が整いました。この後2位にはケゼロウスキーが浮上、こちらも先ほどピットに入った車です。
残り50周を切ったあたりからピットサイクルとなり、ピットを終えるとケゼロウスキーがラーソンとの差を詰めてドラフトが効く距離まで接近しました。ラーソンはひょっとしたら、周回遅れがインにいたせいで入りたい周にピットに入れず、1周タイミングが遅れたかもしれません。
当面ケゼロウスキーはラーソンに対して攻撃を仕掛けるものと思いましたが、ラーソンはケゼロウスキーをすぐに置き去りにしてしまいます。今日のレース展開的に、とりわけタイヤで無理ができるスティント序盤に単騎で逃げるのは簡単では無いと思ったのでこれは驚き、ドラフトを使ってもケゼロウスキーはラーソンに全くついて行けませんでした。
残り17周、ここでハービックがなんと周回遅れに。特にトラブルらしいものも無いのにただ遅い、というハービックらしからぬレースです。なにせマイケル マクダウルよりも後ろを走っており、ハービックは結局20位、マクダウルは17位でした。
マクダウルの方はレース前、クルー チーフのドリュー ブリッケンズダーファーが「ここからは現実的な立ち位置に戻らないといけない。トップ15を目標に戦う」と話していたそうで、本来のチーム力から考えて大成功と言える15位を目標にしていましたから、大きな問題なく17位というのは上出来だと思います。というかSHR何してるんだ・・・
さらに残り16周ではアレックス ボウマンがターン3でタイヤのトラブルに見舞われたようで、ふらふらしつつも緊急ピット、しようとしたところ、ふらついてインが空いてしまい、その空いた白線とボウマンの1台分の隙間をアルフレードが通過する、という肝を冷やす場面がありました。車載映像見たらめっちゃ怖かったです・・・
ここ2回のラスベガスのレースではいずれも最後の10周以内に最後のコーションが出ている、というデータもありましたが、結局レースは何も起きず、ラーソンはケゼロウスキーを3秒以上引き離して、1.5マイルでは自身初、2019年ドーバー以来の通算7勝目を挙げました。
NASCAR公式サイトにラップ タイムの一覧があるのですが、それを見ると、ラーソンは225周目にピットを終えると、30.4~30.8秒のペースで安定。ケゼロウスキーが概ね30.6秒~30.9秒でスティントを開始し、31秒にかかり始めたのと比べると圧巻のペースだったことが分かります。
ケゼロウスキーがダウンフォース多めのセットだったのはなんとなく想像がつきますが、ラーソンがもし同じ方向のセッティングなら、ケゼロウスキーがドラフトに入ったらもっと追われていても不思議ではありません。
単独で速く、かつ劣化が少なかったこと、16位リスタートからでも前に出られたことを考えると、抵抗自体はそこまで大きくなく、ハンドリング面で非常に優れたセッティングが出ていたように思います。
クルー チーフは昨年ジミー ジョンソンと組んでいたクリフ ダニエルズ。ジョンソンは勝てはしませんでしたが、7度のチャンピオンと組んで得た経験が今年に活かされているのだとしたら、双方にとって今年は大きな収穫です。
昨年は4戦を終えたところでパンデミックによるシーズン中断、そして中断期間にeレースのイベント中の差別的発言で職を失い、突如奈落の底に落ちたラーソンですが、今年は4戦目で優勝。ラーソンのキャリア第2幕は驚くほど順調な滑り出しと言えます。デイトナロードで自爆したときは、あれを1年間後悔するんじゃないか、と正直思いましたが、全く心配いりませんでした。
ラーソンはあの一件でドライバーとしては大口のスポンサーを軒並み失った状態。かたやヘンドリックもこの車、元No.88は昨年限りで大口スポンサーの契約が切れたので安定したスポンサー企業は無く、今回もスポンサーはチームの関連会社なので実質ヘンドリックの自腹状態です。しかし今回の勝利、ここ3週間の高い競争力は、今後のチームに恩恵をもたらすかもしれません。
そもそも、ヘンドリックってどうも4台走らせると1台はうまく行かないことが多いので、4台とも開幕から比較的競争力がある、というのもまた大きな注目点だと思います。
ラーソンの速さに対抗はできませんでしたが、ジョー ギブス レーシングもカイル ブッシュが3位、ハムリンが4位、トゥルーエックスが6位、ベル7位と4台全員トップ10フィニッシュ。カイルは序盤は全く姿が見えずに苦戦していましたが、終盤にずいぶんとロング ランで順位を上げてチーム内最上位でした。決して調子が悪いわけではないんですが、爆発的速さがまだ見えないですね。
一方、ハムリンが共同オーナーでもある23Xlレーシング・バッバ ウォーレスはパワーステアリングにトラブルが出たそうで、満足に走れず28位。トラブルが多いようですし、車のセッティングも今一つに見えて、現状は昨年までのリバイン ファミリー レーシングと比べても苦労している印象です。
これで開幕から4戦で4人の勝者となり、しかも意外な人が勝っているためにプレイオフの枠はこれからかなり激しい争いになることが予想されます。次戦はフェニックス、ここまで影が薄すぎるハービック、ここらで目立つことができるでしょうか。
コメント
レギュラーシーズンでポイント対象で17人目の勝者が出た場合はプレーオフの選出はどのように決まるんだろうとふと思います。ZURAさん教えてください!
勝者が16を超えた場合、1勝のドライバーの中でポイント順にプレイオフに進出します。
ただし、レギュラーシーズンチャンピオンには自動的にプレイオフスポットが割り当てられるため、
レギュラーシーズンチャンピオンが未勝利のドライバーだった場合、勝利したドライバーからは15枠になります。
Let's Go Kyle Miyata Larson!!
「勝つことは分かってた」ってのがいいですね~。
私は正直なところ、対カートでの成績からラーソンの実力にやや疑問を感じ始めていたので、「あ、やっぱり速いんだ」と思いました。
逆から言えば、カートってやっぱり今でもそうとう速いんだなと思います。