NASCAR Cup Series
Dixiie Vodka 400
Homestead-Miami Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
competition caution end of Lap25
winner:William Byron(Hendrick Motorsports/Axalta Chevrolet Camaro ZL1 1LE)
NASCAR Cup Series、第3戦はホームステッド。1999年の初開催以来11月開催、2002年以降は最終戦の舞台でしたが、昨年その任をフェニックスに譲って春の開催へ移動しました。ところがCOVID-19のパンデミックによって延期されて実際の開催は6月になったので、2月のホームステッドは初です。
今季初の1.5マイルですが、一般的なオーバルが、バックストレッチが真っすぐ、フロントストレッチは緩やかに曲がるDシェイプなのに対し、こちらは長い2本の直線をターンで繋ぐペーパークリップと呼ばれる形状。ペーパークリップは紙をまとめたりするあのクリップのことで、形状が似ているのでそう呼ばれます。
Dシェイプと比べると、ターンの旋回半径が小さくなり直線は長くなるので、ターンと直線との速度差が大きくなって加減速も多くなります。さらに、ここはターンの外側の方がバンク角が高いバリアブルなので、ライン取りをどうするかもまた悩みどころ。インから抜くと一瞬抜けそうな気がしますが、旋回速度が大きく落ちるので出口からの加速で追いつかれて抜きつ抜かれつになります。
本来PPはデニー ハムリンでしたが、車検後のアジャストによって後方スタートとなり、ジョーイ ロガーノとクリストファー ベルの1列目でスタート。外側ラインが有利で、ロガーノがリードする一方、ベルはいきなり6位あたりまで後退しました。
序盤クリーン エアーで快適だったロガーノですが、ロング ランでやや失速するいつぞやの最終戦で見たようなパターンで、12周目にブラッド ケゼロウスキーがリードを奪います。そして勢いよく追い上げてくるのはホームステッド大好き・カイル ラーソン。コンペティション コーションまでに4位へ上げてきます。
コンプコーションで全車ピット、ケゼロウスキーはリードを維持しますが、ラーソンは9位に後退(-_-) ラーソンってホームステッドで速いのに、ピットとスティント序盤で損をして、スティントが終わるころに追いついてまたコーションで下げてるイメージありますね^^;
31周目にリスタート、ケゼロウスキーが引き続きリーダーですが、まだまだ誰が速いのかは見通せません。ターン1側は日なた、ターン3側は日陰となっており、ハンドリングが大きく異なるためにアジャストや走らせ方が難しいと思われます。
そんな中、2位に浮上してきたのは意外にもクリス ブッシャー。デイトナ500のコメント欄で「ふなっしーががんばらないと」的なことを書いたせいではないと思いますが、48周目あたりからケゼロウスキーをつつきまわし、53周目にとうとうケゼロウスキーをかわします。
64周目、ジェームス デイビソンの車両から出火し、オイルが撒かれたためて2度目のコーションとなります。オイル処理に時間を要したので少し長引きました。
さてここでちょっと脱線。ロング ランでのペースを決める要素の1つにスプリッターの高さがあります。スプリッターは車両前部のちょろっと飛び出た部分、フロント スポイラーなどとも呼ばれる部分です。
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| 黒く塗った部分がスプリッターと呼ばれる箇所 |
みんな基本的に同じ道具を使い、独自に空力部品を追加できるわけでもないNASCAR。多くのダウンフォースを生み出すには、スプリッターをできるだけ路面に近づけ、車体下部を流れる空気の流速を上面の流速より上げて車体下面を負圧にしてダウンフォースを得る、いわゆるグランドエフェクト効果をいかに利用してダウンフォースを得るかがライバルとの差になります。
