F1 第1戦 バーレーン

Formula 1 Gulf Air Bahrain Grand Prix 2021
Bahrain International Circuit
5.412km×57Laps=308.238km
winner:Lewis Hamilton(Mercedes-AMG Petronas F1 Team/Mercedes-AMG F1 W12 E Performance) 

 2021年のF1が始まりました。今年もフジテレビNEXTですが、電子番組表などの表記がF1ではなくFORMULA 1になっていて、番組のお知らせなどはFORMULA 1™となっているのはより厳格に表記しないといけなくなったせいでしょうか。完全にどうでも良いんですが、私、気になります!
 フジテレビのF1中継35周年、日本人ドライバーも登場、ホンダ最終年、と色々絡んでいるからか、申し訳程度にテーマ曲にTRUTHが復活しています。でもやっぱりテンション上がりますw

 開幕戦は本来はオーストラリアでしたが11月に延期、第2戦だったバーレーンが開幕戦となりました。NASCAR以外はオフに積極的に情報を仕入れないという謎の行動をする私ですが、今季のF1について最初にザックリまとめておくと、シリーズは23戦の予定。
 チーム体制では、ルノーはアルピーヌ、レーシング ポイントはアストンマーティンと名称を変更しました。マクラーレンがルノーからメルセデスへとパワー ユニットを変更しています。
 ホンダは今季限りで撤退しますが、今季終了後にそのままレッドブルに引き渡すことになり、とりあえず来年以降はレッドブルがこのPUを継続使用することになります。2022年から、次世代PU導入までの3年間は開発凍結となるので、他メーカーも今年は非常に重要です。
 ドライバーではカルロス サインツがマクラーレン→フェラーリ、ダニエル リキャードがルノー→マクラーレン、セルヒオ ペレスがレーシングポイント→レッド ブルと移籍。フェルナンド アロンソが古巣であるアルピーヌでF1に復帰。ハースはニキータ マゼピンとミック シューマッハーの新人コンビ、そしてアルファタウリには角田 祐毅が加入しました。
 なお余談ですが、マゼピンはロシア人選手ながら、ロシアがドーピングを巡って国際的に処分を受けている状態であるため、いわゆる中立国の立場の個人という扱いになり、登録上は『ロシア』ではなく『ロシア自動車連盟』の出身となっています。

 車両規則は本来なら今年から新規定になるはずだったものを1年先送りしたので、基本は昨年の延長線上。ただし、ダウンフォース削減のためにフロアを一部切り取るような改定がされたので、チームはそれに合わせた対応が必要となります。
 車体のアップデートはトークン制で限られているため、どこを変えたのかがシーズンに影響してくると予想されています。ピレリの供給するタイヤも新しい仕様となりました。ざっとこんなところでしょうか。


 予選、Q1でいきなりマゼピンが2回もスピンしてしまいションボリな中、角田が2位になります。1回だけのアタックで、いきなり先輩のピエール ガスリーを上回るタイムを記録し驚かせてくれました。実際これはかなりのものだと思います。
 今回タイヤの劣化がひどいので、できればソフトではスタートしたくないため、Q2はメルセデス、レッドブル、アルファタウリがミディアムで挑戦。結果、1回目のアタックでうっかりはみ出してタイムを抹消された影響もあってペレスが11位で脱落、昨年のアレクサンダー アルボンと同じパターンにハマりました^^;
 そして角田もまとまらず13位で敗退。ソフトからの落ち幅が大きかったですが、おそらくグリップ力の差に合わせるのは簡単ではなく、タイヤをうまく使うための熱の入れ方も難しかったと思います。
 最後までタイヤをもたせるには、アタック開始時点では100%の状態にはなっていないでしょうし、ダウンフォースがあまり強くない車で、結構なレーキ角がついた車ですから、ソフトと比べてリアの安定性にまだ自信が持てなかったのでは?と勝手に想像しています。