逆から言えば空力性能面での差異はそれぐらいしか出しようがないので、ここがレースにおいて非常に重要な意味を持ち、旋回速度が大事なホームステッドのようなトラックでは特に重要です。
レース車両は新品タイヤに交換時、タイヤ内圧が低い状態で始まり、そこから内圧が上がっていき、それに従って車高が上がっていくことになります。
ですから、内圧を下げすぎたり、静止状態での車高が低すぎると、リスタート直後にスプリッターが地面に当たってしまい、ダウンフォースが不安定になったり抜けたりします。かといって、上げすぎれば当然内圧が上がった時にスプリッターと地面が離れすぎてダウンフォースが出ません。
さらに、ターンでの旋回時の実際の車高というのは、減速して車に前荷重をかけた体制、ダウンフォースがかかって旋回し、タイヤが変形してサスペンションが縮んだ状態です。タイヤ性能が劣化して旋回速度が落ちると姿勢も変わります。
ということは、ペースが落ちると荷重が減るので車高が上がり、そうするとダウンフォースが減る悪循環になるため、ロングランで速くするには、ある程度ペースが落ちてきた時にダウンフォースが得られるようなセッティングである必要が出てきます。でもそれをやると基本的にリスタート直後は遅くなります。
ホームステッドはダウンフォースが重要な上に、バンク角がバリアブルなので、細かく言えば、ターンのどのバンク角に対してスプリッターがびっちりと路面に這うかも影響してきます。しかも、段々日が暮れて最後は日没後のレースなので、気温・路面温度も変化。グリップのバランスもタイヤの発熱も、空気密度も変わります。
全てを網羅して全域で速いことは不可能ですが、どこを重視し、どこを妥協し、その手持ちの武器に対して今何が必要なのかを的確に把握しないとレースには勝てません。
このレースが一筋縄ではいかず、ショートとロング、レースの前半と後半で勢力図が入れ替わりやすい大きな要因の1つです。F1ではそうそうこんなことは起こりませんしSUPER GTでもなかなか無いでしょう。こういうのを知るととても面白く見られます。
レースに戻りましょう。73周目、ステージ残り8周でリスタート。ケゼロウスキーがブッシャーをかわしてリードを奪います。ショートの速いケゼロウスキーがリスタート直後は強いと思われます。
ステージは残り僅かなのでこのままケゼロウスキーのものだと思いましたが、ブッシャーはすぐにケゼロウスキーを捉えてステージ残り3周というところで簡単に抜き返しそのままステージ勝利。思った以上にショートでも速い車でした。ただ、今の条件に合いすぎる車は後半合わないケースが結構あるので注意が必要です。
マーティン トゥルーエックス ジュニア、ウイリアム バイロン、アレックス ボウマンが続きます。ヘンドリックがみんな調子が良くて、かつロングでも速そうですが、ラーソンは2回目のピットでも順位を2つ下げててなかなか上がれません。この後のピットでもラーソンはやはり2つ下げ、先に言ってしまうとその次のアンダー グリーンのピットでも遅くて順位を失います^^;
せっかくのキャリア2度目のステージ勝利、珍しいので、謎のアメコミ風ブッシャーのイラストを記録しておきましょう。
たぶん立ち絵はこういう時しか出て来ないので貴重です。頻繁に見れるようになったら一流ですね。ラウシュ フェンウェイのクルーはここまでミスなくブッシャーを送り出し、ステージ2はブッシャーを先頭に始まります。ブッシャーはイン側でのリスタートを選択しケゼロウスキーを抑えます。
ブッシャーは一旦チェイス エリオットにかわされたもののすぐ抜き返し、速さが本物であるところを見せつけます。チェイスはどちらかというとショートで速い車だったようで、この後じわじわ下がっていきました。
好調のヘンドリック勢をもロングで引き離すブッシャーに対し、唯一ロングで追い上げてきたのはトゥルーエックスでした。ステージ折り返しとなる120周目にはとうとう攻撃を開始するに至り、この段階ではトゥルーエックスの方に速さがあります。