 そして、Q3ではマックス フェルスタッペンがルイス ハミルトンに0.4秒近い大差をつけてPP獲得。コーナーが多いセクター2で圧倒しただけでなく、パワーが重要なセクター1と3でもメルセデスを上回っていました。ホンダは、本来なら2022年に投入するつもりで用意していたPUを、撤退を受けて出し惜しみしないために"前倒し"して投入していますが、出力はかなり出ているようです。
 シャルル ルクレールが4位、サインツも8位とフェラーリも今季はやや復調気配。Q1、Q2では両者がほぼ同タイムを記録して、サインツも最初からやってくれそうな雰囲気です。アロンソはオフのトレーニングで負傷する大事件がありましたが、それでも9位と結果で周りを黙らせるのは相変わらず。



 決勝、前日までより大きく気温が下がり、天候変化情報が発令されます。これが出るとブレーキ ダクトの冷却設定など、いくつかの車両の仕様に手を加えることが可能になります。タイヤの劣化状況も前日までとはやや異なったものになるかもしれません。
 いよいよスタート、と思ったら、なんとフォーメーション周回中にペレスが最終コーナー手前で停止。スタートは延期されてもう一度フォーメーション周回となります。周回数は1周減って56周へ、ペレスは再起動はできたためピットからスタート。
 昨年の恐ろしい大火災事故が嫌でも思い出されるスタートの場面、上位は比較的綺麗なスタートでしたが、後方でマゼピンが単独スピンしてクラッシュしいきなり開始半周でSC導入となります。ソフトでスタートしていたルクレールはバルテリ ボッタスを抜いて3位に浮上、メルセデスの間に割って入ります。逆にこれはフェルスタッペンにとってありがたいかもしれません。


 4周目にリスタート、SCの退出が遅いので、最終コーナー手前で不意打ちで加速する手法は使えないため、フェルスタッペンはストレートの真ん中まで加速を待ったのでNASCARみたいなリスタート。リードを守りますが、どうも車に不具合を感じている模様。デフの具合が気になるみたいですね。
 リスタート後はシューマッハーがターン4でスピン。ハースはとても取り扱いが難しそうです。そしてガスリーは接触でウイングを落っことして緊急ピット、最後尾へ落ち、角田も混戦で順位を下げていってしまいます。アルファタウリには厳しい展開、一瞬VSCが出ましたがすぐ解除されました。

 6周目にボッタスは3位を奪還しますがやや前の2台からは置いてけぼり。フェルスタッペンとハミルトンは1.7秒前後の差で争います。ルクレールはタイヤがちょっと苦しそうです。
 11周目にアロンソがピットに入ると、4位争いをしていた集団がここから一斉にピットへ。さらにミディアムでスタートしていたハミルトンも13周を終えてピットに入ります。メルセデスはハードを2セット持っているのに対しレッドブルは1セット。ここで反応するとこの先のタイヤ戦略に制約が大きくなるので、戦略上先に動けるのはメルセデスとなります。

 ハミルトンは猛プッシュ、フェルスタッペンはハミルトンの動きをとりあえず無視してコースにとどまります。ボッタスも16周を終えてピットへ。これを受けて17周目にフェルスタッペンもピットに入りました。フェルスタッペンはミディアムを選択し、2ストップが確定します。
 これでハミルトンがリーダー、フェルスタッペンは2位。最後尾から実質まだピットに入っていないペレスが3位でしたが、さすがにボッタスに抜かれます。メルセデスも2ストップだとは思いますが、タイヤ使用義務は終えているのでちょっと気にしないといけない展開になりました。そしてフェルスタッペンは今度はターン1の脱出でリアのグリップが無くて変だと訴えかけます。これもデフか?