ちょうどこのあたりから各車アンダー グリーンでのピット サイクルとなります。121周目にトゥルーエックスは外からブッシャーをかわしますが、ここでピットに呼ばれて、抜いたばかりのブッシャーの目の前を横切って先にピットへ。ブッシャーも翌周に入りました。これでトゥルーエックスはブッシャーに約2.5秒のリードを奪いました。
ピット後、ブッシャーは差を1.5秒まで詰めたもののここから膠着状態。40周の長いランの最後の数周がどうなるのかが気になりましたが、その前に154周目、コリー ラジョーイのトラブルによりオイルが出てコーションとなりました。ちょうどFOXがCrank it upをやっている最中だったので、解説のクリント ボイヤーが残念がってましたw
全車ピットに入り、トゥルーエックスは先頭でピットを脱出、ここに1番ピットのハムリンが超速作業で2位で続きますが、ブッシャーは5位へ後退。ステージ残り1周のシュートアウトとなります。
トゥルーエックスとハムリンが争い、ターン4でインのハムリンがせり上がってトゥルーエックスをけん制しつつ立ち上がっていきますが、2台で外へせり上がってペースが落ち、がら空きのイン側にウイリアム バイロンがするすると滑り込んで最初にグリーン/ホワイト チェッカーを受けました。バイロンが2列目リスタートから棚ぼたのステージ2勝利です。
新しいタイヤで1周レースしただけですが、ステージ4位に終わったトゥルーエックスは思い切ってピット。リードを失った上に、その原因がチームメイトの厳しい攻めだったのでやや苛立ちが募ります。
日も暮れる中、バイロンとハムリンの1列目でファイナル ステージ開始。ブッシャーは5位でしたが5ワイドの争いに入り込んで失速し大きく順位をさげてしまいます。
バイロンは手にしたリードを堅持、2位をハムリンとラーソンが争い、4位にトゥルーエックス、え、トゥルーエックス!?あなた17位からリスタートしてましたよね^^; この後190周目にはもう2位まで戻します。
日没で路面温度が下がって路面もかなり変化していると思われ、マイケル マクダウルがなんとトップ10圏内に上げてくる一方で、リスタートで転げ落ちたブッシャーは転げ落ちたまま20位以下にまで後退して順位が上がらないなっしー!クリーン エアーを失ったせいもあって苦戦します。
CM中の199周目、滅多に何も起きない車載映像で珍しく何かが起きました。ターン4出口でエリック アルミローラがライアン ブレイニーと接触。アルミローラがちょっと攻めすぎて外へせり上がってしまい、ブレイニーを壁に挟んでしまいました。これによりデブリーが出てコーションとなります。
コーション中のピットでは、ここまで失敗続きのラーソン陣営が奮起したか、会心の作業で先頭を奪い、ラーソンとトゥルーエックスの1列目で残り60周でリスタート。ラーソンは内側を選択しますが、ちょっと出足で空転して出遅れたせいもあり、トゥルーエックスにかわされます。
しかし、ここでもバイロンが出足の良さを発揮、2台ともかわしてリードを奪いました。問題は、このままグリーンで行くのかどうか。60周は燃料的には行けそうですが、タイヤをどうにかしないとたぶんもちません。トゥルーエックスですら、トップ快走だったステージ2で10周あたり0.8秒もタイムが落ちています。
とても雑な単純計算ですが、航続距離の1/6の距離で2%ぐらい落ちているということですから、例えば鈴鹿サーキットのGT500で言えば、7周で2秒落ちてるようなものです。NASCARはタイヤ消耗倍率15倍ぐらいのレースですね。いや、ホント映像で見ててもリスタート直後と15周後で目に見えてペースが違いますから。
残り40周、4位だったカート ブッシュがルース ウィールで緊急ピット。その前から振動を訴えていて、それでも順位を上げていましたが、どんどん悪化するのでどうしようもありませんでした。トラック上はバイロンがリード、ラーソン、トゥルーエックスが追います。
残り25周、トゥルーエックスがラーソンに追いついて攻撃を開始しますが、いかんせん単独でのペースがほぼ同じ車なのでそうそう抜けません。バイロンは4.5秒前方です。
2位争いは膠着状態となり、バイロンはリードを5秒にまで拡大。そしてその後方では、タイラー レディックがトラック上最速で4位まで追い上げます。レディックは日没後に大外ラインが機能して、ラーソンのお株を奪うミニ四駆走法を披露します。新たな名物ドライバー誕生でしょうか。
レディックは2位争いの2台を捉えると、圧倒的な外ラインでの速さを武器に勢いよく攻めて、ちょっとミスしたけど2位を強奪しました。抜かれたトゥルーエックスが「これが若さか・・・」とか呟いていても決して不思議ではない光景でした。
しかし最初にチェッカーを受けたのはバイロン。壁から遠く離れた安全運転でホームステッドを制し、新クルー チーフのルディー フューグルとともに、自身通算2勝目を挙げました。
バイロンはレディックとは対照的にイン側で非常に速く走る車でした。道具は全く同じものを使っていて、同じコースを走るのに最速ラインが異なる、というのはオーバルでしかまずお目にかかれない出来事で、これこそがこのレースの奥深さ、面白さです。そういったあたりが少しでも伝わって、見る人が増えてくれればと思いつつブログを書いてはや何年でしょうかw
終盤のコンディションに対してきちんと合う車を仕上げてきて、リスタートでまずクリーンエアーを得て主導権を握ってからあとはうまく走り切る、という思い描いてもそううまくは達成できない走りをやり切ったことで、バイロンもフューグルも自信になりそうです。
レディックの走りもすごかったですし見ていて面白かったです。思い返せば去年のホームステッドで、1周勘違いしてまだもう1周あるのにアクセルを緩めて無線で感謝の言葉を述べ始め、大人にすごい怒られていましたね。1年でものすごい成長です。
チームメイトのオースティン ディロンも12位、そして提携チームであるトラックハウスのダニエル スアレスが15位と、RCRは好結果でした。特に新チームのトラックハウスの15位は称賛に価すると思います。
カートは緊急ピットしましたが、60周を1ストップで走る作戦も悪くはなくて結局8位。ピットに入るとロスが40秒ほどありますが、コース上で1秒以上速いのである程度取り返すことができました。普通に走ってたカイル ブッシュが10位だったことを考えれば上出来です。というかカイル、どうした。
マクダウルはなんと終盤に抜群の走りを見せて6位で3戦連続トップ10フィニッシュ。デイトナ500で自信を持ったのか、実はそもそも今年はチームも本人も絶好調で、デイトナは偶然ではなく必然だったのか。いずれにしてもこういう中堅チームの活躍は嬉しい限りです。今年、開幕から3戦連続トップ10は彼とケビン ハービックだけ。ハービックは今回5位でしたが3戦とも異様に存在感がありませんw
ブッシャーは残念ながら19位、ロガーノはさらに残念な25位、我らがマット ディベネデトーはもはや本文中で触れる場面すらない28位でした。3戦連続で勝者が変わってプレイオフ枠が早くも3つ埋まったわけで、Matt Dさん、序盤から結構危うい立場になってきたかも。。。次戦はラスベガスです







コメント
順位テロップのOFFとOUTの違いがイマイチ分かりません><先生教えてくださいませませ
力強いお言葉いただきました!実際ラーソンが既にそこそこ戦えていることからしても、全員勝つ可能性はじゅうぶんありそうですね~。
というかラーソンもし勝てなかったら「デイトナロードでのあの自滅が・・・」って延々言われかねないので、勝つしか無い感じがします。
今年もあっという間でしたねえ、また来年のデイトナ500でお会いしましょうw
表示のOFFとOUTはいずれもガレージに車両が移動されていますが、
OUTが復帰不能で完全にリタイア、
OFFは修復して再出走する見込みがある場合です。
現在の規則では、ダメージビークルポリシーによってクラッシュによる車両修復はピット上でしか行うことができないため、ガレージ行き=OUT。
OFF表示は機械的な車両故障で修復している場合のみですね。