 上位3台は当面タイム上の争いとこの先の戦略待ち。一方後ろの集団では戦略やタイヤの違いで抜いた抜かれたが頻発します。キミ ライコネンとアロンソのご長寿バトルもありました。アロンソはこのレース、結局ブレーキの故障でリタイアとなっています。
 ところで昨年のピンクから色が一新されたアストンマーティンの車、E5系にそっくりだと話題ですが、中継映像、とりわけ引いたカメラだと、黒との区別がつきにくくてメルセデスと見分けが付きにくいんですが私だけでしょうかw
左からアルピーヌ、フェラーリ、メルs・・・アストンマーティン


 28周目、フェルスタッペンがようやっとハミルトンとの差を2秒以内に詰めると、アンダーカットをさせないためにハミルトンは2回目のピットへ。それとともに、ボッタスには引っ張る方向であるとの指示を出し、レッドブルに揺さぶりをかけてきます。
 フェルスタッペンは戦略でハミルトンを抜くことができなくなったので、適切なタイミングでハードを履いてコース上で追いついて抜くしかありません。しかしこの後メルセデスにも誤算。30周目にボッタスもピットに入れますが、右前輪が外れず、外れてないのにジャッキを下ろすミスも重なり7秒以上失います。これでボッタスを警戒する必要が無くなりました。

 ハミルトンに対しては「目標タイムを1分34秒前半にするぞ」と無線。「それだと最後までもたないぞ」と返答しますが、まあきっともつんでしょう、レイザーラモンRGならあるあるとして歌ってくれるはずです。
 一方のフェルスタッペンは「ペースが良いようならコース上に留めてくれ」と要望。可能な限りタイヤに履歴差を作りつつ、VSCなどの不確定要素も利用できる環境にしておくのが今の最善手です。

 ところで、ハミルトンはターン4でトラック リミットを守っていないような走りで私もちょっと気になっていましたが、特に注意も無く走っていた模様。元々予選ではタイム抹消の特別監視対象である一方、レースでは他と変わらず、利益を明確に得ていなければいちいち言われないことになっていたみたいです。問題は、どこから利益を得たと捉えるか、なんですが。
 これを見たレッドブルがフェルスタッペンに「ワイドに走って注意されてないから使っていいぞ」と指示を出したところ、ハミルトンが注意を受け始めたみたいです。すごい心理戦w

 各車2回目のピットを終えて実質的な順位が見えてくる中、角田は38周目にライコネンを抜いて10位に浮上。ブレーキが得意だという角田ですが、車両性能差もあるとはいえ、通常走行より40km/h以上も速くなるDRS作動時に、イン側のラインで結構遠い位置からきっちりと止めて曲げて抜いており、才能の片鱗を感じます。

 39周目、フェルスタッペンは2度目のピットで1.9秒の高速ピット、対ハミルトンで11周のタイヤ履歴差を作って8秒差から追い上げを開始します。残り17周、届くのか。
 ボッタスはこの7秒後方で、もしピットを普通にやっていればここにいたはず。つまり、フェルスタッペンはここまで引っ張ってはいられなかったので、ハミルトンがもし抜かれたらあのミスは結構大きかったことになります。ハミルトンには多少ながら、ボッタスのクルーのミスをカバーできるか、というお題も背負い込みました。

 残り6周、とうとうフェルスタッペンはハミルトンの1.5秒差に接近。DRSを使えれば簡単に抜けそうです。ハミルトンのリアの動きはちょっとわたわたして見え、なんと珍しくターン10でミス!あっという間に1秒以内の差になります。


 そして53周目、フェルスタッペンがターン4で外からハミルトンをかわしトップへ。これで勝った!と思ったらこの後信じられない光景。ターン10の先の短い直線でフェルスタッペンがまるで譲るかのようにハミルトンに抜かれてまた順位が入れ替わります。あれ???

 フェルスタッペンは一旦DRS圏からも外れ、最終周にはなんとかDRS圏に戻ったものの、距離が遠くて届かず。結局ハミルトンがトップでチェッカーを受けました。

 フェルスタッペンは抜いた際にトラックリミットを超えた外側から抜いたため、レース コントロール側からの指示を受けて、チームから順位を返すよう指示が出ていました。自分たちが牽制を投げた手前、安易に知らん顔して走るわけにもいかなかったですかね^^;

 そうは言っても、じゃあフェルスタッペンが守ってたとして、ハミルトンもタイトなイン側のラインから外へ向けて走っているんだから接触したんじゃないの?という気もしますが、そう主張するには2台の間に距離がありすぎたかもしれません。バントの際の守備妨害のアピールみたいに、もっとギリギリを走って「俺は危ないから外に行っただけだからね!」という小芝居があればひょっとしたらお咎め無しだった、かも?
 ハミルトンにとってもう1つ幸運だったのは、抜かれる1つ前、53周目のストレートで、本来ならここでDRSを使って抜かれていてもおかしくなかったんですが、前方に周回遅れがいたので多少なりとも最高速の助けになっており、これでギリギリ抜かれずに済んでいたように思います。

 運も味方につけたハミルトン、通算96勝目、開幕戦の勝利は意外にも2015年以来です。そしてレース中に通算ラップ リード数でミハエル シューマッハーを抜いて歴代最多となりました。F1におけるイギリス人ドライバーの通算300勝目でもありました。約1/3がハミルトンですね・・・
 フェルスタッペンは勝てませんでしたが、展開としては昨年までの立場と逆転しかたのような追い込みで、今季に期待が持てる内容だったので、今年が楽しみであることは間違いないです。
 その争いを続けるためにはペレスの活躍が不可欠ですが、どちらかというとリアがどっしりして真っすぐ車を走らせたいペレスに、リアが少々すっ飛んでも気にしない仕様のこの車が合うのかは微妙なところ。(クリスチャン ホーナーは「乗り方は近い」と言っていたそうですが)
 今回はトラブルでピットからのスタートというのはあり、5位は及第点ですが予選でミスしてQ3に進めなかったというのは早めに改善しないと、チームのお偉いさんがまた色々言い出しそうです。

 ボッタスはプランFでファステストを持って行って3位、ランド ノリスが2強に割って入る4位となり、何かあれば表彰台に上がれる候補1番手の立場を示しました。無理しないし慌てないし上手いですね。リキャードはルノー移籍時のことを考えても、ちょっと慣れるまでに時間がかかるのかもしれません。

 フェラーリはルクレールが6位、サインツが8位。ファンとすれば物足りないでしょうが悲惨でもないのでこれを維持するのが大事。そして、アルファタウリは角田が最後にランス ストロールを抜いて9位となりました。予選のミディアムとスタートに課題はあったでしょうが、そもそも全部初めて経験する新人なんですから当然の話で、順位を上げて終えたというところは見事な活躍だったと思います。

 アストンマーティンはストロールが10位でしたが、一方のベッテルは・・・


エステバン オコンを譲るように前に出した後、ラインに戻って減速に失敗し追突事故。そしてオコンがラインを変えたと無線でどう見ても大嘘を主張。移籍したのにメンタル面の問題が全然解消されていない・・・ベッテルは10秒のペナルティーを受け15位でした。


 メルセデスとレッドブルの争いは面白くなりそうですし、中団の争いもし烈で、今年もなんやかんやF1を楽しめそうです。でもちょっと23戦は多すぎるので、てきとーにいくつか減らしません?w 次戦はイモラでのエミリア ロマーニャGPです。

コメント

まっさ さんの投稿…
たった23戦だからまだ13戦さらにオールスター+クラッシュもできる余裕があるので、、、
タラデガ、デイトナ、ミシガン、カンザスあたりを追加でお願いしますwww
あ、ブリストルのダートは先ずはオールスターで様子見が吉かもですw
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん
ただでさえ、予選レースやるとか言い出してるんだからレース数増やさないでくださいw